つるぎだけ
 剱岳
登山日: 2010年9月26日(日)   標高:2999m(剱岳)
    累積標高差 : − m(馬場島から約2240m)


 9月26日(日)    馬場島 2:40 → 1600m地点 4:40 
   →  早月小屋 6:40(〜50) → 剱岳 9:20(〜10:00)
   →  早月小屋 12:10(〜20) → 1600m地点 13:20
   →  馬場島 14:50

 

 本日は剱岳に登ります。「試練と憧れ」の碑の存在、剱岳まで一気に駆け上がる魅力から早月尾根から登ろうという思いは前々から持っていました。今年前半の日帰り天王山ともいうべき大無間山に登ってからしばらくして、この早月尾根からの剱岳というのが1つの目標になっていました。

 問題は日帰りで登るかどうかということです。当初は日帰りで考えていたものの、最近の足の調子を見る限りでは1泊は必要かなと思っていました。しかし、この時期の早月小屋付近でのテント泊は冷え込みが厳しそうなことや水を担ぎ上げる必要があることなどから、結局涼しさを生かした日帰りということにしたのでした。

【馬場島荘前駐車場】 
  
【登山口手前付近】
 実際はテント泊の方も多かったですし、山頂付近の岩場を通る際に余力を残して置くためにも早月小屋泊というのはいい選択肢だと思います。また、早朝に山頂にたてますのでよりクリアな展望を望むことができるでしょう。この日は、早朝に登った方はかなりの展望が得られたのではないでしょうか。

 前日雨飾山に登って温泉に浸かった後、夕方の明るい時間帯に馬場島に入ってくることができました。前日雨飾山に登ったのは、もちろん雨飾山に登りたいという気持ちに加えて、この日に備える意味もありました。前日の明るい時間帯から登山口に入ったのは初めてです。それだけ今回は万全を期する必要性を感じていました。   

【剱岳石碑】 

【正面を進むと登山口】 
 
【試練と憧れの碑】 
 
【剱岳の諭】
 馬場島山荘前の駐車場から道を奥に進んで行くと、剱岳の石碑があります。この石碑のところから入って行くと、「試練と憧れの碑」と「剱岳の諭」があります。これを見られただけでも感慨深いものがありましたね。この碑をさらに奥に進んだところに登山口があります。右奥に登って行くのが正しい道です。左にも入って行く道があるので要注意でしょう。

 案内看板を見ると、8キロちょっとの道で標高を2000m以上稼ぐことがわかります。いかに急登が続くかということでしょう。登山口の下調べが終わった後、雲間に見えた夕日を見て明日に備えることにしました。
 
 
【登山口 正面看板の右から登山道へ】
 
【案内看板】
 
【雲間に見えた夕日を浴びた山々】 
 朝は午前2時半出発を目指すべく1時半過ぎに起きます。なんと起きた時間には既に歩き始めている人がいました。この午前2時半というのは、コースタイム15時間半を考慮して、完全に暗くなる18時までに戻ってくることを考えて逆算した出発時間です。足が遅いとはいえ多少は縮まって、実際は17時前くらいに戻って来られればいいかなと思っていました。

 この時間に出発ですと、暗闇の中で3時間も歩く必要がありますが、樹林帯の急登を歩くことを考えれば、多少歩きにくいことを考慮しても涼しくてちょうどいいのかなと思いました。幸い一本道でわかりやすい道であるというのもあります。  
 
【1000m地点休憩場所(下山時)】

【標高案内(下山時)】  

【平坦な道(下山時)】  
 若干準備に手間取って2時半を少し回っての出発となりました。前日に登山口までの下調べをしていましたので、何も見えなくても登山口まではスムーズに行けました。その後はひたすら上りが続くわけですが、道ははっきりしていますので特に問題なく進んで行けます。視界が狭いので足元の岩や木の根には注意ですがね。

 しばらく登って行くと1000m地点に到達です。早月尾根では、標高200mごとにこのような看板があります。早月尾根は一定の角度で登り続けるので、標高は現在地を計るいい目安になります。1000mを超えたあたりではしばらく平坦な道が続きます。こんなに整備された道を歩いていたのかと気づいたのは下山時のことです。

