いよふじ | |
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登山日: 2011年1月25日(火) | 標高:1756m(伊予富士) |
標高差 : 駐車地点から約660m |
1月25日(火) | 駐車地点 7:00 → 登山口 7:10 → 桑瀬峠 8:25(〜50) | ||||
→ | 伊予富士 11:35(〜55) → 桑瀬峠 13:45(〜55) | ||||
→ | 登山口 14:20 → 駐車地点 14:25 |
本日は四国再遠征最終日ということで伊予富士に登ります。当初は笹ヶ峰とセットでなどとも考えていたのですが、笹ヶ峰だけでも辛うじてというくらいの積雪量でしたので、1日かけて伊予富士に登ることにしました。天気予報では寒波が来るうえに天気も微妙な感じでしたので、切り上げて帰ることも考えましたが、大荒れというほどではなさそうでしたので、行けるところまで行くことにしました。 登山口は旧寒風山トンネル南口になります。これまでの四国遠征での積雪量を考えるとこんなに標高の高いところまで入れるだろうかと思ったのですが、圧雪されていたので順調に向かうことができました。 |
![]() 【駐車地点】 |
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![]() 【旧寒風山トンネル手前付近】 |
しかし、もう一息というところに吹き溜まりがあって上がることができません。チェーンをすれば十分行けそうでしたが、真っ暗な時間帯でこの先はずっと悪路が続くかもしれないと思ったのと、数百メートルなら歩いた方が早いと思い、登山口手前のスペースにとめることにしました。ここは、別の林道との分岐になっているうえに広いスペースがあったので問題なく駐車できました。この場所で車中泊をしたのですが、雪が降っていて、降雪量を気にしながらの一晩となりました。 朝起きてみると轍が埋まる程度の積雪量でした。天気はどんよりとして若干雪が降るような状況でしたが、とりあえず桑瀬峠までは行けるだろうと思い出発しました。 |
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![]() 【旧寒風山トンネル南口駐車場(下山時)】 |
![]() 【冬季閉鎖ゲート(下山時)】 |
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![]() 【登山口(下山時)】 |
林道を500mも歩かないうちに旧寒風山トンネル南口に到着です。旧寒風山トンネルや瓶ヶ森、石鎚山土小屋方面につながる林道は冬季通行止になっていました。ここには、公衆トイレもありますが、冬季は使用不可になっています。林道のゲート脇にある寒風山と書かれた看板が登山口になります。桑瀬峠までは、寒風山と同じルートとなります。 登山道は踏み固められた道の上に新雪が積もっている状態でした。最初からそれなりの急登があって滑るので、登り始めてすぐに軽アイゼンをつけました。結果論からいうと雪が多めのこの日のコンディションなら12本を持ってくるべきだったかなと思いました。 |
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![]() 【新雪の被った登山道】 |
![]() 【雪の積もった斜面を眺める】 |
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![]() 【トラバースを終えて】 |
桑瀬峠まではひたすら標高を稼いで行きますが、最初はトレースのしっかりした道の上にうっすらと新雪を被っている程度でした。しかし、樹林帯を抜けてトラバース気味のところに出てくると、完全に道が埋まってしまいました。この時点で引き返そうかとも思いましたが、まだ早い時間帯でしたので、遠方に一部うっすらと見える登山道らしき道をにらみながら、一歩一歩足場を確認しながら進みます。その中でも、斜度が急な場所は特に時間をかけて進みました。このあたりは、雪が降らなくても斜面の雪が落ちてきてすぐに埋めてしまうのでしょう。 桑瀬峠までは順調に登れると思っていただけに思ったよりも厳しいスタートとなりました。 |
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![]() 【桑瀬峠 左手前に伊予富士へ 右奥に寒風山への道】 |
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![]() 【ワカン装着】 |
予想していたとはいえ、このあたりまで登ってくるとガスの中に入ってしまいました。視界が悪く遠方の山はとても見えませんでした。気温も低かったのですが、唯一の救いは風がそれなりに吹いていたとはいえ、雪を巻き上げるほどではなかったことでしょうか。この日の天候はこれ以上はひどくはならない予報でしたので、まだ時間が早いことを利用してルートを探しながら進むことにしました。 桑瀬峠では、前日までラッセルで苦労したことに鑑みてもってきたワカンを初めて装着しました。視界が悪く雪も深そうでしたので、ワカンをしばらく歩き慣らした程度で帰ってくるくらいでも仕方がないかなという感じでした。 |
