ちゃうすだけ・かみこうちだけ
 茶臼岳・上河内岳
  登山日: 2011年7月9日(土)〜7月10日(日) 
  標高:2604m(茶臼岳) 2803m(上河内山)    標高差 : 沼平ゲート前から約1850m 


 7月9日(土)    沼平ゲート前 5:30 → 登山口 6:10 → ヤレヤレ峠 6:40
   ウソッコ沢小屋 7:40 → 横窪沢小屋 9:10 → 水呑場 10:20
   茶臼小屋 11:25(〜12:25) → 茶臼岳 12:50(〜13:15)
   茶臼小屋 13:40
     
 7月10日(日)     茶臼小屋 3:10 → 上河内岳 4:35(〜5:45) → 小屋分岐 6:40 
   茶臼岳 6:55(〜7:15) → 茶臼小屋 7:30(〜8:15)
   水呑場 8:45 → 横窪沢小屋 9:25 → ウソッコ沢小屋 10:15
   ヤレヤレ峠 11:10 → 登山口 11:40 → 沼平ゲート前 12:20

 

 本日は、テント泊練習のために茶臼小屋まで登ります。当初はまだ梅雨が明けていないと思い、昨年の様子からまず展望はないだろうということから、茶臼小屋までテントを担いで1泊して下る予定でした。茶臼岳は小屋からすぐに登れるので、茶臼岳くらいは登ろうかなという感じでしたね。それが出発前日になって梅雨明け宣言が出ました。それなら、改めて他の山という思いもあったのですが、結局予定通り今回の山行となりました。

 昨年の同じ時期に同じルートを歩いていますので、それほど下調べが必要ないのが利点でしょうか。山開きの前の週というのが気になるところで、実際この影響を受けることになります。 

【沼平ゲート前】 
 
【茶臼岳登山口(畑薙大吊橋)】
 自宅からは、畑薙第一ダムを過ぎたところにある沼平ゲート前に向かいます。何度も走り慣れた道ですが、この山道中心の80キロは何度走っても長いものです。ましてや初めて来る人にはとても長く感じることでしょう。

 昨年と違って梅雨明け宣言が出たせいでしょうか、スペースが埋まりきるほどではないですが、沼平ゲート前にはそれなりの台数の車がとまっていました。山開き前の週の休日に梅雨が明けていることはそうそうないでしょうから、結構貴重な週末となったのかもしれません。

【大吊橋を渡る】 

【山腹をトラバース】

【ヤレヤレ峠】 
 のんびり準備をしたら出発します。決して短い距離ではないですが、長丁場というほどでもないのでゆっくり出発です。ただし、最近の暑さが気になるところなので、早い時間帯に涼しいところまで上がりたいところです。

 最初は東俣林道を歩いて行きます。コースタイムで40分程歩くと茶臼岳登山口である畑薙大吊橋に到着です。この吊橋は造りがしっかりしているので、真っ直ぐ歩いている分にはいいのですが、立ち止まって下を見ると高度感抜群で、高所恐怖症の自分にはなかなか怖いものがあります。対岸に渡った後は、少し急登があった後、山腹をトラバース気味に進んで行きます。

【下って沢沿いの道】 

【何度か渡る吊橋】 

【鉄製階段】
 少しずつ高度を上げていくとヤレヤレ峠に到着です。昨年来た時にはこのネーミングに驚いたことを思い出しました。ここは、下りでも登り返して来る必要があるので、まだ余力のある登りよりも下りでそんな気分になってしまいますね。

 ヤレヤレ峠を過ぎた後は、やや下って沢沿いの道になります。ここは、轟音を立てて川が流れており、マイナスイオンたっぷりのひんやりとした道になります。途中、滑りやすい岩を歩く場所もあるのでやや注意でしょうか。その後、木の板の吊橋や鉄製階段などを登って進んで行きます。このあたりは、アップダウンがあったり、なだらかだったりであまり標高を稼がないまま進みます。

【ウソッコ沢小屋手前水場】 

【横窪峠】

【横窪沢小屋】
 しばらく歩くと水場が出て来ます。なかなか冷たくておいしい水です。ここを過ぎると間もなくウソッコ沢小屋に到着です。ここは避難小屋で1年中閉鎖されているのかと思ったら、下山時に小屋を開けて整備していました。小屋の裏手を下ったところには水も引いており、夏だけ使えるようにしているのでしょうか。

 ウソッコ沢小屋からは、急登の連続になります。小屋直後のザレた道と梯子は雨天時にはちょっと注意が必要でしょう。その後はひたすら高度を稼いで行きます。厳しい登りですが、高度を稼ぎやすいのはいいかなと思います。 

【大無間山ビューポイント】

【樺段】 

【茶臼小屋手前の緩やかな登り道】 
 登って行くと横窪峠に到着です。ここで一息入れたら一旦沢に向かって下って行きます。沢を渡渉して少し登り返したあたりに横窪沢小屋があります。ここも登った時には冬期小屋のままでしたが、下山時には小屋を開けていろいろ整備していました。こちらは有人の小屋として夏季は営業されます。