【大木の横を歩く(下山時)】  
 
【標高1200m(下山時)】  

【標高1600m(下山時)】  
 しばらく平坦な道を歩いた後は、再び上りが続きます。このあたりはところどころで開けていて、きれいな星空や月、そして市街地の夜景を眺めることができました。特に登り始めから剱岳方向に見えていたオリオン座は見事でした。また、市街地の夜景も本当にきれいでした。三脚があったら撮っておきたい景色でしたね。

 3時間の単調な暗闇での登りと思っていたものの、時々見える星空や夜景を眺めていると、意外と退屈さを感じず、いつの間にか時が過ぎて行きました。標高1800mを過ぎてしばらく歩いたあたりから徐々に明るくなってきました。そして、標高2000m地点に到着した頃にはほぼ普通に歩ける程度の明るさになっていました。暗い中で1000m以上の標高を稼いでいたことになりますね。 

【上りは続く】 

【標高2000m 早月小屋手前1キロ】  

【猫又山の夜明け】 

【登山道脇の池】 
 2000m地点を過ぎた後も登りが続きますが、やがてよく整備された平坦な道になります。脇には池などもありました。このまま早月小屋に着くのかなと思ったのですが、小屋手前にロープのかかった少し登りにくい岩場がありました。この岩場をなんとか登りきると丸山と呼ばれている小高いピークに出ます。

 ここを下った先に早月小屋があるのですが、なかなかの展望でしたのでしばらく周囲の景色を眺めていました。振り返れば富山湾、脇には猫又山や奥大日岳などが見えます。そして、正面には剱岳のごつごつした山肌もわずかながら見ることができました。 
  
【早月小屋前岩場】
 
【丸山より早月小屋】 
 
【富山湾方面】

【剱岳】 
 
【奥大日岳】
 
【剣御前】 
  
【早月小屋】

【テント場】
 早月小屋に到着したら少し休憩をします。その際にあまりに指先が冷たいので、指先の出る手袋からきちんとした手袋に替えました。予想通りこのあたりの標高になると結構冷え込んでいて霜も降りている状態でした。ただし、この日はほとんど風がなかったので、日が出てきてからはほとんど寒さを感じることはありませんでした。

 休憩をした後はさらに先へ進みます。山頂まではまだ3時間以上もあります。本格的な岩場こそまだですが、早月小屋からは徐々に道が険しくなっていきます。

【尾根道を登る】  
 
【2400m地点】 

【山頂へ続く尾根道と朝日の脇の剱岳】 

【尾根道】 

【岩肌が目立つように】  

【2600m地点】 
 早月小屋以降も着実に標高を稼いで行って2400m、2600m地点を過ぎて行きます。このあたりになってくると、健脚な人が次々に抜いて行きますね。格好も身軽ですしスピードが全然違います。このルートは健脚な人が結構歩いているようですが、予想以上に多くの人が歩いていました。

 2600m地点を過ぎるとさすがに岩場が増えてきます。2600m地点でストックをしまってというレポをいくつか見たのですが、結局2800m地点までしまわずに歩きました。岩場もあるのですが、必ずしも岩場ばかりではないので、意外とストックは役立ちました。ただし、よじ登る場所もあるので、しまった方が間違いはないと思います。 

【随所にある岩場】

【2800m地点】 
 
【2800m地点から稜線を眺める】 

【鎖を使ってトラバース】
 結構岩場も登ってきたかなと思って来た頃2800m地点に到着です。まだ使えそうだったのですが、何かあってからではということでここでストックをしまいます。ここからは見事な剱岳が見えたのですが、逆光でまともに写真が撮れなかったのでそのまま進みました。東に向かって登るので午前中は逆行になってしまうのですね。

