かむいだけ・ぺてがりだけ | |
![]() |
|
登山日: 2010年9月13日(月) 〜9月15日(水) | |
標高:1600m(神威岳) 1736m(ペテガリ岳) | 累積標高差 : −m(神威山荘から約1360m) |
9月13日(月) | 神威山荘 5:40 → 尾根取付点 8:00(〜20) | ||||
→ | 神威岳 10:10(〜35) → 尾根取付点 12:00 | ||||
→ | 神威山荘 14:00(〜45) → 林道分岐 14:55 → 峠 16:35 | ||||
→ | ペテガリ山荘 18:40 | ||||
9月14日(火) | ペテガリ山荘 5:35 → 1050m点 7:15 → 1293m点 8:15 | ||||
→ | 1301m点 9:30(〜45) → ペテガリ岳 11:10(〜45) | ||||
→ | 1301m点 12:45(〜55) → 1293m点 14:05 | ||||
→ | 1050m点 15:00 → ペテガリ山荘 16:15 | ||||
9月15日(水) | ペテガリ山荘 4:40 → 峠 6:50 → 林道分岐 8:25 | ||||
→ | 神威山荘 8:35 |
本日から2泊3日をかけて神威岳・ペテガリ岳に登ります。今回の北海道遠征の天王山ともいうべき山行でしょう。 急流であるニシュオマナイ川の渡渉及び遡行があることから、晴れが続く日を狙っていたわけですが、北海道遠征出発1週間前の予報では、しばらく雨が降らない予定でしたので、前半の4日間で幌尻岳、神威岳、ペテガリ岳に登ることにしました。1週間前というのは特に決まりはないのですが、神威山荘への林道ゲートの通過に日高南部森林管理署の許可がいるため、事前に許可申請をする必要があるからでした。出発前に許可を申請しておいて、予報が変わった場合には登らずに終わる可能性も考えていましたが、予報通り晴れが続きそうでしたので決行しました。 |
![]() 【林道ゲート】 |
|
![]() 【神威山荘】 |
前日に幌尻岳に登った後に向かったわけですが、まず、幌尻岳の駐車場から未舗装林道を20キロ以上走り、日帰り温泉に浸かった後、日高南部森林管理署に向かいます。ここで、鍵を受け取った後に神威山荘に向かうわけですが、ここも未舗装林道が20キロくらいはあったのではないでしょうか。幌尻岳に登った疲れも去ることながら、運転でもかなり疲れてしまったように思えます。ちなみに、神威山荘に着いたのは午前1時頃でした。翌日の準備をして寝たのは午前2時頃だったと思います。神威山荘でも寝られますが、慣れた車中泊をすることにしました。なお、山荘にはトイレもあります。1日目の行程は長いので夜明け前に出発したかったのですが、とても起きられず、夜が明けてからの出発となりました。 | |
![]() 【神威山荘2】 |
![]() 【神威山荘奥の小川を渡る】 |
|
![]() 【ニシュオマナイ川】 |
なお、この日にとまっていた車は自分の他にもう1台で、この日神威岳に登ったのは自分とその方の合わせて2人だったようです。 神威山荘の奥に小川が流れており、そこから神威岳に向けて歩き始めます。ニシュオマナイ川沿いを歩いて行くとやがて渡渉地点があります。ここが、最初にして最も幅の広い渡渉地点になります。歩き始めて数分といったところでしたが、濡らさずに渡るのが難しそうでしたので、ここで沢靴に履き替えて進むことにしました。渡った後は、広々とした右岸の道を歩いて行きます。 |
|
![]() 【最初にして最も川幅の広い渡渉地点】 |
||
しばらく歩くと少し土砂の崩れた場所があり、そこを越えてさらに川沿いに進んで行きます。だんだん樹林帯の道に入って行きます。踏み跡は薄い部分もありますが、ピンクのテープの目印がありますので、目印を丁寧にたどって行きます。 道中では何度か渡渉を繰り返します。ただし、渡る場所を選べば浸かるか浸からないかという感じの場所が多かったです。これが、帰りに沢靴を履かないという決断をするに至るわけですが。前日の幌尻岳では、基本的には渡渉のあるところでしか履かなかった沢靴でしたが、この日歩いた登山道でも問題なく歩いて行くことができました。ただし、樹林帯は藪っぽいところも多いので、ズボンはその都度まくりあげたり下したりする必要があります。 |
