ちょうがたけ・おくほたかだけ | |
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登山日: 2014年5月2日(金)〜5月4日(日) | |
標高:2677m(蝶ヶ岳) 2664m(蝶槍) 3190m(奥穂高岳) | |
標高差 上高地から約1680m |
5月2日(金) | 上高地 7:10 → 徳沢 9:00 → 蝶ヶ岳 13:30 | ||||
5月3日(土) | 蝶ヶ岳 7:00 → 蝶槍 7:40 → 横尾 9:50 → 涸沢 12:40 | ||||
5月4日(日) | 涸沢 5:00 → 穂高岳山荘 6:50 → 奥穂高岳 8:05(〜9:10) | ||||
→ | 穂高岳山荘 10:10(〜40) → 涸沢 11:10(〜12:35) → 横尾 13:50 | ||||
→ | 上高地 16:05 |
3日目の朝を迎えます。テントは張れる場所に目一杯張られている状態ですし、小屋もかなりの混みようだったようですので、できるだけ早い出発を心がけます。夜明け前に起きましたが、既にその時間に出発しているグループもいました。奥穂高岳までの往復は、テントを張ったままの軽荷でいいので、準備は楽だったはずなのですが、なんと靴が凍ってしまってすぐに履けない状態になっていました。テント内に入れてビニールの中に入れておいたのですが、かなり気温が下がっていたうえに、湿っていたようで凍ってしまったのでした。仕方なく、離れた位置からバーナーを当ててゆっくり溶かしてから靴を履いての出発となりました。少し時間をロスしましたが、仕方のないところでしょう。 かなり寒かったので、足早に斜面に取り付いて行きます。やはり、これだけの人数がいれば早朝から出発する人も多く、まばらではありますが、既にそれなりの人が斜面を登っていました。最初の取付きは、だいたいこのあたりというのはあっても、ここがルートと決まっているわけではないので、登りやすい所を適当に登って行きました。 |
![]() 【夜明け前の屏風方面】 |
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![]() 【早朝の涸沢小屋 右手は北穂高岳を目指す人々】 |
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![]() 【中央奥のコルを目指して登る】 |
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![]() 【奥穂方面を見上げて】 |
最初からなかなかの急登で、さらなる急登が待ち受けていることを考えると先が思いやられるところですが、後で下った時にはそれほどの斜度には感じませんでした。離れた所から見ると緩やかな斜面に見えるので、実際に登ってみると険しく感じるのでしょうか。とにかく、上を目指してひたすら登って行く感じです。 しばらく登って一旦なだらかになったあたりで、徐々に明るくなって来ます。振り返ってみると、山の奥に隠れていた太陽が姿を現して御来光を眺めているような景色を見ることが出来ました。ただ、御来光と違うのは、夜明けの直後ではないので、既にかなり明るくなった太陽が出て来ることでしょうか。日差しを背中に浴びて、少し暖かさを感じながら登って行きました。登って行くと、やがてデブリが見えてきます。結構な規模のもので、前日の地震によるものでしょうか、それともその前からあったものなのでしょうか。 |
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![]() 【テント場を振り返る 夏山に比べれば少ないとはいえ随分な数のテントが張られていました】 |
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![]() 【夜明け直後の太陽が現れて】 |
デブリの中を登って行くと、さらに傾斜が急になって来ます。雪は、トレースのある所は程よく締まっていて比較的歩きやすくなっていましたが、傾斜が急なためにどうしても一歩一歩慎重に登って行くことになりました。 最後の急斜面は精神的なものなのかとても長く感じられましたが、7時前に穂高岳山荘に到着することができました。しんどい登りとなりましたが、やはり荷物が軽いので、それなりの時間で登ることが出来たようです。 この先に難所となる雪壁が待ち受けていますので、無雪期であればそのままさっと登って来るところですが、今回は一旦アイゼンを外して山荘のトイレを借りた後、再びアイゼンを装着して登りに備えます。他の方の登るルート、登り方を確認する目的もあります。 |
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![]() 【明るくなった斜面を上がって行く】 |
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![]() 【デブリと涸沢岳】 |
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![]() 【デブリの中を登って行く】 |
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![]() 【最後は結構な急斜面に】 |
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![]() 【急斜面を振り返って】 |
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![]() 【核心部の雪壁を見上げて】 |
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![]() 【コルの積雪量は穂高岳山荘の屋根くらいのようです】 |