 少し歩いて行くと本格的な岩場に入って行きます。ただし、目印のペンキや鎖がしっかりしていますので、落ち着いて進んで行けば問題ないと思います。トラバースする道で下を見ると高度感があるのかもしれませんが、下を見なければ全体的に怖さを感じる場所はほとんどなかった気がします。
 

【岩場は続く】
  

【トラバース道 道幅も狭くボルトの足場があり】

【岩場の上り】
 よじ登る場所も手や足をかける場所はきちんとあったので問題なく登って行くことができました。最後、長めの上りを登りきるとようやく岩場の上りが終わります。岩場を一生懸命登っていたらいつの間にか着いていたというのが正直なところです。思っていたよりあっさり登ってしまったなと思う反面、岩場が続きますので緊張感もあった上りでした。

 その後は岩のごろごろした道を登って行くと、やがて別山尾根との合流点があります。さらに岩のごろごろしたような場所を進んで行くとようやく剱岳山頂に到着です。長い長い登りを終えての登頂は感慨深いものがあります。長かったようにも思えますし、あっという間にも思えたのでした。 

【最後の長い岩場の上り】 

【振り返ると早月小屋 そしてさらには麓まで見えています】  

【別山尾根分岐を眺めて】

【山頂の様子】    

【剱岳山頂】   

【毛勝三山】    

【白馬三山】  

【鹿島槍ヶ岳】  

【左奥に笠ヶ岳 中央奥に黒部五郎岳 右に薬師岳】  

【富士山もくっきりと】  

【奥に槍の穂先】 

【立山連峰】  
 
【中央に室堂 中央奥は薬師岳】 

【別山尾根】  

【富山湾】  

【岩場を下る】  
 山頂からは見事な景色が広がっていました。時間の関係で少し霞んでいるものの、どの方向の山もはっきりと見ることができました。富士山まで見ることができたのは驚きで、実際偶然山頂にいた山小屋の方の話ではこの時期ではめったに見られないとのことでした。結局山頂にいた40分はずっと写真を撮ったり景色を眺めていて、休憩になっていたのかどうかというほど素晴らしい景色でした。

 名残惜しくはありますが、下りも長いので10時頃下山開始です。岩場の下りは当然上り以上に慎重に下って行きました。鎖場よりもザレた道の方が正直神経を使ったような気がします。

【2800m付近からの剱岳】  

【2600m付近からの剱岳】  

【早月小屋付近ではガスが】 
 下りでも次々抜かれるような状況でしたが、慎重に慎重に下って行きます。さらに、疲れきってしまわないように標高を400m下るごとに休憩を入れました。ザレた道の続くあたりでは、踏ん張った場所も多く少し足に来ましたが、その後は比較的順調に下って行きます。また、逆光気味ではありましたが、なんとか剱岳の雄姿も撮ることができました。

 午後から曇りになるという予報のとおり、早月小屋に着いた頃にはかなりのガスが出ていました。いい時間帯に登ることができたということでしょうか。先週の疲れが残っていたのか膝の張りが下り始めからずっとあったのが気になるところでしたが、なんとか騙し騙し下って行きます。

【アキノキリンソウのお花畑】 

【お花畑】  
 
【長い長い山行もようやく登山口へ】
 早月小屋からも長い下りが続きますが、早月小屋直下の岩場を過ぎた後は難所らしい難所もないので順調に下ることができました。途中のお花畑に癒されながら下って行きます。結局、最後までばてることなく下ってくることができました。ただ、翌日は足がかなり張っていましたので、やっぱり限界だったのかもしれませんね。

 思ったより早い時間に下山ができて充実感に浸りますが、自宅までの450キロの運転という試練がまだ待っていました。結局は深夜に帰宅して、長い長い「試練と憧れ」の山行を終えたのでした。 
 今回は用意周到というほどではないにせよ、早めに現地に入って備えることによって、無事に早月尾根剱岳登山ができたのではないかと思います。日帰り登山者の中ではほぼ最後に下山したものの、落ち着いた充実した山行となりました。膝の張りや足首の不調もあったものの、終始マイペースで歩いたせいかあまりひどくならずに下山することができたのだと思います。


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