すいしょうだけ・あかうしだけ 
雲の平山行記 3日目    水晶岳・赤牛岳 
                登山日 :  2010年8月22日(日)
                標高 : 2978m(水晶岳) 2864m(赤牛岳)  


8月22日(日)     雲の平キャンプ場 5:00 → 祖父岳 5:50 → ワリモ北分岐 6:35
   →  水晶小屋 7:10 → 水晶岳 7:40(〜8:10) → 温泉沢ノ頭 8:55
   →  赤牛岳 10:30(〜50) → 温泉沢ノ頭 12:20 → 水晶岳 13:10 
   →  水晶小屋 13:55 → ワリモ北分岐 14:30 → 祖父岳 15:10
   →  雲の平キャンプ場 16:00

 

 2日目の夜は憧れの雲の平で気持ち良く眠ることはできませんでした。夜半から発生した頭痛により3日目からのルートをどうしようか悩みに悩んだ一晩となりました。頭痛が治まったら予定通りに行こう、結局朝にはある程度落ち着いたため予定通りの行程を歩くことにしました。

 原因はどうも寒さだったようで、夜中から朝にかけては目一杯着込んでも寒くてほとんど寝られませんでした。ただし、昨日は早く到着したために、早い時間帯から睡眠時間をとっておいたので完全な睡眠不足とはならなかったのは助かりました。

【雷鳥】 
  
【赤牛岳】
 しかし、この寒さは別の歯車を狂わせたようで、これだけ寒ければ、あるいは涼しければ水はある程度の量でいいだろうと1.5Lの水しか持って行きませんでした。この日は赤牛岳までのピストンでサブザックであった気楽さもあったのかもしれません。結果としては、寒暖の差と水不足で最も苦しい1日となったのでした。

 体調の見極めで多少は遅くなったものの、連泊で撤収がなかったので朝5時には出発することができました。足元はきちんと見える状態でしたが、東側の山は黒いシルエットを見せるのみですね。

【祖父岳】 

【祖父岳への道】 
 
【早朝の薬師岳】 
 
【雲の平と薬師岳 中央付近にキャンプ場】 
 
【三俣蓮華方面分岐(祖父岳は左へ)】
 なお、この日のルートをとると4日目と被るため、ワリモ北分岐にデポしてということも考えたのですが、がんばったところで三俣山荘までと中途半端な場所までしか行けないので、同じところ(キャンプ場〜ワリモ北分岐)を何度も通ることになりますが、雲の平キャンプ場での連泊にしました。

 キャンプ場から上がったところでは、なんと雷鳥を見ることができました。しかも、親子のようで4羽見かけることができました。木道の上や横をてくてく歩いて行く様は本当にかわいかったです。まだ暗い時間だったので、カメラにうまく収められなかったのは残念でしたね。 
 祖父岳へ向かって緩やかに登って行くと、だんだん薬師岳に朝陽が当たってきて朝陽に染まる薬師岳を見ることができました。この薬師岳と雲の平を並べた展望は、この後も何度か見ることになりますが、何度見てもいいものです。

 祖父岳への上りは岩場を進んだ後ザレた道を登って行きます。岩場は薄暗くて少しわかりにくかったのですが、ペンキの跡を忠実に辿って行きます。登りきると広々とした祖父岳山頂に到着です。ここからは周囲の山々がよく見えました。
  
 
【岩の転がった道を抜ける】
 
【広々とした山頂】 
 
【祖父岳山頂と薬師岳】

【左手前に三俣蓮華岳と右奥に笠ヶ岳】 

【黒部五郎岳】 

【左に鷲羽岳と中央から右にかけて槍穂の山並み】 
 
【祖父岳から岩苔乗越への道】
 祖父岳山頂からは一旦ハイマツ帯を下って行きます。基本的にはなだらかな下りが岩苔乗越まで続いていて、鞍部からは一気にワリモ北分岐へ登って行きます。急登ですが、淡々と九十九折れに登って行くので見た目ほどはきつく感じませんでした。今日はサブザックであったというのも大きかったのかもしれません。

 明日登ることになる鷲羽岳はこの時間ではまだ陽が射していません。やがてワリモ北分岐に到着です。ここでは、ザックをデポして水晶岳までピストンという方が結構いるようです。雲の平キャンプ場で会った方もここでデポして水晶岳に登っていました。