![]() 【右岸の林道らしき道を歩く】 |
|
![]() 【徐々に樹林帯へ】 |
![]() 【所々で渡渉を繰り返す】 |
|
![]() 【524m二股付近と思われる 左の沢を詰めるが登山道は樹林帯を通って行く】 |
||
![]() 【沢沿いに高度を稼ぐ】 |
やがて、524m二股分岐が現れます。ここは左の沢を詰めることになるのですが、登山道は樹林帯の中を通ります。実は、ピンクのテープを忠実に追って行くことに集中していたために、あまり現在地を意識せずに進んでしまいました。また、基本的に樹林帯を歩いて行くので現在地の感覚が掴みにくかったのもあります。迷うことがなかったからいいものの、少し反省すべき点だったかもしれません。 二股分岐の登りからは沢の岩のごろごろした場所も歩いて行きます。渡渉はありますが、渡る石を選べば足が浸かるか浸からないかという程度の渡渉でしょう。沢靴ですと岩に靴が張り付く感じで歩きやすかったです。 |
|
![]() 【710m二股を過ぎて】 |
||
![]() 【左に尾根取付点 赤い矢印のペンキ有】 |
||
![]() 【本格的な登山道へ】 |
やがて710m二股を過ぎると、大岩の転がっている沢を登って行きます。しばらく登って行くと、正面の岩に赤いペンキの矢印がついていて、尾根取付点に到着したことがわかります。ここで再び登山靴に履き替えます。前日同様沢靴がなかなか脱げずに時間がかかってしまいました。 登山道はいきなり急登の連続です。いきなりというよりほとんどと言った方がいいかもしれません。途中若干なだらかな場所がある程度です。この情報を聞いた時には、むしろ効率よく高度が稼げていいかなと思っていたのですが、笹や藪に覆われてかなり進みにくい場所もありなかなか大変でした。このような場所は力づくでぐいぐい登って行く感じでしょうか。よじ登るような場所もあって一筋縄ではいきませんでしたね。 |
|
![]() 【笹に覆われた急登】 |
![]() 【藪の向こうに前衛峰】 |
|
![]() 【藪の合間より1475m峰あたりか】 |
||
![]() 【藪をかき分けながら進む】 |
しばらく登って行くと神威岳の前衛峰や神威岳の南西にある峰が見える箇所もありますが、基本的に藪の中を歩いて行くような感じになります。恐らくたまにしか手入れが入らないのでしょう。ただし、道ははっきりしていますのでその点は助かりました。本当に体力勝負な感じです。実はダニがひどいというレポも見たので気にかかっていたのですが、それは問題ありませんでした。いずれにしても、少し涼しくなってから登った方が良さそうな山だなと思いました。 やがて、徐々に山頂が姿を現してきます。このあたりになると完全にハイマツ帯になりますので、視界は開けますがこのハイマツが最後までうるさかったですね。急登を登り、縦走路らしき道と合わさるとやがて山頂に到着です。 |
|
![]() 【山頂方面を眺める】 |
||
![]() 【最後のハイマツ帯の急登】 |
||
![]() 【振り返ると大展望が】 |
ちなみに最後の縦走路との合流点は、特に看板等がなく過去誤って縦走路に入って遭難した例もあるようですので、登って来たルートを覚えておいた方がいいでしょう。このような晴れた日なら問題ないとは思いますがね。 山頂はこじんまりとした場所で360度のパノラマが広がっています。ちょっと靄がかかったような感じですが、これだけの展望が得られれば文句なしでしょう。明日登るペテガリ岳もきちんと見ることができました。なお、山頂には独特のデザインをした看板がありました。ちなみにもう1人登っていた方は早々に下って行かれたので、1人でののんびりとした休憩となりました。 |
|
![]() 【山頂の様子】 |
![]() 【山頂の看板】 |
|
![]() 【北方へ繋がる稜線を眺める 中央に手前から1493峰〜中ノ岳〜ペテガリ岳 左奥に1839峰】 |
