えぶりさしだけ
 杁差岳
登山日: 2011年6月12日(日)   標高:1636m(杁差岳)
    標高差 : ゲート前から約1300m


 6月12日(日)    ゲート前 3:50 → 松尾根登山口 4:40 → 大石山 7:40
   杁差岳 8:50(〜9:20) → 大石山 10:20(〜35)
   松尾根登山口 12:40 → ゲート前 13:15

 

 本日は杁差岳に登ります。前日、現地入りが遅れてそこそこの時間で登れる山を1山登って終わったために、時間的な余裕が生まれました。それで、まだ日の暮れる前に杁差岳のゲート前までやってくることができました。ゲートまでの道はきちんと舗装されており走りやすかったです。

 ゲート前には立派な奥胎内ヒュッテがあり、ヒュッテには宿泊者用駐車場があります。ここからやや離れた道路に沿ったスペースが登山者用駐車場となっています。やや離れたと言っても歩いてすぐの距離です。なお、登山者用駐車場とヒュッテの間あたりには公衆トイレもあります。この日はこの駐車場で車中泊をして翌日に備えました。 

【ゲート前登山者用駐車場(前日)】 
 
【奥胎内ヒュッテ(下山時)】
 睡眠時間が十分に確保できたことから夜明け前に出発します。最初が林道歩きでしたからもう少し早く出発しても良かったかもしれません。実際、この前には既に何人もの方が出発しています。日帰りするには長丁場となりますので、全体的に出発する時間は早くなるでしょうね。

 最初はゲートからの林道歩きですが、もはや林道ではなく普通の車道です。幅が広いのでコーナーを突きながら道路の真ん中を歩いて行きます。途中ダム工事現場への分岐があって舗装道路はここで終わりです。ダム工事用に整備された道のようです。分岐からは未舗装の道になります。 

【ゲート(下山時)】 

【広々とした舗装道路(下山時)】

【通行止めのダム工事現場への道】 
 未舗装の道と言っても路面の状態は良く、普通車でも十分走れるレベルだと思います。なんとか1時間弱で松尾根登山口に到着することができました。なお、この登山口までの間は例年7月頃から乗合タクシーが出ているようです。時間が決まっているうえに、時期も不定期なので確認が必要ですが。なお、路面状態がいいこともあって、自転車を使っている人が結構いました。この時も歩いている途中に自転車で抜かれました。

 松尾根登山口からは本格的な登山道に入って行きます。最初はほぼなだらかな樹林帯の道ですが、間もなく木の根の急登があり一気に高度を稼いで行きます。
 
【登山口へ】

【足の松尾根登山口】
 
【木の根の急登】
 この木の根の急登は、聞いていた通り足場がやや悪く歩きにくいです。ただし、濡れてさえいなければ本当に足場が悪かったのは最初だけで、後は少々歩きにくい程度かもしれません。ただし、とにかく大石山までが長丁場になりますので、ちょっとした歩きにくさも積み重なるとなかなか厳しいものがあるかもしれません。

 道中にはやせ尾根や岩を乗り越えるような場所もあって登って行きます。ロープや目印などはしっかりしていますので、木の根の道と同様に濡れていなければそれほど厳しい道ではないでしょう。

【岩を越えて進む】 
 
【姫子ノ峰 780m】

【残雪を抱えた山々】

【滝見場から見た滝(下山時)】

【木の根の登りは続く】
 しばらく登って行くと姫子ノ峰に到着です。案内板に標高の表示がありここは780mのようです。この先もピーク毎に山名及び標高が記されていていい目安になります。この場所は見晴らしもよく休憩にはうってつけでしたが先客がいたのでもう少し先まで行ってみることにしました。

 さらに歩いて行くと滝見場という場所が出て来たのでここで休憩することにします。滝見場といっても遠方に小さく見えるだけですが、なかなか立派な滝のようです。ここで少し休憩をしたら先に進んで行きます。なお、この標高1000m前後付近は、アップダウンが結構あって思ったように標高が稼げず気分的に少し大変かもしれません。帰路も小刻みな登り返しは結構堪えました。