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![]() 【稜線への取り付き】 |
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![]() 【稜線歩き】 |
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![]() 【雪の深い斜面より】 |
まずは峠から稜線へ上がります。ここは雪が深くいきなりワカンの効果を試しながらの登りとなります。上がった後は稜線歩きになります。登山道は完全に見えなくなっていますが、足の嵌り具合で予測しながら歩いて行きました。登山道上であれば、足首が埋まるかどうか程度の積雪です。外すと膝以上に突っ込むことになります。 ここまではわかりやすかったのですが、その後稜線上に大量の雪が残っている場所になると、登山道が完全に稜線上についているのか、それともやや稜線を外したところについているのかがわからず悩むことになります。結果としては雪が積もって盛り上がっていても稜線を歩くのが正解だったようで、斜面は場所によっては腰まで埋まってワカンを履いていてもかなり歩きにくかったです。 |
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![]() 【道中の樹氷】 |
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![]() 【樹林帯の道】 |
稜線は盛り上がっていても、せいぜい膝くらいまでしか埋まりませんでした。結局、しばらく深い雪で苦労した後に稜線まで登り返して進むことにします。やがて樹林帯の道に入りました。傾斜のある樹林帯の道でしたので、道が比較的わかりやすかったのは助かりました。樹氷はきれいでしたが、この時はそれを楽しむほどの余裕はなかったようです。 樹林帯では木にかなりの雪が積もっていましたので、道中を塞いでいる木はほとんどしゃがんで木に当たらないようにして通り過ぎて行きました。樹林帯を抜けると再び広々とした稜線に出ます。 |
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![]() 【誤って登った小山を眺める 正しいルートは右方向から手前方向へのトラバース】 |
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![]() 【貴重な案内看板】 |
ここからはやや下りながらトラバース気味に歩いて行きます。実は、先に全く山が見えずやや下りであったために、このあたりから取り付いた山が山頂だと思って、稜線に取付いて登ってしまったのでした。実際は行程の半分も行っているかどうかで本当に恥ずかしい話です。 誤りであったことに気付いて、再び稜線のトラバース道を歩いているとやがて稜線に乗ってきます。ここもかなり盛り上がっていて一見道には見えないのですが、登山道上であれば膝以上に埋まることはありません。やがて、トラバースする道と稜線をそのまま歩く道のどちらでもとれそうな場所に出ます。ここには幸い桑瀬峠以来の看板があって、稜線を指しているように見えるので稜線を再び歩きます。 |
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![]() 【先の見えない稜線】 |
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![]() 【雪庇(というほど発達してなさそうですが)】 |
実は高度計が道中で大幅に狂っていたようで、このあたりで既に山頂近くの高度になっていました。もう少しで山頂だと思いながら登っていたことが、心理的に疲労感を増していたような気がします。 稜線は緩やかながらもアップダウンが続き先も見えない状態でした。左が急斜面になっていますので、左側斜面には気を付けて歩きます。途中、雪庇らしき場所もありましたので、このあたりは雪深いのを覚悟で右手の樹林帯を歩きました。やがて稜線を下ってほぼ平坦な道になります。方向は確認して歩いているとはいえ、本当に山頂方向に向かっているのだろうかと思いました。しかし、この付近にも案内看板があってルートが正しいことがわかります。しかし、この看板の「伊予富士25分 桑瀬峠40分」を見た時にはまだ半分ちょっとしか歩いていないことにがっくりきてしまいました。 |
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![]() 【稜線を巻いて歩いた付近(下山時)】 |
![]() 【案内看板(下山時)】 |
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![]() 【伊予富士への取付付近 正面の樹林帯を右に巻いて登る(下山時)】 |