||
![]() 【中央奥にカムイエクウチカウシ山 右端はヤオロマップ岳か】 |
||
![]() 【1839峰】 |
||
![]() 【ペテガリ岳 左手前に中ノ岳】 |
||
![]() 【日高山脈南方の山々】 |
||
![]() 【東方の眺め 中央左はソエマツ岳 右奥にピリカヌプリ】 |
||
![]() 【ソエマツ岳】 |
||
![]() 【古びた看板】 |
山頂でいつまでものんびりしていたいところでしたが、本日中にペテガリ山荘まで行かなければならないにも関わらず、出発が遅れたうえに神威岳への登りでも時間がかかってしまったため、30分弱で下山を開始します。 縦走ルート分岐を過ぎた後は一気に駆け下ります。下りは楽ですが、足元が見えないところは慎重に下りました。やがて尾根取付部まで下ってきましたが、最初の渡渉以外はルートを探せば問題なさそうでしたので登山靴で下ります。右足のテーピングをこれ以上濡らしたくないのもありました。ただし、あまりお勧めできる歩き方ではありません。ちなみに、もう1人の方は逆に全てを沢靴で通していました。むしろこちらの方が望ましいように思われます。 |
|
![]() 【沢を下る】 |
![]() 【樹林帯を歩く】 |
|
![]() 【トリカブトの群落】 |
できるだけ渡渉のないルートを探しながらのため、登山道を外れて歩くところもありました。少し迷い気味でしたが、歩く沢を間違えなければそのうちに登山道と合流しました。探しながらでしたので、時間は結構ロスしてしまったようです。最後に、最初の川幅の広い渡渉地点に到着しましたが、ここは一番浅そうなところを一気に渡りました。スパッツをつけていればすぐには濡れないようです。 こうして神威山荘に戻っ後、避難小屋泊の装備に切り替えてすぐに出発します。神威山荘から林道をしばらく戻るとペテガリ山荘分岐があります。実は、カメラを忘れるというミスを犯してしまい一旦神威山荘まで戻るという失態を犯してしまいました。やはり焦るとよくないですね。この時点で気づいたのはまだ幸いでしたが。 |
|
![]() 【最初の渡渉地点へ】 |
![]() 【ペテガリ山荘分岐】 |
|
![]() 【ペテガリ山荘への最初にして最も川幅の広いニシュオマナイ川渡渉地点】 |
||
![]() 【広い道を歩く(道なりに)】 |
気を取り直してペテガリ山荘に向かいます。林道をやや下りながら進んで行くと分岐らしき場所がありますが、特に目印がないのでそのまま進みます。さらに進んで行くと川の対岸に目印があるのでここを渡ります。このニシュオマナイ川の渡渉が神威岳登山同様最も川幅の広い渡渉になります。登山靴の足首までが浸かる深さでしたが、足早に渡ってしまいました。この渡渉から峠を越えて下るまでは沢靴の方が望ましいと思います。ただし、確実に足が浸かる渡渉はこの最初だけだと思われます。 過去のレポを見ていると、このニュシュオマナイ川の渡渉で増水していて流されたとか、腰より上まであったという記録もありましたので、天候の悪い時には増水を気を付ける必要があるでしょう。ペテガリ山荘からの帰路の最後の渡渉になるだけに神威山荘に帰るまで天候の良い日を選びたいものです。地元の方でないとそこまで日を選ぶのはなかなか難しいところではありますが。 |
|
![]() 【中央の目印のある沢沿いの道に入る あとは一本道で沢をつめる】 |
||
![]() 【何度かある小川の渡渉】 |
沢の幅は狭いため、沢沿いの道はほぼ一本道になっています。ところどころで小川を渡渉しながら、時に雑草をかき分けて進んで行きます。藪というほどひどいところはありませんが、棘が刺さると痺れる植物がありましたので、肌を露出している箇所がある場合には注意が必要でしょう。 1箇所岩をよじ登る箇所がありました。登りはなんとかなったのですが、帰りはここで痛い目に遭うことになります。よじ登るといっても数メートルとそれほどの高さはありませんので、慎重に登り下りすれば大丈夫だとは思います。 |
|
![]() 【雑草の生い茂った道】 |
![]() 【岩場をよじ登る場所も】 |
|
