さるやま
 猿山
登山日: 2010年2月14日(日)   標高:1000m(猿山)
    累積標高差 : − m(ゲート前から約650m)


この地図は、国土地理院長の承認を得て、同院発行の2万5千分の1地形図を複製したものである。
(承認番号 平21業複、第766号) なお、国土地理院の長の承認を得なければさらなる複製はできない。

 2月14日(日)    ゲート前 11:05  → 登山口 11:35 → 約750m地点 13:30
   →  斜面滑落 13:45 → 涸沢歩道分岐 14:10 → 猿山山頂 15:15
   →  白金橋付近登山口 16:45 → ゲート前 17:30

 

 午前中婆娑羅山に登った後に猿山に向かいます。同じ日に藪山2山は厳しいかなと思いましたが、婆娑羅山は順調に登ることができました。気を良くして猿山に向かったわけですが、結果としては落とし穴が待っていることになりました。

 猿山は2回目の挑戦でリベンジとなります。前回は林道が通れなかったということで門前払いでしたから、2回目の挑戦と言っていいのか微妙なところです。これは西側からのルートで、その後の調べによると別の林道から通れなかった林道にトラバースする道があるようでしたが、道がわからなくて大変だったという記述があったので、西側よりはわかりやすそうな、東側からのルートをとることにします。

【河津七滝付近の桜】 
  
【ゲート前:右手のスペースに駐車】
 東側のルートは天城峠を越える道から河津七滝方面に下って、荻入川を遡って行きます。林道の途中ゲートがありますので、ここが出発地点となります。河津七滝付近は人が大勢いて賑わっていたのとは対照的にこちらは非常に静かです。

 ゲート前の路肩は数台止められる程度です。埋まるほど登山者が来ることもないかもしれませんがね。
 既にお昼前になっていましたので、準備ができたら出発です。しばらくは林道歩きが続きます。歩いていると、車が上がってきてそばに停車します。入ってはいけなかったのかと思ったら「犬を見なかったか?」「見かけませんでしたが」「そうか、猟犬が逃げたので注意してな」とのことでした。猟犬にどう注意すればいいのでしょうか・・・。

【黄金橋:左右に分岐】 

【案内図】 
 
【(涸沢歩道)登山口】
 さらに進んで行く車を見送った後、しばらくして黄金橋が現れます。上記地図の川を渡るあたりですね。ここを右側に入って行きます。林道沿いには、分収林の地図が一定区間ごとにあるようでしたが、感じとしては上の案内図がわかりやすいでしょうか。この涸沢歩道は地形図にはないものの、猿山に登った方の記録では登りやすい道として記されていましたので、この道を通ることにします。

 登山口は非常にわかりやすいです。このあたりの標高が500mですので、ここからあと500m程登ることになるでしょうか。
 登山口はわかりやすいものの、入っていきなり道がよくわかりません。正面には踏み跡らしきものはなく、左手に行くと小さな沢があってそれを渡るときちんとした道が出てきました。上記地図の登山口付近の僅かな距離の点線は、回り込んだ際の推定ルートです。 
 
【登山口付近】
 
【分岐手前登山道】
 枯れ枝が覆っている箇所もありましたが、しばらくは歩きやすい道が続きます。基本的には、案内図に従って沢の右側の道(左岸)を歩いて行きます。途中沢を渡るような道が何箇所が出てきましたが、無視してあくまで右側を歩いて行きます。

 しばらく歩いて行くと、踏み跡はあるものの、道らしくなくなってきて斜面をトラバースして歩いているような感じになります。しかし、間もなく平坦な場所に出て、奥へ続く踏み跡及び石で積み上げて作ったような道があったためそのまま進むことにします。

【沢の途中の平坦な場所】
 
【沢の中腹の小さな滝】
 踏み跡はあるものの相変わらず歩きにくい道が続きます。場所によっては、斜面の木につかまりながら進みました。途中小さな滝らしき場所もありました。ここも、脇をよじ登って行きます。

 踏み跡がかなり薄くなり、右手の尾根によじ登ったらしき跡があったので木にしがみつきながら上ってみました。割としっかりとした道が2本ありましたが、いずれも倒木で完全に塞がれています。非常に悩みましたが、少なくとも最近通ったような感じはしなかったので断念することにしました。
 後から地図を見てみた感じでは、ここは登山道(または登山道であった道)か、登山道につながる道ではなかったのではないかと思います。完全な推定ですけれども。
 
 結局元の沢をさらに上がって行くことにします。するとまた小さな滝があって、滝の上あたりの一角が柵で囲まれています。ただし、最近は手入れがされていない感じでした。沢の反対岸あたりに道があるように思えたので、滝のすぐ上を渡ることにします。岩があまりにつるつるしていて、一回転びそうになりましたがなんとか渡ります。

 確かに道はあったものの、作業道らしく、最近は使われていないような感じで荒れていました。やむなく、戻ってさらに沢をさらに上がって行くことにしました。

【倒木に塞がれた道】

【滝の上を渡る】 
 沢の中には石で積み上げたような道があります。これは、ここまで上る途中でもしばらく続いているところがありました。苔むしているうえに、一部崩壊している場所もあるため、冷静に考えれば現在は登山道になっていないはずなのですが、その時にはこれも正しい登山道を歩いているような錯覚に陥らせていたのかもしれません。あまり登山者のいない山だということもあります。