【ワリモ岳と鷲羽岳】 

【ワリモ北分岐への上り】
 
【祖父岳を振り返って 奥は黒部五郎岳】

【ワリモ北分岐】
 ワリモ北分岐からは北へ向けて稜線を歩いて行きます。パノラマの景色が広がる中での稜線歩きは本当に気持ちが良かったです。しばらく歩くと水晶小屋があるので少し休憩をしました。水晶小屋からの眺めもなかなかのものですね。

 休憩をした後は再び水晶岳に向かって歩いて行きます。水晶岳へはなだらかな稜線を歩いて行きますが、山頂は鋭い岩峰になっているだけあって、山頂直下は岩場が続きます。とはいえ、ルートはしっかりしているので、順調に山頂に到着することができました。

【水晶岳への稜線】

【水晶小屋】

【水晶小屋付近より鷲羽岳とワリモ岳】 

【左に立山 中央左奥に白馬三山〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳 中央中ほどに針の木岳〜蓮華岳の眺め】  

【水晶岳〜赤牛岳の眺め 右奥に立山】  

【左手前祖父岳〜雲の平の眺め 中央奥は黒部五郎岳】  

【水晶岳への稜線歩き】 
 山頂は岩がごろごろしたような場所であまりスペースもありません。人が増えてくるといっぱいになってしまうかなという広さでした。稜線の景色でさえ見事でしたから、山頂からはもちろん360度の見事なパノラマが広がっていました。

 この後の時間帯は少しずつ雲が湧いたりガスってきましたので、この水晶岳山頂にいる時が最も素晴らしい眺めだったと思います。見えうる限りの山が見えているという感じで、これほど山座同定が楽しかったこともないですね。 
 
【水晶岳山頂を眺める】 

【水晶岳山頂】 

【槍穂の山並みと中央右手前に鷲羽岳 右奥に乗鞍岳御嶽山】 

【赤牛岳と立山】 

【白馬三山 後立山連峰もよく見えました】 

【薬師岳】

【赤牛岳への道】 
 
【水晶岳の1つ奥のピークからの下り】 
 いつまでものんびりしていたい景色でしたが、本日の目的地である赤牛岳はまだまだ先でしたので、30分程の休憩の後出発します。水晶岳奥のピークに登った後は急なザレた下りが待っています。帰りには壁に見えた程の急な下りでした。

 その後は岩場やハイマツ帯のアップダウンが続きます。歩きやすい道とはいえないもののルートはわかりやすいと思います。ただし、やはりそれまでのコースよりは厳しい道だなとは思いますね。北アルプスの歩きやすいルートばかりを歩いているのでそう感じるのかもしれません。

【アップダウンの続く道】  
 
【温泉沢ノ頭と赤牛岳】 

【高天原を見下ろして】

【近くに見える赤牛岳】
 

【行きは少し下ってトラバース気味に】   
 やがて温泉沢ノ頭に到着です。ガイドでは熟達者ルートとなっていますが、高天ヶ原温泉に下ることもできるようです。ここから見た赤牛岳はもうすぐ到着できそうな程近くに見えました。ガイドではコースタイム2時間、この後越えても越えても現れるピークにその長さを改めて思い知らされることになります。

 温泉沢ノ頭からは再び下って行くのですが、登り返しのピーク付近は少しわかりにくい箇所がありました。矢印は岩場を登っていくようについているのですが、どうも先が見えず、結局薄い踏み跡のついたトラバース道を歩きました。帰りは岩場から普通に歩いて来られたので、結果としては矢印通りで良かったのでしょうが、トラバース道の方が危険が少なく歩きやすいように思えました。  

【トラバースの道】

【岩のごろごろした道】

【なだらかな稜線の道】 
 その後もアップダウンの道が続きます。歩きやすい稜線の道と歩きにくい岩がごろごろしたような道が交互に出てくるような感じでした。このあたりになってくるとかなり暑くなってきて、結構体力が消耗させられたような気がします。

 赤牛岳の2つ手前のピークは緩やかな歩きやすい道ですが、ピーク付近には大岩の上を渡りながら歩いて行く場所があったりします。このピーク付近を越えるとぐっと赤牛岳が近づいてきたような気がしました。赤牛岳の手前のピークは完全に巻いてしまうので、あとは最後の上りになります。
 