![]() 【沢の分岐には目印が】 |
進んでいると沢の分岐もありますが、こちらの沢には入らないようにとテープで塞いであったり、正しいルートには目印がついていたりするので問題ないでしょう。沢の分岐の付近で、水が流れていて滑りやすい岩を登って行く場所があるので注意が必要だと思います。沢靴なら問題ないかもしれませんね。 沢をさらにつめて行くと水がなくなって急登になります。これがかなりの急斜面で笹をつかみながら登って行きました。一部土も滑りやすかったです。これを登ると峠に到着です。ここからは再び下って行きます。このあたりも、笹に囲まれていますがきちんとテープの目印がついています。倒木や滑りやすい岩に注意しながら下って行き、樹林帯の道をかき分けて行くと伐採地跡に到着です。 |
|
![]() 【峠へ】 |
![]() 【峠からの急な下り】 |
|
![]() 【反対側の伐採地へ】 |
ここは開けていて、まさに峠を越えて来たのだなということを実感させられます。大げさかもしれませんが大冒険でもしているような気分になりますね。この伐採地に出たあたりで、帰路に樹林帯への入口がわからず迷ったというレポを見たことがあったので、時々振り返りつつ帰路の道を確認しながら進みます。とはいえ、目印がしっかりしているのでそこまで神経質になることはないと思います。 林道跡のような道を西に向かって歩いて行きます。途中にはこれまでほとんど見かけなかった案内看板もありました。このあたりで夕暮れの山を振り返った時にはなぜかほっとするものがありました。さらに進んで行くと、突如としてよく整備された林道が現れます。 |
|
![]() 【案内看板】 |
![]() 【かつての林道らしき道を歩く】 |
|
![]() 【夕暮れの山を眺めて】 |
||
![]() 【よく整備された林道】 |
||
![]() 【工事現場の横を通って】 |
これから舗装する予定の林道なのでしょうか。それにしても周囲の景色と不釣り合いな道に思えてしまいます。あくまでも登山者の視点でということになりますが。峠を越えてきたという感慨も吹き飛んでしまったように思えます。ただし、ペテガリ山荘には日の残っているうちには到着できないのがわかっていましたから、よく整備された道というのはむしろ助かったわけですけれどね。 この後もまだ長い林道歩きが続きます。工事現場らしきところを通ったあたりで真っ暗になりました。熊が怖いところでしたが、鈴を鳴らしながら淡々と歩いて行きます。そして、19時前にようやくペテガリ山荘に到着することができました。 |
|
ペテガリ山荘は予想通り誰もいませんでした。神威山荘に泊まっていた車が自分の車と神威岳に登ったもう1人の方だけでしたので当然といえば当然かもしれません。つまりは前日に泊まった人もいなかったということでしょう。なお、この日も翌日も宿泊者は自分だけでした。ペテガリ岳への2泊3日の山旅は本当に完全な1人旅となったのでした。 ペテガリ山荘はよく整備されていて中はなかなかきれいになっていますし、トイレも2箇所あります。水場もありますので泊まるには申し分ないでしょう。宿泊代は1泊500円で箱に入れるようになっています。自分は2日分の1000円を入れました。山荘の周りには鹿が数多くいたようで、時々する物音や声は慣れるまでは不気味でした。しかし、疲れと眠気には勝てなかったのようで、寝袋に入った後は早々に寝てしまいました。 |
![]() 【ペテガリ山荘内部】 |
|
![]() 【ペテガリ山荘】 |
たった1人での一夜を明かした後は、いよいよペテガリ岳に登ることになります。実は、当初可能であれば、この日ペテガリ岳に登った後に神威山荘まで戻ることも考えていました。しかし、体力的に厳しいのと、日が結構短くなってきていて山中で時間切れになる可能性もあり(前日の林道歩きは暗闇の中)、2日目もペテガリ山荘に泊まることにしました。したがって、夜が明けてからゆっくりと出発することにしました。前日の神威岳で少し忙しない思いをしたことも反省としてありました。 表に出てみるとペテガリ山荘の立派さに改めて驚かされました。避難小屋というよりはペンションのような感じがしましたね。 |