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![]() 【右から樹林帯の道に(下山時)】 |
しばらく道なりに歩いていると正面に樹林帯が出てきます。道が読めなかったので、樹林帯を右から回り込むように登って行きました。回り込んだあたりに急斜面がありましたが、これはワカンの浮力で九十九折れに登ってしまいました。再び樹林帯に突き当たって、回り込もうと思ったのですが雪が深すぎて腰まで埋まるので、樹林帯に道がとれないか探したら、どうもそれらしき場所があったので通ります。急なうえに雪が少なくて凍っていたために、木にしがみついて登るような感じでした。 ここを抜けたあたりから再び道がわからず、見上げるとかなりの急斜面の上にうっすらと道らしきものが見えますので、再び九十九折れに道をつけて登って行きました。 |
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![]() 【上部に見える道に向かって登る(下山時)】 |
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![]() 【右の凍った斜面をよけて登る(下山時)】 |
うっすらと見えた登山道はやはり雪の下が固くて歩きにくかったのですがなんとか登って行きます。しかし、さらに急傾斜になってとても登れる状態ではありませんでした。ここだけはピッケルが欲しくなるような場所でした。しかし、左脇に道を付けてなんとか登ることができました。さすがに、このあたりで道を外すと結構な深さの雪になりますが、一歩一歩固めながら登ってやっとという感じです。 ようやく最後の難所を越えて、山頂までもう少しであることが確信できました。この付近も硬めの道ですが、斜度が先ほどの場所ほどではないので、そのまま上がって行くことができました。そしてついに山頂に到着です。 |
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![]() 【ようやく山頂までもう少し】 |
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![]() 【山頂看板】 |
このような天気でしたので展望は全くありませんでしたが、このような状況下で山頂に到着できたという感動と安堵感で、正直展望などどうでも良かったというのが実際のところです。山頂でしばらくのんびりしていたかったのですが、見るべきものが何もないのと、やはりじっとしていると寒かったので、少し休憩をしたら下山を開始します。 やはり、足元の硬いところはワカンでは歩きにくかったのですが、雪深いところは登りで足元を固めながら丁寧にラッセルして行ったせいか、急斜面でも難なく下って行くことができました。さすがに、凍結箇所をよけた場所は滑り落ちたらどこまで転がって行くかわからなかったので慎重に下りましたが、下っていた時はそれほど危険を感じませんでした。 |
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![]() 【周囲の展望の全くなかった山頂】 |
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![]() 【徐々に晴れていくガスと見え始めた稜線】 |
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![]() 【斜面の樹氷を眺めて】 |
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![]() 【登りで腰まで埋まった樹林帯】 |
下って行くうちにガスが徐々に晴れてきました。同時に遠方の稜線が僅かながらも見えて来ます。この時は一時的にガスが上がっただけかなと思っていたのですが、さらにガスが晴れて行って、結局雲がなくなるまでとはいかないまでも、かなり周囲を見渡せるまでにはなりました。 歩いてきた稜線がずっと見えているのですが、それにしても一本のトレースがずっと続いている様には改めて感動しました。ガスに巻かれてましたから、必死に歩いてきただけなのですが、そのトレースに美しささえ感じるほどでした。 |
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![]() 【稜線の彼方まで続くトレース】 |
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![]() 【樹氷群を眺める】 |
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![]() 【伊予富士と歩いてきたトレースを振り返って】 |
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![]() 【稜線の道へ】 |
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![]() 【伊予富士の全容を眺めて】 |
