ほうおうざん
 鳳凰山
登山日: 2010年8月14日(土)   標高:2780m(薬師岳)2840m(観音岳)2764m(地蔵岳)
    累積標高差 : 約2400m(夜叉神の森から約1460m)


 8月14日(土)    夜叉神の森 5:20 → 夜叉神峠 6:10 → 南御室小屋 8:45
   →  薬師岳 10:05 → 観音岳 10:30 → 賽の河原 11:20
   →  観音岳 12:20 → 薬師岳 12:40(〜13:00)
   →  南御室小屋 13:50 → 夜叉神峠 16:05
   →  夜叉神の森 16:50

 

 本日は鳳凰山に登ります。実は、初テント泊の山として当初登ろうと思っていた山でしたが、結局天候などもあって今まで登らずにいました。

 今回、マイカーがないので登山口までが比較的近く高速道路を使用しなくていい山であり、足を痛めていたのであまり急傾斜のない山、そしてルートということで、夜叉神峠ルートの鳳凰山に登ることにしたのでした。後者については、コースタイムが長い時点であまり意味のない配慮だった気がします。

 足については、右足首が痛むため、簡単に装着できるテーピング用テープを利用して臨むことにしました。 

【夜叉神の森駐車場】 
  
【鳳凰三山登山口】
 登山口は夜叉神の森駐車場です。手前にある芦安の市営駐車場の横を通り過ぎて行きます。林道を進んで行くとやがて立派なゲートがあり、その手前が駐車場及び鳳凰山への登山口になっています。ゲート奥は広河原への道で、ちょうど出発する頃バスが入ってきました。

 現地入りしたのは午前3時半頃で、当初4時過ぎには出発する予定だったのですが、ずっと雨が降っていたために遅らせました。5時過ぎに雨がやんだのと夜が明けたこともあって、急いで準備をして出発しました。足のこともあったので、雨が降り続いたままなら撤退も考えていました。今日の天気予報は晴れたり曇ったりでしたので、晴れ間もあるかもしれないという期待のもと出発です。
   

【登山口看板】 

【夜叉神峠への道】 
 
【夜叉神峠 背後は大唐松山】
 駐車場のほぼ中央の売店やバス停のあるあたりに登山口があります。なお、トイレもゲート方向に上って行ったところに公衆トイレがあります。

 登山口にはちょうどこの時間から登り始めるという人がそこそこいました。夜叉神峠までの道をひたすら登って行きます。多少ザレている部分もありますが、概ね土の歩きやすい道です。時間にして1時間弱ほど上っていくと夜叉神峠に到着です。

 夜叉神峠からは天気が良ければ、白峰三山を見ることができるのですが、さすがにこの天気ではさっぱりでした。それでも、この時間はまだ天気が安定していた方でした。 
 
【夜叉神峠小屋】
 
【なだらかに上って行く登山道】
 
【杖立峠】 
 夜叉神峠からはやや下った後緩やかな上りになります。緩やかながらも着実に高度を稼いでいきます。登山道は歩きやすい土の道で気持ち良く歩いていたと言いたいところですが、足は違和感がある程度で済んでいたものの、体の方がエンジンのかからない状態でした。いつも睡眠時間が短めでも問題ないのですが、この日は特に歩いている途中も眠くなる状態で、体もとても重かったですね。

 やがて杖立峠に到着です。杖立峠を過ぎると一旦下って再び上りに入って行きます。歩きやすい道であることには変わりないですが、だんだん岩の転がったような道になってきます。
 
【山火事跡】

【展望はなし】  

【岩の転がった道】  
 やがて、山火事跡に到着です。オブジェの看板には表示がなかったものの恐らくその場所と思われます。ここからは、見事な展望が開けるはずですがこの雲の多さでは残念ながらといったところでしょうか。

 山火事跡を過ぎると、本格的に岩の転がった道に入って行きます。このあたりは歩きにくかったのですが、傾斜がずっと緩やかでしたのでその面では歩きやすかったかもしれません。しばらく登って行くと苺平に到着です。このやや手前は、千頭星山及び甘利山方面への分岐があります。