他の方が登るのを見上げていましたが、本来巻くところを結構直登している方が多かったようで、あそこは巻くようにとパトロールの方から注意を受けました。ちなみに巻く理由は、本道が巻く道であることはもちろんですが、直登すると滑落した時にそのまま下に落ちてしまうのですが、巻いたルートだと下のネットに引っ掛かるそうです。ただ、ネットは小さく見えて、落ちた時に引っ掛かるようには見えませんでした。 雪は程よく締まって歩きやすそうに見えました。ここは、凍結して全然手が出ないこともあるようで、登れるかどうかはその時の状況によるとのことでした。自然条件としては、晴れて風の穏やかな日だったこともあり、なかなか恵まれた条件だったのではないでしょうか。いよいよ急斜面に取り付きます。早い時間でしたので、少なくとも登りではほとんどすれ違いがなかったのは良かったです。 |
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既に下って来ている方もいて驚きましたが、この後下りで雪壁が崩壊して下りにくくなったうえに、すれ違いでも難儀したことを考えると、できるだけ早い時間に下るという選択肢もうなずけました。ただ、景色があまり見えない日であるのならばともかく、これだけの絶景が広がる日ですと、なかなかそうも割り切れないかもしれません。 登りの核心部は本当に最初の取付きで、ばりばりに凍結していてほとんどアイゼンが刺さらないような状況でした。場所が場所だけに大事に至ることはなさそうですが、最初からこれではと思わされたのでした。その後、梯子を登るまでは問題なく、梯子を登って無雪期であれば岩場が続くところが雪壁となっており、本来の核心部に当たります。しかし、登りでは急斜面ながらもきれいにステップが切られていて、雪も程よく締まっていたことから、高度感はありましたが、特に問題なく登って行くことができました。この時は、このステップがあるなら下りも問題ないかなと思っていたのでした。実際、前年の北穂高岳では、登りも下りもきれいないステップが残っていて、あまり苦労をせず登ることができたのでした。ただし、その時は登っている人数が極めて少ない日でした。 |
![]() 【パトロールの方がずっと見上げていました 下りでは2人体制でした】 |
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![]() 【雪壁を抜けても急な斜面は続く】 |
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![]() 【背後にはトレースの付いた涸沢岳と北穂高岳】 |
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![]() 【徐々に傾斜も緩やかに】 |
雪壁を登り終えて一安心と言いたいところですが、その後も急な斜面は続きますので、気を抜かずに登って行きます。表面はクラストしていて、中は柔らかいモナカ状の雪だっと思いますが、中の雪も程ほどに締まっていて、比較的歩きやすかったと思います。ある程度登って傾斜が緩やかになったところで一息付いて、一旦しまっていたデジイチを取り出して、写真を撮りながら進んで行きました。急登の数枚はコンデジですが、素晴らしい景色であることに変わりはありませんね。 その後の奥穂高岳への道は、緩やかで比較的歩きやすいのですが、山頂のやや手前の急登や一部あるトラバースは慎重に歩いて行きました。とはいえ、雪壁に比べれば特に問題はないでしょう。こうして無事奥穂高岳に山頂に到着することができました。まだ、登る人が少ない時間帯でしたが、それでも山頂は結構賑わっていました。 |
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![]() 【奥には槍も見えて素晴らしい展望が広がって来ました】 |
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![]() 【奥穂高岳山頂への道】 |
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![]() 【ちょうど一定間隔ごとに歩いている登山者】 |
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![]() 【最後の急登】 |
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![]() 【急登を登り切ったあたりから振り返った絶景】 |
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![]() 【いよいよ奥穂高岳山頂へ】 |
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![]() 【山頂にて】 |
賑わっている山頂ではあまり写真を撮ってもらうことはないのですが、この時はあまり頂上碑あたりに人が多くなかったので写真を撮ってもらいました。その後は、少し奥に進んで休憩をしつつ景色を楽しみます。ちなみに、奥は無雪期には結構平たい所があるのですが、この時期は緩やかながらも斜面しかないので、適当に雪を掘って休憩場所を確保しています。 山頂からは言わずもがなの絶景が広がっています。前日に荒れたことやこの日はかなり気温が下がったことから、思っていた以上にクリアな展望となりました。前週の鹿島槍ヶ岳がもやっとした景色だったのと比較すると随分違いました。冬のきりっとした景色が素晴らしかったです。同じような写真を一杯撮ってしまうなど、のんびり過ごして結局1時間程山頂で過ごしていたのでした。 |
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![]() 【槍ヶ岳方面の絶景】 |
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![]() 【前穂高岳へ続く稜線】 |
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![]() 【左の霞沢岳 右の焼岳 奥は乗鞍岳とさらに奥の御嶽山】 |
