しろうまだけ・しゃくしだけ・しろうまやりがたけ
 白馬岳・杓子岳・白馬鑓ヶ岳
  登山日: 2014年7月12日(土)〜7月13日(日) 
  標高:2932m(白馬岳) 2812m(杓子岳) 2903m(白馬鑓ヶ岳)   
  累積標高 約2380m(猿倉から白馬岳まで約1700m)


※データ紛失のため実ルートと異なる箇所あり

 7月12日(土)    猿倉 5:50 → 白馬尻小屋 6:50
   頂上山荘〜テント場 11:10(〜12:30) → 白馬岳〜丸山散策 (〜16:30)
 
 7月13日(日)   頂上山荘 5:40 → 杓子岳 6:35 → 白馬鑓ヶ岳 7:50
    鑓温泉 9:30(〜10:00) → 猿倉 13:20

 

 本日は白馬岳に登ります。この週末の山選びは悩ましいもので、天気予報は土曜日は比較的良さそうなものの、日曜日はどうもぱっとしない天気でした。それと初夏であるということで、お花や残雪のコントラストが美しい時期です。土曜日に稜線まで上がれて、初夏の景色が楽しめる場所ということで、白羽の矢を立てたのがこの白馬岳でした。

 白馬岳は北アルプスの中でも人気の山であり、人も多いだろうということで、正直初めて登るまでは1回登れば十分かなと思っていたのですが、今回で4回目となります。昨年は山頂まで達しなかったものの、オフ会でそのまま鉱山道を歩いた他、秋には後立山縦走の起点となりました。もちろん白馬岳も素晴らしいのですが、白馬岳から繋がるルートが魅力的な気がします。初めて登った時の雪倉岳〜朝日岳の稜線も素晴らしいものでした。

【登山者用臨時駐車場】
 
【猿倉荘】
 初日は猿倉から大雪渓を登ります。昨秋の後立山縦走でも登りましたが、この時は晩秋でほとんど雪の上を歩けなかったので、是非雪がしっかり残った時に歩いてみたいというのがありました。それと、早朝に登山口まで入れれば、最も早い時間に白馬岳までたどり着けるルートだと思います。ただし、いつも通り土曜日は早い時間に現地入りすることができず、目論見通りにはいきません。

 最近は夜明け前に現地入りして仮眠を取るパターンが多かったのですが、さすがにこれだけ暑くなると車中泊が厳しいので、体力的にはきついですが、先に家で仮眠を取ってから現地に向かい、現地では準備が出来次第出発としました。 

【猿倉登山口】

【鑓温泉分岐】

【この時点ではこちらから下山するとは思いもせず】
 家を出た時間が遅くて、現地入りが結構遅れそうでしたが、思ったよりは早く現地入りすることができました。今回は登山者用臨時駐車場に駐車しました。この日は駐車場にヘリが着陸するということで、地元の方達が着陸する地点に車が駐車しないように交通整理をしていました。

 車は既に随分とまっていましたし、その後の大雪渓では随分な行列が出来ていましたが、それでも、夏山真っ盛りの白馬岳に比べれば人が少なく静かなものだったでしょうか。準備が出来たら車道を少し歩いて猿倉荘に出て、その脇の登山口から登って行きます。昨年も歩いているので、このあたりはすんなりと登り始めることができたと思います。

【タニウツギ】

【オオバミゾホオズキ】

【小川の脇の木道を渡る】

【ズダヤクシュ】
 登山道を少し登って行くと間もなく林道に出ます。その後はしばらく林道を上がって行くことになりますが、間もなく鑓温泉分岐があります。実は鑓温泉を経由する白馬三山を歩くルートはちらっと考えてはいたものの、先に書いたように日曜日の天気が思わしくないことから、長丁場になるこちらのルートを歩くことはあまり想定していませんでした。したがって、地形図の準備やGPSデータの落とし込みなどはしておらず、土砂降りに遭ったことに加えて、ルートミスをしてしまって苦労する要因となったのでした。