 横窪沢小屋からは再び急登が続きます。この日は涸れていることの多い水呑場の水も出ていて冷たい水が喉を潤してくれます。また、昨年は何も見えなかった大無間山ビューポイントからは、見事に大無間山を見ることができました。 

【茶臼小屋 左手はトイレ】 

【シナノキンバイ】
 その後急登が終わり緩やかに登るようになってくると茶臼小屋は近いです。ちらほら花が見えるようになってくると、やがて正面に茶臼小屋の立派な建物が見えて来ます。また、小屋の周りは見事にお花畑になっていました。

 とりあえず一息つきつつテントの設営をすることにしました。既に2張ありましたが、スペースはいくらでもありますので、どこがいいかいろいろ試行錯誤しながら場所を決めます。久々のテント設営でしたが、思ったよりも流れは頭に入っていたようで、順調に設営することができました。

【ハクサンチドリ】

【カラマツソウ】 

【ミヤマキンポウゲ】 

【イワカガミ】 

【ミツバオウレン】 
 設営が終わってもまたお昼過ぎで時間がありましたので、少し足を伸ばしてみることにします。時間的には上河内岳に行けなくもないですが、ガスが出てきていたため、短時間で登れる茶臼岳に登ることにしました。

 まずは小屋の右手から登って行きます。10分も歩かないうちに稜線に出ますので、左手の茶臼岳方面に向かいます。なお、右手に行けば上河内岳方面となります。この時はガスで上河内岳は見えない状態でした。茶臼岳はなんとか見えていました。

【左の茶臼岳と 中央右奥に光岳など】
 
【茶臼岳】

【小屋方面を振り返って 右に青薙山と南アルプスの山々】 

【山頂付近の様子】 

【茶臼岳山頂】 
 
【上がってくるガス】
 稜線に出た後は20分程も歩くと茶臼岳山頂に到着です。前回登った時はガスで全く何も見えませんでしたが、今回はガスの切れ間から周囲の山々を見ることができました。聖岳上河内岳方面は全く見えませんでしたが、光岳方面や深南部の山々は十分に見ることができました。翌日晴れていたらまた登ることにして、茶臼小屋に戻ることにしました。

 茶臼小屋に戻ると自分以外のテントがなくなっていて、小屋の方らしい人からテントを撤収しろという指示がありました。なんでも、ヘリで荷物を下ろすので、風圧でテントが飛んで行ってしまうそうです。

【中央左奥が光岳】

【深南部の山々 中央奥が大無間山 右に大根沢山】 

【ヘリの積み下ろし作業】 

【再設営したテントとビール】 
 とりあえずテントを撤収して、ヘリの作業の終了を待ちます。4回で終わるとのことでしたが、結局天気が良ければ何度でも往復するということで目途が立たないことから避難小屋泊としました。やがて、5時過ぎに作業終了の連絡があり、お詫びとしてビールを1缶いただきました。

 遅い時間でしたのでそのまま避難小屋にとも思いましたが、翌日下るだけですし、せっかくテント張りに来たのですから、結局再度設営することにしました。翌朝気兼ねなく暗い時間に出発したいというのもありました。こうしてばたばたしながらも、久々のテント泊の1日目が過ぎて行ったのでした。
 

【稜線歩き(下山時)】
 2日目は恐らく晴れるだろうとは思っていましたが、朝からガスで視界がないようでしたらそのまま引き上げる予定でした。明け方空を見上げてみると満点の星空が広がっています。急いで準備をしたら上河内岳に出発です。

 稜線に出た後は上河内岳に向かって稜線を歩きます。まだ真っ暗な時間帯でしたので、慎重に道を探しながら進んで行きます。途中で西側斜面を下って行くところがあるのですが、ここが暗い時間帯ではよくわからず、あさっての方向に下ってしまうように思えて少し時間をロスしてしまいました。

【斜面を下って樹林帯へ(下山時)】 

【樹林帯を歩く(下山時)】 

【正面に上河内岳を眺めながら(下山時)】 

【緩やかな登り(下山時)】
 なお、地形図上の旧登山道はそのまま稜線を越えて行くような道になっています。もしかしたら、積雪期は今もこのルートを使っているのかもしれません。斜面を下った後は、短い距離ですが樹林帯を抜けて広々とした場所に出ます。ガイドではお花畑とありますが、下山時に見たところではあまりお花は咲いていないようでした。

 このあたりでは、正面に上河内岳が見えるのですが、暗がりに現れるシルエットは迫力満点でした。さらに、緩やかな登りでは上河内岳の右側に地平線がほんのりと赤く染まった富士山を見ることができました。 