【苺平】  
 
【樹林帯を下る】  

【南御室小屋】  
 苺平からは緩やかに下って行きます。30分弱程で南御室小屋に到着です。この先の薬師岳小屋にはテント場はありませんので、夜叉神峠からテント泊を考えた場合ここになりますね。ピストンでなければ、先の鳳凰小屋というのもあると思いますが。ここには、冷たくておいしい湧き水があるとのことでしたが、皮肉なことにこの天候のおかげで気温が上がらず、ほとんど水分をとる必要がなかったので、帰路にいただくことにして先に進みます。

 薬師岳への道はまずは急登から入ります。無雪期の道と積雪期の道がはっきり分かれている箇所がありました。下りで少し積雪期の道に入ったらかなり急な坂になっていました。

【岩の間を通って】 

【少し開けたあたりで正面に観音岳】  

【砂払岳 砂地の道へ】
 樹林帯の坂を上って高度を上げて行くとやがて開けた場所があります。このあたりが森林限界のようで、岩場のあたりが砂払岳のようです。天気が良ければこの岩の上からは見事なパノラマが広がっているとのことです。遠方の山は見えませんでしたが、なんとか薬師岳と観音岳は見ることができました。ちなみに大きく天候が崩れた下山時には全く見えませんでした。

 岩の入り混じった砂礫の道はよく見かけますが、砂地の道は、あまり見かけないような気がします。砂の道を踏みしめながら進むと岩場に入ります。危険な箇所はありませんが、大きい岩の上や横を通って行きますのでなかなかダイナミックな感じです。 

【観音岳と薬師岳】 

【薬師岳】 

【岩場】

【薬師岳小屋(下山時)】

【薬師岳山頂の様子】
 岩場を過ぎると間もなく薬師岳小屋に到着です。ここには、テント場や水場はありませんが、鳳凰三山を巡るには好立地のため結構宿泊客が多いようです。

 小屋を過ぎて少し上って行くと間もなく薬師岳山頂に到着です。最高点は岩の上になると思いますが、この広々とした場所に山頂の看板があります。また、ここは展望所としてもいいようでカメラを構えた方が結構いました。薬師岳小屋に泊まるとすぐにここまで来られるのはいいですね。ただし、この日は全く展望には恵まれませんでした。

【山頂看板】
  

【展望は雲の中】  

【観音岳】 

【山頂付近はガスの中】
 薬師岳からは鳳凰三山最高峰である観音岳を目指します。他の山よりも標高が高いせいかガスがよくかかっていて、観音岳に歩き始めて間もなくガスに覆われてしまいました。薬師岳からは30分程順調に上って行くと観音岳に到着です。

 観音岳山頂ですが、完全にガスの中にあったので山頂の看板だけ写して先に進むことにします。帰りに少しでも展望があればといったところでしょうか。ちなみに三角点は、山頂の岩場の上にあります。

【山頂看板】 
 
【ガスの合間に見えたオベリスク】

【左から高嶺 赤抜沢ノ頭 地蔵岳オベリスク】 

【鳳凰小屋分岐である鞍部を見下ろして】  

【鳳凰小屋分岐案内】 
 鳳凰三山の最後の山である地蔵岳を目指します。オベリスクには登れませんので、麓の賽の河原を目指すと言った方がいいでしょうか。オベリスクは、ガスの中に入ったり出たりを繰り返していました。観音岳からは、まずは鞍部まで一気に下って行きます。

 鞍部は鳳凰小屋への分岐になっています。ここからは、赤抜沢ノ頭へ向けての登り返しになります。観音岳から賽の河原往復のアップダウンは距離の割には結構高低差があって体力を消耗させられます。

【トリカブト】   

【タカネビランジ】 

【観音岳を振り返って】

【岩場をよじ登って】 
 
【赤抜沢ノ頭付近よりオベリスク】

【砂地の急坂】    
 登っている途中タカネビランジが岩の下にまとまって咲いていました。砂払岳や薬師岳付近でも結構見られましたが、森林限界を越えた岩の陰で必死に生きているのだなということを実感させられます。また、トリカブトの鮮やかな紫もも随所で見られました。

 赤抜沢ノ頭までの道は急坂で岩をよじ登るような箇所もあります。賽の河原はそれほどの標高ではないのですが、一旦ここを登らないと行けないのでここの登りは思った以上に長く感じましたね。賽の河原への分岐付近ではオベリスクがすっきりと見えました。