 林道をしばらく上がって行くと、ちらほら高山植物が現れて来ますので、写真を撮りながら登って行くことになります。

【アカツメクサ】

【ヤマブキショウマ】

【カラマツソウ】
 やがて林道の終点となり、そこからは再び登山道となります。結局猿倉から1時間程歩くと白馬尻小屋があり、「ようこそ大雪渓へ」の石碑が現れます。

 大雪渓では適当に休むポイントもあまりなさそうですので、ここで一旦休憩することにします。昨秋登った時とは別の場所に思える程雪が残っていて、大雪渓へ向けて気持ちが高ぶります。ひっきりなしに登って来る人がいて、やはり登って来る人は多いようです。それでも、この時間はまだ路線バスが入って来る前の時間帯ですから、バスに乗っていた方達が歩き始める時間に比べれば少なかったようです。 

【ニリンソウ】

【キクザキイチゲでしょうか】

【徐々に奥に連なる山々が見えて】

【白馬尻小屋へ】

【雪渓多く残る景色】

【小屋前のベンチでゆっくり休憩】 
 休憩をしたらいよいよ大雪渓に向かいます。ただし、その手前にもお花畑もあって、特にキヌガサソウが見事でした。翌日も鑓温泉ルートで結構見かけたのですが、土砂降りでしたのできちんと写真を撮れたのはここだけでした。

 いよいよ大雪渓です。テント装備ですので、安定感を重視して12本爪を持って来ました。ただ、前爪はまずいらないですし、夏靴にも装着できることは確認していたとはいえ、やはり冬靴程ぴったりではなく、急斜面では若干ずれてしまう状態で、トラバースでもステップが切られている状態では6本爪あたりで十分でした。皮肉にも、翌日のルートミスで雪渓を直登して本ルートへのショートカットをする時に活躍したのでした。

【キヌガサソウ】

【サンカヨウ】

【エンレイソウ】 

【コミヤマカタバミ】 

【シラネアオイ】

【大雪渓へ】

【石碑もまだ随分埋まっています】

【雪渓を振り返る】

【葱平とその上部の小雪渓のトラバースが見えて来て】

【徐々に急な斜面に】

【大雪渓の末端は急登に】
 昨年の後立山縦走の際には晩秋だったこともあって、ほとんど雪渓を歩くことはありませんでした。今回は初夏で雪がまだたっぷりと残っていますので雪渓上を歩く距離が長いです。やはり、岩がごろごろしていたり、砂に足を取られた昨年とは違って歩きやすかったです。また、雪渓の上でそれなりに風もあったので涼しかったのも大きかったでしょうか。落石への注意は必要ですが、それを除けば快適な登りになったと思います。とはいえ、結構な距離を歩きますので疲れてきます。途中で休憩を取りたいなと思いつつも葱平までは頑張って歩いて、ここで少し長めの休憩を取ることにしました。

【ミヤマキンポウゲ】

【ハクサンイチゲ】

【シロウマタンポポ】

【ミヤマオダマキ】
 
【ミヤマカラシ】
 休憩をしたら再び出発します。下から見た時は上部の雪渓まであまり距離がないと思っていたのでアイゼンを装着したまま登って行ったのですが、これが失敗で結構距離がありました。このあたりも軽アイゼンにして、手軽に脱着できた方がいいのかなと思ったのでした。本来は面倒云々ではなく、必要な場所で装着して必要でない場所で外すべきではありますが。

 しばらく登って行くと上部に気になっていた小雪渓のトラバースが見えてきます。ルートはまだ遠回りをしつつ岩場を歩いて行くようでした。雪渓は繋がっているようでしたので、ルートを外れて雪渓を斜めに登って小雪渓のトラバースに直接登ることにしました。

【お花畑とザレた登山道を登る】

【ルートは回り込むように右上の小雪渓のトラバースへ向かっていますが】

【手前から雪渓を直登して直接トラバース道に乗ります】

【トラバース道へ合流】
 やはり急斜面の登りでは12本爪アイゼンの威力を発揮します。雪も締まっていますので、順調に登ってトラバース道に合流することができました。そのままトラバース道を進んで行きます。このトラバース道の前後には雪がないため、アイゼンなしで歩かれている方も結構いました。ステップが切られているので大丈夫だとは思いますが、状態によっては面倒でもアイゼンを装着した方がいいのではないかと思います。

 トラバース道を渡った後はアイゼンを外して少し休憩としました。休憩後は最後の登りに取り掛かります。雲も多かったですが、見事な青空が広がっていて展望に期待が持てそうでした。 