 この先はつながっていないだろうと思いつつも沢を上って行きます。岩がごろごろしているうえに結構滑るので歩きにくいのですが、進めなくはないといった感じです。ただし、下りでは苦労させられることになります。
 750m付近(高度計によるものですが実際はもう少し低いと思います。)までなんとか上ってくると目の前に急傾斜が現れます。地形図上では750m付近に山腹をトラバースする道があるため、ここをよじ登ればとも思いましたが、ただでさえ滑りやすいうえに雨が降ってきたため、ここで撤退することにしました。後から考えてもここは確かに登山道につながりそうではありますが、登山道のどこに出たかもわからず結局山頂まで行けたのかどうかは疑問ですね。

 撤退の道は沢を下るだけで単純なのですが、無理に上って来た箇所もあるため苦労させられます。ただでさえ滑りやすいうえに雨が降ってきて余計滑りやすくなりました。 

【石で積み上げた道?】 

【沢をさらに上る】 
 下る途中土の急斜面をトラバースする箇所があったのですが、ここでつかんでいた木がすっぽり抜けてバランスが崩れたと思った時には斜面を少し転がっていて、体の右側面を木にぶつけてしまいます。これまで転んだことはいくらでもありますが、このような激突は初めてでした。体が痛いというより熱くなるという感覚でしょうか。この時ほどまずいと思ったことはありませんでした。

 しかし幸いなことに、打った箇所は内出血こそしていたものの、痛みはある程度引いていき、歩くのにも特に大きな支障はありませんでした。撤退を再開することにします。
 撤退はしつつも、次回のためにと丹念に他のルートを探しながら下山します。ルートがあるとすれば沢の左手(右岸)なのですが、どうもきちんとした道がありません。やがて、平坦な場所があるところを過ぎて登山口までもう少しというところまできます。ここに、まずこちらではないだろうと思っていた沢を渡って上っていくルートがあるので見に行くことにします。

 沢を渡って、もう1つ小さな沢を渡れたのでそちらに進んで行きますが途中で道が途切れてしまいます。やはり無理かなと思ったのですが、小さな沢を渡る手前に、尾根を巻きながら上って行く道を見つけました。

【撤退地点から少し下った後振り返って】
 
【峠(750m付近)】
 この道はよく整備された土の道で、歩きやすいうえにわかりやすい道でした。ただし、多少分岐らしいところはあるので、一応石を積み上げるなどして自分なりに目印を付けて行きます。今まで苦労して沢を歩いていたのが嘘のようです。その反動と道の歩きやすさからどんどん上って行ってしまいます。この道はわかりやすいので、多少暗くなっても戻るのに支障はないだろうという甘い考えがあったのは否めないでしょう。

 やがて、峠に出ます。地形的にここが、南の788mピークと猿山の間にある峠であるのは間違いないと思われます。涸沢歩道を通った方達はここから直接山頂に向かったようですが、自分は確実を期すために、トラバースして南側から山頂を目指すことにしました。
 このトラバース道も歩きやすい道で、一部崩壊していたものの快調に進むことができます。時間が遅くなってきていることもあり、右手に上って行く尾根を見ながら、分岐点はまだかまだかと探しながらトラバースしていきます。この心理状況が大きなミスにつながったのだと思われます。

 やがて大きく方向転換するうえに、下る道との分岐がある場所に出ます。中央の道が山頂への道で左が下って行く道だと思い込みます。ここが山頂南の分岐点だと思いました。
 しかし、中央はトラバースするような道でした。したがって、きちんとした道になっていませんでしたが、尾根の道なき道を上って行くことにしました。
 
【トラバースする道】

【山頂南の分岐点(と思った場所)】 
 実は、家に帰ってしばらくもここが南側の分岐点だと思っていたのですが、大きな間違いがありました。左手の道は下るのではなく、地図上だとトラバースしながら上っているはずなのです。下りで通った道も考慮すると、ここは1つ手前の突き出た場所ではないかと推定しました。峠になっている場所なんだからすぐに違いがわかるだろうと思われるのですが、その確認をした記憶がないのです。写真でも峠であることがわかる角度では写していませんでした。恐らく完全な思い込みであったと思われます。

 結局尾根を上って行きました。道はありませんが、尾根を上がって行く道を探すだけでしたら進む方向はわかりやすいですね。結果どう上って来たのかは覚えていないことになります。
 しばらく上って行くとだんだんなだらかになってきます。だんだんわかりにくくなってきますが、少しでも高い所を目指して歩いて行きます。もうほとんど方向を見ずに歩いていますね。

 山頂に近付くにつれて雪が結構ありました。なだらかになってからなかなか山頂が見つかりませんでしたが、ようやく到着することができました。地図で見てみるとなだらかな場所の北端あたりが山頂になりますね。山頂に着いたという喜びときちんと戻れるのだろうかという不安が相半ばだった覚えがあります。