|
登山口は山荘奥にあります。きちんと登山口の看板があるのですぐにわかるでしょう。 最初は沢沿いのなだらかな道を歩いて行きますが、やがて沢から離れて尾根に向かって一気に高度を稼いで行きます。急登ではありますが、九十九折れになっていて比較的歩きやすかったです。しかし、途中からササが登山道を覆っているところもあってかき分けながら進む場面もありました。このあたりのササはかき分けやすかったとはいえ、登りでは結構消耗させられます。また、ずっと蜘蛛の巣があったのも厄介で払いのけながら登ることになりました。 |
![]() 【山荘前広場と奥に水場】 |
|
![]() 【山荘奥の登山口】 |
![]() 【ササ原の急登】 |
|
![]() 【ササをかき分けて進む場所も】 |
||
![]() 【標高1000m看板】 |
しばらく登って行くと標高1000mの看板があります。多少標高がずれているような気がしましたがいい目安になりますね。ここを過ぎると間もなくなだらかな道になって1050m地点に到着です。恐らくここであろうというだけで特別な目印があるわけではありません。ここには、ちょっとしたスペースがあるので休憩にはうってつけでした。ここからは、わずかにペテガリ岳が見えていたようです。 少し休憩したら進みますが、ここでこの日の山行を厳しくする要因を作ってしまいました。なんと休憩中に飲んだ水筒の蓋がきちんと締まっていなかったために中身がこぼれてしまったことです。1リットル入るちょうどいい水筒だと思って今回初めて使ったのが裏目に出てしまいました。蓋のところに鎖が絡まって奥まで閉まっていなかったのです。 |
|
ザックに入れていたため、ザックとズボンそして靴下まで濡れてしまいましたが、これだけの好天ですからそれほどのことではありません。問題は飲み水を減らしてしまったことの方で、この日の長丁場を残りの1リットルで過ごさなければならなくなりました。途中水場は皆無です。真夏と比較するとやや涼しくなっていたのがせめてもの救いでしょうか。どちらにせよ、この後は汗を極力かかないようにゆっくり歩くことになりました。 1050m地点からは一旦下って行きます。しばらく下ると登り返しとなり、1259m峰を経て1293m峰を目指します。 |
![]() 【1050m地点】 |
|
![]() 【1293m峰の肩(正面)にペテガリ岳】 |
||
![]() 【1293m峰への道】 |
||
![]() 【一旦鞍部へ】 |
登り返した後は急登が続きますが、1200m付近になると一時的に気持ちの良さそうな稜線歩きになります。そして、やや小高い場所まで来ると正面に1293m峰が見えて、再び下って登ることになります。何度も繰り返すアップダウンは、体力も消耗させられますが、精神的にも疲れてしまいますね。 その際たるのが1293m峰から1301m峰間でしょう。この間は、1301m峰がそばに見えているように感じるにも関わらずなかなか近づかないうえに、細かいアップダウンがあります。水不足という緊急事態を招いていなければもう少し余裕をもって歩けたのかもしれませんが。 |
|
![]() 【登り返して1200m付近になるとやや開けた稜線】 |
||
![]() 【1293峰を眺める】 |
![]() 【1293m峰からの緩やかな下り】 |
|
![]() 【1301m峰】 |
1293m峰から緩やかな下りがありますが、最後の直登を除くとここが一番笹の密度が濃かったような気がします。ただし、順番に刈り払いをして行っているようなので、行く時々によって変わるのかもしれません。道中はずっと笹がありますので、これを全て刈り払って行くのは至難の業でしょう。 このあたりになってくると、全容とまでは行かなくとも結構ペテガリ岳が見える場所があります。ただし、すっきりと見える場所がなかったのは残念でした。アップダウンを繰り返しようやく鞍部らしき場所に着いた後は一気に登って行きます。1300m付近まで登り返すと再びなだらかな道になります。 |
|
![]() 【1293峰と1301峰の中間点付近からのペテガリ岳】 |