【赤牛岳から2つ程前のピークを緩やかに登る ただしピーク付近は大岩ごろごろの道】  
 
【赤牛岳手前のピーク(右)を巻いていよいよ赤牛岳へ】  
 
【赤牛岳への最後の上り】  
 
【山頂へ】 

【山頂の様子】   
 
【赤牛岳山頂】 
 山頂までの標高差はあまりなかったはずですが、最後の上りはなかなかきついものがありました。それでも、山頂が近付いてくると力が出てくるものです。ようやく赤牛岳山頂に到着できました。これだけ奥深い山に来ると感慨深いものがあります。遠くから見た程ではないとはいえ、やはりこのへんの土は赤みがかかっていますね。

  山頂に到着すると反対側から2人組の方がやってきました。読売新道を通ってきたとのことで、赤牛岳登山は読売新道を縦走するのが一般的なのでしょうか。ただし、山小屋間が長くエスケープルートが全くないので、天候が悪い時にはかなり厳しいルートになるのかもしれません。

【薬師岳 カールもはっきりと見えます】   

【水晶岳からの道を振り返って 左に雲のかかり始めた槍ヶ岳】   

【野口五郎岳】  
 
【再び温泉沢ノ頭へ】  
 赤牛岳もやはり見事な展望が広がっていましたが、あちらこちらでガスが上がってきているようで、立山方面は既にかなりガスで覆われてしまっていました。ただし目の前にどんと控える薬師岳は見事で、カール群もはっきりと見えることができました。

 山頂でのんびりした後戻るわけですが、少し前から懸念していた水不足が深刻になってきます。1.5Lの水は既に半分以上消費、それもまだ喉が渇いている状態でしたが、口を潤す程度に我慢することにしました。それでも途中までは、道がわかっていたこともあって割と順調に戻ることができました。

【北側から水晶岳を望む】

【最後の登り返しへ】   
 しかし、温泉沢ノ頭が見えてくるかどうかといったあたりからは急激にペースが落ちました。水不足であると同時に一番暑い時間帯に入ったということもあるのかもしれません。ペースを落としながらもアップダウンの続く道を進みなんとか水晶岳への最後の登り返しに取りつきます。

 さすがにこの登りはきついものがありましたが、水晶小屋へのカウントダウンでもあって、気分的には結構楽になりつつありました。水晶岳に登り返した後は、慎重に岩場を下って緩やかな稜線を歩いて行きます。ようやく水晶小屋に到着、ここには水場はありませんのでミネラルウォーターやジュースを購入して一息つくことができました。 

【ザレた道を登る】   
 
【再び水晶岳山頂へ】  
 
【徐々に雲に覆われて】   
 水晶小屋前でのんびりしていると、続々と野口五郎岳方面から登ってくる人がいます。この日は小屋は相当混み合ったようです。確かに、裏銀座コースにしても、読売新道コースにしてもここは要衝といえる場所にありますね。今回自分の赤牛岳登山もこの小屋が最前線になったのでした。

 水晶小屋でのんびりした後は雲の平キャンプ場へ戻って行きます。この頃には随分雲が厚くなってきていました。ただし、時々晴れ間も見えるといった感じで、雨が降らないだけ本当に助かりましたが、今回の山行では午後はずっとこんな天気でした。
 
【ワリモ北分岐への急登を振り返って】   
  
【岩苔乗越】  
 
【ワリモ岳と鷲羽岳】  

【再び雲の平へ】  

【どこまでも続く高原】  

【雲の平からの赤牛岳と水晶岳】  

【正面に水晶岳を眺めて】   

【チングルマのお花畑】   
 ワリモ北分岐からは急坂を下って行き再び祖父岳に登り返します。キャンプ場からワリモ北分岐までは3回通ることになるわけですが、祖父岳直下からの雲の平の眺めは何度見ても見事なものです。キャンプ場近くまで来ると、昨日と同様に赤牛岳と水晶岳の雄姿を眺めてしまいました。雲が出て来ているとはいえ、山頂が雲に覆われていた昨日と比較すると見事な眺めを得ることができました。

 こうして、夜の寒さと昼の暑さには悩まされたものの、赤牛岳への素晴らしい稜線歩きをした1日を終えたのでした。
 


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