【トラバース入口付近を見下ろして 自分が登って来たのは左下あたりから】

【トラバース道の奥に杓子岳】

【青空と雲の見事な景色】

【頂上山荘が視認できるように】

【随所に広がるお花畑】

【ここまで登ってくればもう一息】
 
【ヒメクワガタ】
 
【キバナノコマノツメ】
 
【山頂手前では最後の雪渓】

【ミヤマシオガマ】

【ウルップソウ】

【シナノキンバイ】

【まだすいていたテント場へ】 
 小雪渓のトラバース以降は大きな雪渓はありませんが、所々で雪渓を登ったりトラバースしながら過ぎて行きます。また、徐々にお花畑が現れて来て目を楽しませてくれました。頂上山荘が近づいて来ると、今回楽しみにしていたウルップソウも随所で見ることができました。

 最後はお花畑の見事さになかなか足が進みませんでしたが、11時過ぎに頂上山荘に到着です。先にテント場に行ってテントを張ることにしました。この時間ではまだ張られているテントは少なく、最終的にもほぼテント場が埋まる程度でした。ただ、台風一過で久しぶりによく晴れた週末だったとはいえ、梅雨前でこれだけ埋まるのですから、これからの夏山シーズンは人気のある白馬岳ですから結構な混み具合が予想されそうです。
 
【ハクサンイチゲのお花畑】

【ミヤマキンバイ】

【ウルップソウ】 
 
【イワベンケイ】

【ウメハタザオ】
 
【頂上山荘】
 テントを張った後は、テント場周辺のお花を撮りつつテントの受付に向かいます。実はテント場のすぐ入口の建物が受付場所になっていたのですが、そうとは知らずに食堂に向かったのでした。食堂で受付場所を聞いたのですが、受付時間が12時半からということで、ここでもうしばらくのんびりすることにしました。結局、随分汗をかいていたこともあって、早くも生ビールをいただいたのでした。日曜日の天気予報が悪かったので、この日に未踏の杓子岳に登っておこうという考えもあったのですが、食堂で随分落ち着いてしまったので、このあたりからはまあ今回は登らなくてもいいかなという思いでした。

【杓子岳と白馬鑓ヶ岳】
 
【生ビールをいただいて】
 さて12時半になりましたので、テントの受付に向かうことにします。すると、食堂から少し出た所で見知った顔がと思ったらムサママさんが写真を撮っていました。

 前日に白馬村にいますよという速報を打っていたので、このあたりの山域かなとは思ったのですが、同じ山であってもタイミングが合わなければ会えなかったでしょうから本当に運が良かったのでしょう。ムサママさんと友人のHさんはちょうど登って来られたところでした。翌日小蓮華山を経て、栂池に下るために、この日は猿倉までバスで入って登って来たのでこの時間になったのでした。白馬大池からのコースは小蓮華山の稜線の眺めが素晴らしいですし、大池周辺のロケーションやお花畑も素晴らしいです。

【稜線分岐とムサママさん】

【白馬岳山頂へ】

【残雪を多く纏った旭岳】

【お花畑と杓子岳】

【オヤマノエンドウの群落】

【白いウルップソウ】

【初めて見ることが出来てうれしかったツクモグサ】

【ツクモグサ】
 お2人は白馬山荘に宿泊予定とのことでしたので、白馬山荘を経由してそのまま白馬岳に向かうことにします。このあたりは、随所にお花畑が広がっていて、写真を撮っていたら全然進むことができませんでした。ちなみにHさんは、白馬岳は初めてで、北アルプス自体もまだ2回目とのことでしたが、花の一覧や展望の写真などいろいろと準備をしていて、とても初めて登ったとは思えないくらいよく知っていました。

 しばらく歩いていると、Hさんが少し離れた場所に咲いているツクモグサに気づいて教えてくれました。まさかまだ咲いているとは思ってもいませんでしたので、ムサママさんと一生懸命写真を撮っていました。この写真は望遠で撮ったものです。