【英三ノ峰 940m】

【唯一の雪渓歩き】
 
【ヒドノ峰 1080m】
 やがて、英三ノ峰と呼ばれる場所に出ます。このあたりからは、徐々に視界の開けた場所も出て来ます。両側に飯豊連峰の峰が伸びていて、残雪を抱えた山々が聳えています。素晴らしい眺めではありますが、正直これだけ雪が多くて大丈夫かなという不安もありました。

 その後ついに雪渓歩きが出て来ます。この雪渓は斜度も緩やかなので特に問題なく進んで行きます。しかしながら、雪渓を横断する場所はこの後も出て来ますが、雪渓を登るのはここが最初で最後でした。 

【水場(左)分岐 ルートは右へ】 
 
【雪渓を渡る】
 
【イチジ峰 1265m】
 雪渓を越えてしばらく歩くとヒドノ峰と呼ばれる場所に出ます。ここを一旦下ると水場への分岐があります。15分程の距離ということですからやや少し距離があるようですね。ちなみに、この分岐を過ぎると間もなく雪渓を渡る場所があります。驚いたことにこの後杁差岳まで雪の上を歩く場面はありませんでした。

 雪渓を渡った後は再び樹林帯に入って高度を一気に稼いで行きます。やがてイチジ峰に到着です。イチジ峰からは左手に立派な山が見えますが、これは杁差岳ではなくその手前にある鉾立峰でした。 

【イチジ峰から見える鉾立峰】 

【大石山への最後の登りへ】

【大石山へ 中腹に崩壊地】 

【崩壊地 崖側に近寄らないように歩く】
 イチジ峰付近からは笹などに囲まれた急登を登って行きます。道中やや法面が崩壊気味の場所がありましたので注意して歩きます。ザレていますので下りでは特に注意した方がいいかもしれません。その後も、両脇の笹や雑木がやや突き出たような場所を登って行くと西ノ峰に到着です。ここまで来ると大石山はもう目と鼻の先で、杁差岳や飯豊北部の山々を眺めることができます。

  西の峰で少し写真を撮ったら少し歩いて大石山に到着です。ここで飯豊連峰の縦走ルートと合流します。正確には縦走ルートから足を伸ばした先になるとは思いますが。

【西ノ峰(1525m)へ】 

【大石山への稜線】
 
【ようやく杁差岳の雄姿が】
 
【左の地神山と連なる山々】

【大石山山頂】 
 大石山からは、小屋に泊まった方々とすれ違うようになります。 頼母木小屋方面に行くとハクサンイチゲが満開という情報があったので、余裕があったら行くことにして、まずは杁差岳に向かうことにします。結果としては曇ってきたこともあって行かなかったのですが、杁差岳に登ってなおかつ頼母木小屋方面まで足を伸ばすのなら1泊するのが無難かもしれません。この後、杁差岳へ向かう途中に軽装の方と結構すれ違ったので、前日に泊まった方は結構多かったのでしょう。

 大石山でゆっくり休む予定でしたが、休憩している方が結構いたので鉾立峰で休むことにして先に進むことにしました。

【頼母木山から地神山につながる稜線】 

【少しガスの中に入ってしまった杁差岳】 

【ハクサンイチゲのお花畑】 

【鉾立山への登りと右手斜面に残った残雪】 
 まずは、鉾立山に向けて大石山から鞍部に緩やかに下って行きます。杁差岳を望むには絶好の位置になるのですが、ちょうどこのあたりからガスが出てきてしまいました。この日は晴れの予定でしたが、早い時間帯から曇り空になってしまいました。ただし、ハクサンイチゲのお花畑は見事で、今までこのようなお花畑を見たことがなかっただけにうれしかったですね。少し写真を撮りつつ鞍部に下って行きます。気持ちのいい稜線歩きで、鞍部にも登山道上には雪がありませんでした。