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![]() 【山頂奥でくつろぐ人々】 |
休憩をしている間に周囲の方々の話に入らせていただいたのですが、前穂高岳方面から登ってきましたとか、南陵から上がってきましたとか、涸沢から直登してきましたとかすごい話ばかりで、初めて奥穂高岳に登った時に、山頂をピストンして帰るのが自分だけだった時のことを思い出しました。要は他の方はみなさん縦走組だったということです。また、目をジャンダルムに転じると、ジャンダルムから先に縦走しているグループがいました。ここは改めてエキスパートの世界なのだなと思ったのでした。その中に入ることはなくても、その世界を垣間見ることができたのは良かったと思います。 充分景色を楽しんでもなお名残惜しかったのですが、山頂も随分人が増えて来ましたので下山開始です。後ですれ違いに苦労することになったことを考慮しても、これだけ素晴らしい景色の中では、山頂に長い時間留まるのは仕方のないことだと改めて思ったのでした。展望がクリアであることについては、この残雪期登山の中でもかなり良い方だったと思います。 |
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![]() 【霞沢岳】 |
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![]() 【焼岳】 |
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![]() 【左奥の御嶽山と右の乗鞍岳】 |
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![]() 【前穂高岳 残雪期は上級者コースのようです】 |
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![]() 【左端の富士山と南アルプスの山々】 |
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![]() 【中央アルプス】 |
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![]() 【上高地】 |
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![]() 【ジャンダルムと左奥の縦走するグループ 馬ノ背あたりでしょうか】 |
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![]() 【前穂高岳と左奥は八ヶ岳南部 中央奥に富士山と南アルプス 右奥は中央アルプス】 |
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![]() 【梓川と霞沢岳】 |
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![]() 【槍ヶ岳の眺め 左手前は涸沢岳】 |
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![]() 【ジャンダルムから戻る登山者】 |
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![]() 【笠ヶ岳】 |
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![]() 【槍ヶ岳 肩には人も見えます】 |
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![]() 【黒部五郎岳 その後5月下旬に登りました】 |
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![]() 【薬師岳 黒部五郎岳と同様に5月下旬に登りました】 |
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![]() 【鷲羽岳】 |
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![]() 【左の針ノ木岳と中央の蓮華岳 奥は白馬岳〜鹿島槍ヶ岳と後立山連峰】 |
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![]() 【前週に登った鹿島槍ヶ岳】 |
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![]() 【常念岳】 |
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![]() 【槍ヶ岳も見納めでしょうか 左手前の涸沢岳からの展望も良さそうです】 |
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![]() 【白山もくっきりと】 |
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![]() 【いよいよ下りへ】 |
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![]() 【核心部の雪壁の下り このあたりは問題ないですがこの下部で苦労しました】 |
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![]() 【雪壁を下った後はすれ違いに一苦労】 |