【ミヤマキンバイの群落】

【山座同定中のHさんと自分(ムサママさんより)】

【白馬山荘】
 ツクモグサは恐らく盛りの時期である6月末頃であれば、随所で見ることができるのでしょう。1人で歩いていたら気づかない場所だったと思いますので、本当に教えてもらって良かったと思います。ちなみに、ツクモグサは本州ではこの白馬岳と八ヶ岳の一部でしか見られないようです。

 その後白馬山荘に到着です。お2人は受付をするということでしたので、自分は先に白馬岳の山頂を目指すことにしました。実は、それなりに晴れるとはいえ、展望はそこまで期待していなかったのですが、素晴らしい展望が広がっていて、いい意味で裏切られたのでした。

【白馬山荘を振り返ると左手は白馬鑓ヶ岳、右手には立山〜剱岳の絶景が広がる】

【美しい蝶】

【お花畑と旭岳】

【白馬岳山頂へ】
 花を撮りながら登って行きます。空身なのでさくっと登るつもりでしたが、思ったよりも体が重くこの短い登りが今までで一番きつく感じました。頭に鈍い痛みもありましたので、若干高山病気味だったのでしょうか。この時には杓子岳に登るつもりはすっかりなくなっていたのですが、ムサママさん達に会わずに杓子岳を目指していたら、とても苦労したかもしれません。

 山頂からは絶景が広がっています。歩いたことのある稜線が多いですが、どの稜線もまた歩きたいところばかりです。朝日岳方面、白馬大池方面、後立山縦走、どれもが素晴らしいルートです。祖父谷温泉に下るルートは未踏ですが、マイカー利用では厳しそうです。

【小蓮華山】

【白馬岳北方の眺め 右が小蓮華山から白馬大池へ下るルート 左奥が雪倉岳〜朝日岳の縦走ルート】

【右の雪倉岳から左奥の朝日岳への縦走路】

【朝日岳】

【雪倉岳】

【清水岳】

【お花畑と立山連峰】

【剱岳】

【大汝山】

【槍ヶ岳】

【土嚢を何回も運んでいたヘリコプター】

【杓子岳〜白馬鑓ヶ岳から唐松岳〜五竜岳〜鹿島槍ヶ岳に続く稜線】

【なだらかなな八方尾根】

【鋭い山容を見せる杓子岳】

【白馬鑓ヶ岳 左奥には鹿島槍ヶ岳も】

【ムサママさんHさんと記念撮影】
 山頂で写真を撮っているとムサママさんが登って来ます。山頂から見える山々についていろいろ話をして過ごしました。時間もあったので、ブログに速報をアップしていたのでした。

 山頂は随分風が強くというよりも、この日は稜線に出てから日が暮れてもずっと風が強かったので、体が冷えてきます。そろそろ下りましょうかというところで、小屋で休んでいるという話だったHさんが登って来られましたので、記念撮影をしつつ、写真を撮りながら下って行きます。先ほどもツクモグサを見つけたのはHさんでしたが、今回も近くで見られる場所があったということで案内をしていただきました。

【焼山と火打山】

【タカネヤハズハハコ】
 その後は白馬山荘の食堂でまったりします。自分は昨年寄った時と同じようにポンジュースを飲みました。麓で飲むことはないのですが、どうも山に登ると果物が欲しくなるようです。コーラもおいしそうでした。ムサママさんとHさんはおいしそうなケーキセットを注文されていました。お裾わけまでしていただきましたが本当においしいケーキでしたね。

 その後はせっかくですので丸山に向かいます。このあたりはどこも眺めが素晴らしいですし、お花畑もありますので散策するにはうってつけの場所でしょう。なかなか小屋付近でこれだけ楽しめる場所というのもあまりないかもしれません。

【お花畑と旭岳】

【ツクモグサ】

【左の丸山への稜線歩き 右奥が毛勝三山 左奥が立山連峰】

【雪渓越しに杓子岳と白馬鑓ヶ岳】

【ほぼ埋まって来たテント場】

【テント場周辺のお花畑】

【丸山へ】

【白馬岳を振り返って】

【ミヤマシオガマ】

【オヤマノエンドウ】

【虫を熱心に撮影中のムサママさん】

【イワカガミ】

【ミツバオウレン】

【これもタカネヤハズハハコでしょうか】
 丸山への道中でもいろいろ話をして、写真を撮っていたらあっという間に丸山に到着です。時間が時間だけに雲も随分出て来ていましたが、それでも素晴らしい眺めでした。ムサママさんは見つけた虫にご執心だったようです。このあたりでもいろいろな花があって目を楽しませてくれました。