||
![]() 【正面の1301峰付近へ】 |
このなだらかな道は比較的歩きやすく、展望も開けそうでしたが、上記に書いたようにすっきりと見えそうでなかなかこれぞという場所がありませんでした。それでもここが一番よく見えるかなという場所はありましたが、かなり過ぎてしまったので帰路に撮ることにしました。(実際は帰路に雲がかかっていたのですっきりとした写真は撮れていません。) なお、1301峰手前からは鬱蒼とした樹林帯に入ってしまうので、いまいちピークらしき場所はわかりませんでした。ここで進む方角を北に変えて、一旦鞍部に下った後最後のペテガリ岳への直登になります。鞍部に下る途中や鞍部ではこれからの登るペテガリ岳を見上げることができました。 |
|
![]() 【1301峰よりやや下った藪の中よりペテガリ岳】 |
||
![]() 【鞍部手前より見上げる】 |
||
![]() 【鞍部へ下る】 |
最後の直登は標高差500m程で、一気に登って行きます。昨日の神威岳でもそうでしたが、急斜面の直登というのは日高の山の特徴の1つでもあるようです。 ただし、直登であるだけならまだいいのですが、笹に加えてハイマツなどの固い植物や枝などが登山道を覆っていて、それをかき分けるのは文字通りハードな登りとなりました。さらに、汗をあまりかかないようにと思っても、南面の登りですので背中に太陽を浴びながらとなりかなり暑かったですね。風がほとんど吹いていなかったこともあるでしょう。風が通る貴重な場所では、汗が引くのを待ってから再び登りに取り掛かりました。 |
|
![]() 【笹に加えてハイマツなどが登山道を覆う】 |
||
![]() 【山頂への道】 |
||
![]() 【ようやく山頂へ】 |
||
![]() 【ペテガリ岳山頂】 |
||
![]() 【登って来た急登を振り返る】 |
長い直登を終えるとようやく山頂に到着です。本当に山頂まで一直線といった感じでしょうか。山頂は前日の神威岳同様360度のパノラマが広がっていました。ついにここまで来たのだなという感慨がありましたね。 山頂はなかなか快適と言いたいところでしたが、かなり虫が飛び回っていて写真を撮るのも大変なくらいでした。また、飲み水の残りが気になるので、喉が乾かないように食べる物は最小限にしました。今日はペテガリ山荘までなので、問題がなければもっと長い時間のんびりしていたかったですね。 |
|
![]() 【北西方面稜線 ほぼ中央一直線に手前からルベツネ山〜ヤオロマップ岳〜うっすらとカムイエクウチカウシ山】】 |
||
![]() 【1839峰】 |
||
![]() 【東方向の稜線の眺め】 |
||
![]() 【北方向の眺め 正面中央に中ノ岳 中央奥に神威岳】 |
||
![]() 【神威岳】 |
||
![]() 【1301峰への登り返し】 |
30分少々のんびりしたら下山開始です。鞍部までは、足元の見えないところで転ばないように気を付けながら下って行きます。鞍部まで下った後は、1301峰への登り返しからアップダウンが続きます。登りでも苦労しましたが、下りでもやはり苦労させられます。特にササを漕ぎながらの1293峰の登り返しはなかなかきつかったです。 1293峰まで登ってくれば、大きな登り返しがなくなるので随分楽になってきます。飲み水もあれから500cc程しか飲まなかったので、500cc程残しており気分的にも楽になってきましたね。とはいえ、疲れはピークに達しつつあったので、小刻みに休憩を挟んで行きました。 |
|
![]() 【1050m峰へ】 |
||
1050m地点を過ぎれば後は下って行くばかりです。登りで払った蜘蛛の巣が再び張られていたのには閉口しましたが、無事16時過ぎには山荘まで戻ってくることができました。ペテガリ岳に登った充実感と飲み水1リットルでなんとか凌いだという安堵感の両方がないまぜになったような気分でした。 山荘に戻ったらさすがに誰かいるかなと思ったのですが、先に書いたようにこの日も宿泊者は自分以外になく、時間もあったのでかなりのんびりとした一晩になりました。ここまでの3日間は随分ハードでしたのでこのくらいの余裕があった方がいいかもしれません。 |