いよいよ下りとなります。この時間になると登って来る人も随分増えてすれ違いも多くなって来ました。最初の坂を慎重に下った後は、しばらくなだらかな道ですので特に問題なく進んで行きます。涸沢岳が迫って来るといよいよ雪壁の下りとなります。前を歩いていた方はロープを出して下っていました。記録を見る限りでは、上級者の方でも確実に下るためにロープは出しているというものもありました。その時の状況にもよるかもしれませんが、それだけ危険な場所であるのだと思います。 下りで誤算だったのは、登りではきれいに残っていたステップが崩れていたので、自分で足場を作って下らなければいけないことでした。少し渋滞を作ってしまいましたが、自分が確実だと思うまで蹴りこんで下って行きました。他の方の下り方と比べても慎重すぎるとは思いましたが、やはり場所が場所だけにここは妥協せずに下って行きました。何とか岩場にたどり着いてほっと一息でしょうか。こうした急斜面の下りは練習しないとこうした時に苦労することになりますね。普段はあっても短い距離なので、ごまかして何とかなってしまいます。 |
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![]() 【無事穂高岳山荘へ 写真を撮ったらついでに撮ってくれました さりげなく環天頂アークが】 |
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![]() 【数多くの登山者が並ぶ】 |
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![]() 【穂高岳山荘前でほっと一息】 |
その後は梯子や鎖場もありますが、アイゼンの引っかけなどを気を付ければ特に問題ありません。しかし、大変だったのはすれ違いで、続々と登って来る登山者とどこですれ違うかでした。また、登山者の中でも、スノーボードを担いでいる人が脇に突き出るように背負っていたので、すれ違うのにとても苦労しました。正直雪壁を下る時以上に危なかったかもしれません。 最後は凍結箇所があったのですが、ここは少し溶けて歩きやすくなっていました。こうして何とか無事に下って来ることができました。下った時にちょうど登る人と下る人で怒声が飛び交っていて、雰囲気が少しピリピリしていたのには参ってしまいました。このGWは3連休以上になるのが、この後半だけだったうえに天気も良かったので、相当集中したようです。下った後で振り返った写真でもわかると思います。自分もその1人ですので仕方のないところですが、このような中でも自分が歩いていた範囲では事故が起きなくて本当に良かったと思います。ちなみに、パトロールの方に今日のコンディションを聞いてみたら、落ちた人がいないから悪くないのではという返事でした。それだけ、滑落も多いのかもしれません。実際、パトロールの方達は一瞬たりとも目を離さずに上を見ていたのでした。 |
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![]() 【涸沢岳も中腹までは結構険しそうです】 |
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![]() 【正面に常念岳から蝶ヶ岳の稜線を眺めながらの下り】 |
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![]() 【デブリ地帯 ここを過ぎたあたりからシリセードで一気に下る】 |
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![]() 【下って来た斜面を振り返る 小豆沢付近はかなり多くの登山者が下っているようです】 |
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![]() 【所々にあるテープを目印に進む】 |
少し休憩をしたら下りに取り掛かります。山頂では随分ゆっくりしたうえに、下りで随分時間がかかってしまいましたので、一気に下って行きます。翌日も休みでテントも担いでいますので、バスに間に合わなくても問題ないのですが、この日の夜から天気が崩れる予報でしたので、この日のうちの下山を目指します。 最初の急斜面を慎重に下ってデブリ地帯を抜けて、傾斜が緩やかになって来たあたりから、少し登山者の多いルートからトラバースして脇によけた後シリセードで下って行きます。ちょうど他にもシリセードをする方々がいて、滑り台のように次々に滑って行くような感じでした。前の人の跡がありますので、滑りやすくてちょうど良かったです。奥穂山頂から山荘まで1時間もかかりましたが、そこから涸沢まではなんと30分で下ってしまいました。これで、何とか上高地まで下れる目途がついたでしょうか。そう思ったらのんびりしてしまって、今度は撤収に時間がかかって、12時半過ぎにようやく涸沢からの下山開始です。 |
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![]() 【雪道を下って行く】 |
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![]() 【本谷橋】 |
涸沢からはひたすら雪道を下って行きます。やや足を取られる場所もありましたが、それほど問題なく下って行きました。そのまま横尾に到着して、上高地を目指します。 途中来る時には問題なかったのですが、こちらにいる間に雪崩が起きたようで、その区間は河原の運搬道を通るようになっていました。地震の影響なのかどうかはよくわかりません。 こうして、最終日は長い1日でしたが、無事上高地まで戻って来ることができました。最初に書きましたように、天気が予報通りだったので、うまく合間の荒天をやり過ごして蝶ヶ岳と奥穂高岳で絶景を眺めることができました。前週の鹿島槍ヶ岳と合わせて本当に素晴らしいGWになったのではないかなと思います。 |
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![]() 【横尾】 |
![]() 【雪崩のあった区間は臨時に河原の運搬道を歩く】 |
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![]() 【曇りつつも穂高はまだ見えていて】 |
![]() 【上高地へ】 |
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