 楽しい時間は過ぎて行きますが、ムサママさんとHさんの白馬山荘での夕食の時間が近づいて来ましたのでここで解散となりました。楽しい時間を過ごさせていただいてありがとうございました。雲も増えて来て、やはり翌日の天気は優れなさそうであり、電波を拾って翌日の天気を確認すると、早い時間から崩れそうな予報でした。

【お花畑と白馬岳】

【ハクサンイチゲのお花畑と見事な景色】

【ショウジョウバカマ】
 ムサママさんにメールを送ったらテントに戻って夕食を取ります。先にも書きましたが風が相変わらず強いままでしたので、夕食後に補強をしました。石はいくらでもありましたので、その点は楽をさせていただきました。

 その後一旦床に就いたのですが、曇っているとはいえ夕暮れの一部が見られるかもしれないと思って、日の入りに合わせて稜線に出ます。このテント場はすぐに稜線、そして少し歩けば丸山という展望台があるのが素晴らしいと思います。白馬山荘であれば、すぐに白馬岳に登ってしまった方が早いでしょうか。雲は多かったですが、月の他白馬三山はきちんと見えていましたし、なかなか景色を楽しむことができたのではないかと思います。こうして、狙い通り晴れとなる初日を目一杯楽しむことができたのではないかと思います。

【お月様と日暮前のテント場】

【お月様と杓子岳】

【ガスに覆われかけている白馬鑓ヶ岳】

【雲が多く一部が紅く染まった空を見上げて 左が雲に隠れつつある立山連峰と右が毛勝三山】

【杓子岳を狙うカメラマン】

【すっかり日が暮れた後の白馬岳】
 

【夜明けの白馬岳】
 2日目の朝を迎えます。前日からずっと強かった風ですが、明け方には随分穏やかになって来ました。この日は前日登って来た道を下るだけですので、のんびり準備をします。雲が多くてほとんど夜明けの景色は望めないだろうと思いつつも、夜明けの時間に合わせて丸山に向かってみました。

 やはり雲が多くて、夜明けの兆候はと言えば、遥か彼方に一本赤い筋が通っていただけでした。それでも周囲の山々はよく見えており、これだけの眺めを楽しむことができれば十分でしょう。丸山の少し先まで行ってお花畑も見てからテント場に戻って来ました。

【どんよりとした雲にうっすらと夜明けで染まった赤い筋】

【高曇りのため毛勝三山と立山連峰はよく見えていました】 

【意外と天気がもつものと勘違いして】

【続々と山頂へ登山者が向かう白馬岳をズーム】 
 テントを撤収して後は下山するだけです。しかし、まだ青空も見えていたことから、稜線を歩いている間は天気がもつかなということで、かねてから考えてはいた鑓温泉経由で下ることにしたのでした。ただし、この時期は雪渓でルートがわかりにくいことがわかっていたのですから、ルートをGPSに落としたり、地形図を持っていかなかったのは失敗だったと思います。実は、鑓温泉経由で下る人が多かったので何とかなるだろうという甘い気持ちがあったのも否めません。

 ずぶ濡れになっても、やはり歩いたことのないルートを歩いたという充実感と、さすがにこの天候ではどうだったのだろうかという反省の気持ちとが入り交ざったような2日目だったと思います。

【ウルップソウのお花畑と素晴らしい景色】

【お花畑と杓子岳〜白馬鑓ヶ岳〜立山連峰の眺め】

【シナノキンバイ】
 写真を撮る前にパッキングは済んでいましたので、そのまま出発します。まずは、再び丸山を目指します。最初から行く予定であれば、御来光時からザックを担いで行ったので、時間も随分違ったでしょうし、もっと早く出発していたでしょう。

 丸山からはそのまま杓子岳に向かいます。このあたりも結構お花畑が多くて、晴れていれば見事な景色を見せてくれていたでしょう。一旦鞍部に下った後登り返して行きます。緩やかに登り返して行くと間もなく杓子岳分岐に出ます。昨年は膝の状態が不安だったのと、元々行程が厳しかったので登りませんでしたが、今回はこれが主目的でもあるので、登ることにしました。