 鞍部まで下った後は、鉾立山に登って行きます。東側斜面の残雪が気になるところでしたが、鞍部同様に登山道上には雪はありませんでした。 
 
【大石山から地神山への稜線を振り返って】
 
【鉾立山山頂】 
 鉾立山へは急登を進んで行きます。結構な急登でここに雪が残っていたら少し大変だったかもしれません。急登とはいえ九十九折れに効率よく標高を稼いで行きます。がんばって登りきると鉾立山山頂に到着です。

 山頂からは見事な景色が広がっていて、振り返れば大石山から連なる山々が、そして前方を見ればどっしりとした杁差岳を眺めることができます。涼しい風が吹いて、急登で流れた汗もすぐに乾いてしまいました。杁差岳までもう一息という感じですが、大石山で休憩をしなかったので、ここで少し休憩をしてから杁差岳に向かいました。
 
【鉾立山からの杁差岳】
 
【お花畑と鉾立山を振り返って】

【斜面に残った雪渓】 

【杁差岳山頂を眺めて 中腹にお花畑 山頂直下に杁差小屋】 

【山頂直下のお花畑】 

【杁差小屋】 
 鉾立山からは再び鞍部に向けてやや急な坂を下って行きます。鞍部に下った後は緩やかに杁差岳に向かって登り返して行きます。

 最後の緩やかな登りの途中には、杁差岳へ向かう道中では最も広々としたハクサンイチゲのお花畑が広がっていました。写真で撮ってみてもはっきりとわかるくらいの密度で咲いていて、本当に見事というほかありません。ここでしばしの撮影タイムを過ごした後、山頂まで登って行きます。途中には立派な杁差小屋もありました。山頂直下にありますから、1泊して夕陽や夜明けを眺めるのもいいかもしれません。

【山頂の様子】 

【杁差岳山頂】 
 
【前杁差岳に連なる稜線】
 出発から5時間後ようやく杁差岳山頂に到着です。周囲に遮るものはなく見事な景色が広がっていますが、山頂に到着して間もなく前杁差岳がガスに覆われてしまったのを始め、なかなかすっきりとした展望は得られませんでした。ここで休憩をしてのんびりすることにします。

 休憩を終えたら下山開始です。もう少しゆっくりしても良かったのですが、雲が増えてきてもしかしたら雨が降るかもしれないと思ったのと、花を撮りながら戻ろうと思ったのもあり、休憩を早めに切り上げることにしました。  
 
【飯豊の山々】
 
【ミヤマキンバイ】

【ハクサンイチゲ】 

【イワカガミ】 

【ミツバオウレン】 

【シラネアオイ】 

【ムラサキヤシオ】 

【コブシ】 
 下りは大石山に戻るまではゆっくり花を撮りながら戻って行きました。あまり花を求めて山に登ることのない自分にとっては、これほどのお花畑を見るのは貴重な経験でした。大石山までには、ピークを越えるので2回登り返すのですが、ゆっくりであったので思った程大変ではありませんでした。

 大石山に戻った後は、杁差岳に別れを告げて長い尾根道を下って行きます。このあたりになると、山中で1泊する予定の方々が次々と登られているようでした。

【ハクサンイチゲの群落】 

【ハクサンイチゲと杁差岳】 

【ようやくゲート前へ】
 尾根の下りは長いので、後ろから歩いて来た方々にはどんどん抜いてもらってゆっくりと下って行きました。途中何度も休憩を挟んだので、なんとかばててしまう前に松尾根登山口まで戻ってくることができました。疲れ切った状態で木の根の下りは厳しいかなと思っていたのですが、特に問題なく下ることができました。

 最後、再び長い林道を歩いて無事にゲート前まで戻って来ることができました。この付近を散策している方も結構いましたね。

 杁差岳は思っていたよりもずっと素晴らしい山でしたし、コースタイムもガイドに載っているほど長くはないと思います。いつか飯豊連峰を縦走するようなことがあれば、再度立ち寄ってみたいものですね。
 


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