【山頂部のなだらかな場所】  

【猿山山頂】   
 山頂は展望は全くありません。写真だけ撮ると下山準備にとりかかります。丁寧に靴ひもを縛り直して一生懸命冷静さを保とうとします。多少ずれても750m付近のトラバースする道にさえ出られれば戻れると思っていたので、それほど焦っていたというわけではありませんでした。

 下山はおおざっぱですが、地図の通りまず南東方面にに下って行って、途中から南西方向に向かって行くことにします。しかし、思ったより急な斜面に出てさっぱりわからなくなります。ここで、コンパスを使ってみると全くの真反対で北東方面を指しています。しかし、180度も間違えるとは思えず、登り尾と同様コンパス狂いが起きたのだと判断します。
  実際この方向を南西だと判断するとちょうどなだらなかにつながる斜面を見つけることができました。念のためにしばらくしてもう1度コンパスを使うと、こちらが正しい方向であることを示してくれました。

 やがて急斜面になり、どこを下っているのかわかりにくくなります。とはいえ、トラバースする道さえ見落とさなければと思いつつ下っていると、きちんとした道が出てきました。これを南側に向かって歩いて行くと分岐が現れます。南側の分岐に戻って来たのだと思いましたので、割と順調だったなと着いた時には思ったのです。

【山頂からの雪景色】  

【山頂南の分岐点(と思われる場所)】   
 しかし、よくよく見ると木々の雰囲気が違いますし、何より先にはなかったピンクのテープがあります。同じような景色だけど、違う場所、なぜなんだろう、そしてこの場所はどこなんだろう、悩んでも解決しませんでしたので、いろいろ歩いてみることにします。

 来た道を帰るとなると、東側をトラバースして行くことになります。そこそこ歩きやすい道ですが、来た道とは雰囲気が違います。沢らしき場所を2箇所通過したところで、これは違うと戻り始めます。推測の域を出ませんが、ここをもう少し進むと勘違いしていた分岐に出たのではないかと思います。 
 
 戻って少し東側に下ります。実は、この時点ではもう1つの可能性として、涸沢歩道を登った峠に出たのではないかと思ったのです。もう冷静ではないですね。
 まずは、東側に少し下ってそのまままっすぐ(南方に)つながる道に行ってみます。歩いて行っても高度が下がらないうえに急に暗い場所になりましたので、ここはさすがに通ってないなと判断します。ピークを巻いていることや、急に暗くなった(西に沈む太陽の反対側?)ことからこれが諸坪峠へつながる道ではなかったのではないかと思います。

 仕方なく沢沿いの道を下って行きますが、道は雑木で覆われていてやがて道がなくなります。

【上りで通った分岐だと勘違いした場所】   

【下山口】  
 下に見えている沢は少なくとも上りで見た覚えのない沢でした。上りで見た沢と同様木の柵で囲まれた場所があって、何かが栽培(山葵あたり?)されているようでしたが、明らかに手入れがされているようでした。迷った時に沢を下ってはいけないという言葉がありますが、暗くなってきたうえに、あそこなら道があるのではないかと思い意を決して下り始めます。本当にこの時の焦り方は表現しようがないくらいでした。
 それでもいきなりは下らず、沢を下手に見ながら斜面をトラバースして行きます。少しずつ沢に近付いて行くと、何と整備された道に突き当たりました。ここからは、ひたすらこの道を通って下ります。ほっとした思いと、まだ安心できないという思いが相半ばでしたね。 
 下る途中で合流点があって、上りで分岐した道かなとふと思ったのですが、林道に出てみると全然違う場所でした。林道に出たのはいいのですが、現在地がさっぱりわかりません。しかしながら、こちらの方も分収林の案内図がありましたので、手元の地形図と照らし合わせると全然違う場所でした。

 結構林道を歩く必要があるなという思いもありましが、ここを歩けばいつかは着くんだという思いの方がはるかに強くて、長い林道歩きも全然苦になりませんでした。
 
【案内図】  

【黄金橋再び】   
 どれだけ歩いたでしょうか。黄金橋に到着してようやく見たことのある場所までに巡りあうことができました。ここからさらに15分程歩いてゲート前まで戻って来ることができました。

 帰る準備をして自宅に向けて車を発進するころにはすでに外は暗闇に包まれていました。
 今回は本当にいろいろなことがありました。山中での撤退、斜面滑落、ルート再発見後の登頂、そして下山ルートを見失って別ルートで下山と、出来事だけでなくいろいろな思いも交錯した山行となりました。
 あらゆることが反省すべき点ですが、ある程度慣れた人でも迷っているような山であることを考えると、単独で入るなら最低でもGPSは欲しいのかなと思ったのでした。もちろん、道具云々以前に地図読み、(撤退の)判断力等根本的に見直すべき点はあるのですがね。これだけ準備をすれば大丈夫だろう、そう思えた時にまた検証のための登山をしてみたいですね。

※上記地図の点線は推定ルート、実線は登山ルートのつもりですが、涸沢歩道終点から山頂を経て林道に出るまではかなり推測の域を出ない旨御了承ください。


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