![]() 【登山口へ】 |
|
![]() 【キタキツネ】 |
3日目は、ペテガリ山荘に2泊したことから神威山荘に戻るだけになります。したがって、夜が明けてからゆっくり帰るつもりでしたが、前日早い時間帯に寝てしまったせいか、起きる時間もかなり早くなってしまい、結局夜明け前に出発してしまいました。林道歩きが長いので、歩いているうちに夜が明けて来ます。 林道の終点付近ではキタキツネがいました。あまり警戒心もなく周囲を歩きまわっていました。ここからは伐採地跡に出て、昨日チェックしておいた樹林帯の入口から笹をかき分けながら進み、再び沢をつめて行きます。順調に峠付近まで来たのですが、実はこのあたりで外すのを忘れていたヘッドライトをなくしてしまったようです。気づいたのはもう山荘に着く手前でしたので仕方なく諦めました。 |
|
![]() 【伐採地跡へ】 |
||
峠からの急な下りを慎重に進んで行きます。急な下りを終えた後も、滑りやすい箇所が何箇所かあるので慎重に進みました。そして、前日なんとかよじ登った岩場に到着です。三点支持で順調に下っていたのですが、最後に足を滑らせて膝を思いっきり打ってしまいました。一時はどうなることかと思いましたが、なんとかなりそうでしたので再び下って行きます。 沢を下って再び広々とした道に出ます。ここを歩いて、最初の渡渉地点に到着です。幸い天気がもってくれて水位が低いままでしたので、前日同様多少濡れるのを覚悟で渡渉してしまいました。今度は少々濡れてしまいましたね。 |
![]() 【樹林帯への入口】 |
|
![]() 【沢をつめて峠へ】 |
![]() 【岩場からを見下ろして】 |
|
![]() 【最初の渡渉地点へ】 |
最初の渡渉地点を過ぎれば、あとはひたすら林道歩きです。神威山荘が見えてきて、ようやく到着できました。3日目の行程こそ短時間でしたが、本当に長くて厳しい2泊3日の山行となったのでした。ちなみに、神威山荘に着いた時にも誰も到着していないようでした。この後、林道を車で走っている時にようやく1台の車とすれ違うという程度でした。 余韻にひたりつつ長い長い林道を戻って行きます。再びゲートの開け閉めをした後は、鍵を返却して日帰り温泉に浸かった後、時間に余裕があるのを生かして羅臼岳へ向かったのでした。 |
|
![]() 【再び神威山荘へ】 |
||
![]() 【神威山荘内部】 |
![]() 【再びゲートを開け閉めして】 |
|
この2泊3日を振り返ってみると、幌尻岳と合わせた未舗装林道の長さ(それぞれ片道20キロ以上)による運転の疲れ、日程の遅れによる日没後のペテガリ山荘到着、ペテガリ岳登頂における飲み水の漏れ、神威山荘への帰路でのヘッドライトの紛失と岩場からの膝の打撲とさまざまな要因により厳しい山行となりました。山そのものの厳しさというよりは、ミスや無理な計画などが主因ではありますが、やはり容易な山ではなかったのかもしれません。ただし、神威岳で1人会っただけという本当に静かでありながら、奥深い日高の山を堪能するという充実した山行にもなりました。 今回なんとか計画通りに2山に登れたのは、やはり最後まで天気がもったことが大きいでしょう。3日目は若干曇ってはいたものの雨が降るまでには至りませんでした。このあたりは運が良かったのかもしれませんね。 この2山ですが、笹藪が激しいなどの歩きにくい場所こそありますが、ルート自体は明瞭なので、その点では歩きやすかったような気がします。事前の情報ではありましたが、実際に迷うような場所は少ないでしょう。また、沢登りの必要な山となっていますが、登山靴でもなんとか歩けるくらいの沢登りです。もちろん、滑りやすい場所、水に浸かる場所もありますので、沢靴推奨なのは言うまでもありません。自分もきちんとした沢靴があれば、沢靴で歩いたと思います。このあたりは本当に準備不足で反省すべき点でした。 何はともあれ、こうして今回の北海道遠征の天王山である幌尻岳、神威岳、ペテガリ岳の日高山脈の3山を歩ききることができたのでした。 |