【賽の河原】    

【地蔵岳看板】   
 赤抜沢ノ頭付近の分岐から一気に賽の河原まで下ります。砂地の急坂でしたが、少し湿っていたせいか見た目よりは歩きやすかったです。10分もかからないうちに賽の河原に到着です。

 ここには消えかかった地蔵岳の看板もあります。さすがに麓から見るオベリスクは迫力があります。時間に余裕があれば途中まででも登ってみたいところですが、時間的に厳しいので断念しました。また、かわいいお地蔵さん達が並んでいました。

【見事なオベリスク】   

【お地蔵さん達】    

【賽の河原からの観音岳】   
 お地蔵さんを眺めていた時に、急に雨が降ってきて風が強まってきましたので、休憩することもなく引き返すことにしました。それまでくっきりと見えていたオベリスクも、あっという間にガスの中に隠れてしまうくらいでした。

 赤抜沢ノ頭に登り返して、鳳凰小屋分岐まで一気に下って行きます。すると、鞍部は完全にガスの中で雨足も強まってきました。観音岳への登り返しは、自分は来た道を帰るだけので問題ありませんでしたが、初めて通る場合にはわかりにくいかもしれませんね。ちなみに観音岳から下って来た人のうちそのまま引き返して行った人もいました。 

【ガスの中の鳳凰小屋分岐】  

【再び観音岳山頂へ】 
 その後もペンキの矢印を丁寧に辿りながら戻って行きます。崖の縁を歩くような場所はないので問題はないのですが、ガスの中の岩場というのは少し落ち着かないものがあります。

 やがて観音岳に登り返します。このあたりでは、少し風雨が落ち着いていました。とはいえ、またひどくなる可能性もあったので、薬師岳から薬師岳小屋まで一気に戻って来ました。結局、鳳凰三山では休憩することもなく回ってきましのたで、ここで一息つくことにしました。稜線ではほとんど人に会いませんでしたが、小屋は宿泊予定の方達で賑わっていました。
 一休みをしたら、再び下山開始です。砂払岳の岩場を過ぎて樹林帯に入ると、風雨に吹きさらされる場所はなくなります。着実に下って行って南御室小屋に到着です。こちらは、どちらかというとテント泊の方達で賑わっていました。

 小屋脇にはお花畑があって、ヤナギランが咲き誇っていました。他にもトリカブトなどいくつかの種類の花が咲いていてきれいでした。また、上りでは飲まなかった湧き水もいただきました。噂通りおいしくて冷たい水でした。展望のある場所までは少し離れますが、ここでのんびりとテントを張るのもいいなと思いましたね。

【薬師岳からの砂払岳 奥は辻山か】  
 
【ヤナギラン】

【小屋脇のお花畑】

【ようやく登山口へ】
 南御室小屋から苺平までは登り返しになります。ただし、緩やかな上りですので思った程きつくは感じませんでした。苺平からは、ひたすら長い距離を下って行きます。ようやく到着した夜叉神峠では、最後の展望に期待しますが、やはり上りの時以上にガスっていました。最後の休憩をとって下ります。

 先週先々週と異なり日帰りの荷物でしたので、最後までもつかなと思ったのですが、最後はやはり疲れきっていました。急坂こそなかったものの、思った以上の標高差が効いたようです。なんとか明るいうちに登山口に戻って来ることができました。
 
 今回は、不安定ながらも基本的には晴れという予報を信じて登ったのですが、やはり山の天気は甘くなったですね。雲の流れの中で晴れる瞬間もあるのかなと思ったのですが、この日は残念ながらずっと曇ったままでした。それでも、土砂降りの雨にはならなかったのは予報のおかげでしょうか。それと気温が上がらなかったせいで、ここ最近の山行と比較すると、あまり水分をとることなく、快適に歩くことができました。

 足の方は違和感がありながらも最後までもったのはテーピングのおかげでしょうか。とはいえ、本来は緊急用であるべきでしょうから、きちんと治さないといけないなと思ったのでした。

 マイカーがなくナビもなかったわけですが、ある程度近くまで行くと看板の案内があったので、暗がりの中でも駐車場まで到着することができました。逆に帰りは住宅街商店街のあたりがよくわからなかったですね。52号線まで出てしまえばなんとかなるので、迷うというほどまでは行きませんでしたが。

 次の機会があれば、残雪の残った時期に雪の被った南アルプスと富士山を見に来たいと思います。その時には今回の歩いた経験が生かせればいいですね。


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