【大岩のごろごろした場所(下山時)】 

【上河内岳を見上げて(下山時)】 

【九十九折れになったザレた道(下山時)】 

【上河内岳の肩(下山時)】 
 さらに進んで徐々に高度を上げて行くと同時にザレた道に入って行きます。このあたりからは少しずつ明るくなってきました。実は道中で御来光を眺めようと思っていたのですが、途中で上河内岳に登らないと見えないことに気付いて少し足早に進んで行きます。どうしてものこだわりはないので、無理をしてまでというほどではありませんでしたが。なお、御来光を眺めるのなら茶臼小屋から稜線に出たあたりで十分素晴らしい御来光を拝めるようです。

 岩場とザレた道の急登を淡々と登って行くと、上河内岳の肩に到着です。昨秋は聖平小屋からここまで登ってきました。ここからは、上河内岳まで一気に駆け上って行きました。

【お花畑付近からの上河内岳】 

【兎岳〜聖岳〜赤石岳〜悪沢岳のシルエット】 

【お花畑付近からの富士山】 
 最後は息を切らせながら上河内岳山頂に到着です。時間は4時半過ぎで、偶然にもちょうど夜明けの瞬間を迎えるところでした。慌ててザックを下ろしてカメラを構えます。三脚は持っていないので、準備は早いものです。

 カメラを構えた時点で僅かに太陽が出ている状態でした。本当はこの瞬間をのんびり待ち構えるのが理想なのでしょうが、この瞬間に立ち会えたのですから十分と言えるでしょう。しばらくは、徐々に昇る太陽と富士山をじっくり眺めていました。 

【お花畑付近からの富士山ズーム】

【夜明け寸前の山頂】 

【夜明け】 

【夜明けの富士山】 

【御来光と富士山】
 
【山頂の様子】

【山頂看板】
 その後も、刻々と移り変わる南アルプス南部主峰の悪沢岳、赤石岳、聖岳や茶臼岳、光岳及び深南部の山々の眺めを楽しみました。実は上河内岳の山頂はそこそこ広いため、北側と南側の写真を撮るのに移動しないといけないのですが、何度往復しても惜しくないような景色でした。

 結局1時間程も居座っていたようで、本当にあっという間だったと思います。気温は涼しいという程度でしたが、風が強くずっと当たっていたので、さすがに最後には寒くなってきました。

【夜明けの聖岳〜赤石岳〜悪沢岳】 

【兎岳の左中央奥に中央アルプス 左奥に御嶽山】 

【正面中央に茶臼岳】 

【正面に茶臼岳 右奥に光岳 左奥に大無間山 右手前は上河内岳の影】 

【日が随分昇った後の聖岳方面の眺め】 

【ぽつんと咲いていたハクサンイチゲ】 
 上河内岳の展望を惜しみつつ下ります。茶臼小屋分岐に戻る途中、前日に避難小屋に泊まっていた学生さんとすれ違いました。そのまま悪沢岳まで縦走するとか、しばらくは好天が続きそうですのでうらやましい限りです。

 茶臼小屋分岐まで戻った後、せっかくなので茶臼岳の展望も楽しむことにして茶臼岳に向かいました。茶臼小屋から短時間で登れるのは本当に大きいです。前日かかっていたガスがとれてすっきりとした景色を眺めることができました。富士山や南アルプスの主峰も眺められたのは良かったのですが、槍穂の山並みまで見えたのには本当に驚きました。それだけ展望がクリアだったということでしょう。

【上河内岳】

【正面に茶臼岳】
 
【上河内岳とその左に聖岳と兎岳】

【深南部の山々】 

【光岳方面】 

【槍穂の山並み】

【茶臼岳からの富士山】 

【茶臼小屋に別れを告げて】
 茶臼岳の展望を楽しんだ後は茶臼小屋に戻ります。撤収作業が完了したら下山開始です。なお、前日には小屋とテントを合わせて7人程が泊まっていましたが、既に出発した後で最後の出発となりました。ただし、小屋の方は準備に忙しそうに駆け回っていました。なお、上河内岳では聖平小屋でのヘリの荷下しを見かけましたし、この付近の小屋は一斉に来週に備えて準備をしているようでした。

 少し早朝に頑張りすぎてしまいましたが、なんとか無事に下って行くことができました。それでもかなり疲れ切った頃ようやく登山口に到着です。

【整備中のウソッコ沢小屋】  

【再び吊橋】 

【畑薙大吊橋】

【沼平ゲート前へ】
 登山口からは40分程の林道歩きですが、既に暑くなってきたこともあって、予想以上に長く感じました。12時過ぎにようやく沼平ゲート前に到着です。このへんでも標高1000m弱はあるのですが、30℃を超える炎天下となっていました。

 帰路は白樺荘に寄って行きます。ここに来た時でもなければ寄らないような奥地にある温泉です。むしろ遠方から来た方達のベースになっているのかもしれません。昔登山を始める前に来た時は古い建物でしたが、今は建て替えられて本当にきれいな施設になりました。ここでのんびり浸かって家路についたのでした。

【白樺荘】

【きれいな湯船 露天風呂からは茶臼岳】 
 当初テント泊練習のつもり程度に考えていた山行でしたが、梅雨明けのおかげで本当に展望に恵まれた山行となりました。地元の山の魅力を再確認できたのは良かったなと思います。


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