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![]() 【樹氷と寒風山】 |
登る途中、そして山頂では展望に恵まれなかったせいか、下りでは少し歩いては写真を撮るという感じで、歩きやすかった割にはなかなか足が進みませんでした。実は途中でカメラが曇ったり、しみがついていたのですが、それにも気づかずに一生懸命写真を撮って歩くという感じでした。 伊予富士から遠ざかるに連れて全容が見えてきました。登りで見えていたら、コース取りに悩むこともなかったでしょうし、テンションも上がっていたことでしょう。さらに、この頃になると寒風山も姿を現してきました。ただ、その奥にある笹ヶ峰は最後まであともう少しの雲が取れませんでした。 |
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![]() 【続く稜線と左に寒風山】 |
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![]() 【登りでくぐった道】 |
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![]() 【トラバース道を歩く】 |
その後も写真を撮りながらのんびりと戻って行きます。これだけすっきりと晴れているとルートも良く見えてくるもので、自分で付けたトレースを修正しながら歩いて行きます。とはいえ、うっすらとトレースが残っていたところを探しながら歩いてきたので、意外ときちんと歩いてきていたようです。 伊予富士とお別れして、最後の稜線歩きに入ります。正確には桑瀬峠付近でも伊予富士は見えますがね。登りでくぐったり、トラバースした道を戻ります。徐々に寒風山が大きくなってきました。そして、登りで苦労したラッセル箇所はやはりというべきか、盛り上がった稜線の上、真上だと崩れそうだったのでやや樹林帯側を歩くと膝くらいの深さで済みました。 |
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![]() 【寒風山もようやくすっきりと】 |
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![]() 【トレースを振り返って】 |
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![]() 【帰路はやや樹林帯側を歩く】 |
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![]() 【すっかり晴れ渡った桑瀬峠】 |
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![]() 【大活躍(?)のワカン】 |
結局帰路も結構な時間をかけて桑瀬峠まで戻って来ました。桑瀬峠にはいくつかのトレースがついていて、寒風山に登ったり、この付近で写真撮影をしていた方がいたようです。朝のどんよりとした雰囲気からすると本当に別の場所にいるようでした。ここでワカンを外して再び軽アイゼンを装着しました。 登りで苦労した桑瀬峠手前付近の道は、その後何人か通ったおかげで既に普通に歩ける道になっていました。予想通りとはいえ若干修正が入っていましたけれども。その後も軽アイゼンではちょっと浅いかなと思う場所もありましたが、それなりに効かせつつ無事登山口まで戻ってくることができました。 |
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登山口には2台車が止まっていて、片方の車で来られた方にトレースの感謝をされました。恐らく、ベテランの方のようでしたのでトレースがなくても問題ない方だと思いますがこの時は素直にうれしかったですね。その後、林道を若干下って駐車場所まで戻ってきました。この頃になると本当にすっきりとした青空が広がっていました。 前日は中途半端な一日に終わり、この日も前夜からの雪、そしてトレースのない道、先の見えない稜線に何度か引き返そうと思いましたが、最後までがんばって本当に良かったと思いました。もちろん、粘ったことが必ずしも正しい判断だったとは思いませんが、自分にとってはいい経験になったのではないかと思います。 |
![]() 【すっきりとした青空に】 |
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恐らく無雪期に登った場合には、林道の途中にある最短で登れる登山口から登ってあっさり終わってしまうであろう伊予富士でしたが、冬に来て苦労はしたもののそれだけ素晴らしい山々と樹氷を眺めることができたのではないかと思います。なお、トレースがなくても晴れていれば比較的わかりすいルートなのではないかと思います。伊予富士から下ってしまうまで晴れなかったことや、カメラが曇っていてもやっとした写真になってしまったのは残念でしたが、前夜からの天気を考えるとこれだけ回復してくれただけでもありがたかったですね。今回も苦労した四国再遠征でしたが、いい締めくくりとなりました。 |