【杓子岳から白馬鑓ヶ岳へ続く道】

【お花畑と立山連峰】

【緩やかに登り返していく】

【杓子岳分岐 右奥は山頂をスルーしてトラバースする道】

【ザレた道の急斜面を登る】

【杓子岳山頂へ】
 やはり杓子岳への登りは急でザレた歩きにくい道でしたが、ルートは明瞭でした。ただ、山頂まで行けるルートはいくつかあるので、登りやすいと思うルートから登るといいかもしれません。自分は歩きやすそうな南寄りのルートを取りましたが、すぐ脇が崖なのであまりいいルートではなかったかもしれません。

 そのまま登り切ると杓子岳山頂です。杓子岳は南北に連なっていますが、南端が山頂になるようです。頂上碑から南に行ったケルン付近からの白馬岳は角度があって見事でした。どうしても南方から見る白馬岳は重量感のある白馬鑓ヶ岳のために、存在感が薄くなってしまうような気がします。近いから当然かもしれませんが、このあたりですと端正な白馬岳を見ることができます。

【杓子岳の稜線とその先にある白馬鑓ヶ岳 左には鹿島槍も】

【白馬岳】

【白馬岳から左に旭岳そして清水岳】

【稜線から杓子岳山頂と白馬岳を振り返る】

【トラバース道との合流点】
 杓子岳山頂で景色を楽しんだらまずはそのまま稜線を北に進みます。すると緩やかに下る道がありますので、そのザレた道を下って行くとトラバース道と合流します。この道は先に登った道と比較すると緩やかで歩きやすいと思います。

 合流した後は鞍部に一旦下った後、白馬鑓ヶ岳への登り返しとなります。この後の鑓温泉ルートの小日向のコルへの登り返しのことは知らなかったので、これが最後の登りだと思って頑張って登ります。雨がぱらついて来て、せめて白馬鑓ヶ岳での展望までは楽しみたいというのもありました。ちなみに、この白馬鑓ヶ岳への登りも結構お花畑が多かったです。きつい登りの中でもお花を楽しむことができたのではないでしょうか。

【白馬鑓ヶ岳への登り】

【杓子岳を振り返る 中央付近はトラバース道 その下の薄い道は廃道となったトラバース道でしょうか】

【ミヤマダイコンソウ】

【ミヤマカラシ】

【イワツメグサ】

【(コ?)エゾノツガザクラ】

【いろいろな花が咲くお花畑】

【チシマアマナ?】

【ミヤマオダマキ】
 
【イワウメ】

【ハクサンイチゲのお花畑】

【白馬鑓ヶ岳の肩への道】

【オヤマノエンドウ ミヤマダイコンソウ ハクサンイチゲのお花畑】

【白馬鑓ヶ岳の肩でザックをデポして】

【雨降る中でも広がる南方の絶景】

【振り返れば白馬岳を中心とした素晴らしい眺め】

【白馬鑓ヶ岳山頂へ】

【頂上碑】

【せっかくなので撮ってもらいました】
 お花畑を登って行くと展望の開けた稜線に出ます。緩やかに登って行くと白馬鑓ヶ岳の肩に出ます。実は山頂からも下って行ける道があるので、ザックはそのまま担いでも良かったのですが、肩から下った方が歩きやすそうでしたので、ザックはデポして山頂を目指します。

 このあたりでも結構雨が降って来ましたが、そこまで強まることはなくまだ本降りではありませんでした。山頂にはこの後何度か前後することになった登山者の方達がいました。ここで写真を撮り合いつつ、稜線の素晴らしい景色の見納めとなります。立山連峰は本降りになってそうでしたが、その姿はまだしっかりと見えていました。いつもは展望のいい山頂では長居するのですが、さすがにこの天候ですので10分程で切り上げて下山に取り掛かります。

【若干薄れつつもまだ見えていた立山連峰の山々】
 
【昨年歩いた後立山連峰の山々】

【前日山頂付近を歩いたムサママさんとHさんは右奥の小蓮華山を歩いている頃でしょうか】 

【鑓温泉へ下るルートを見下ろして】 

【白馬鑓ヶ岳を振り返る】 

【鑓温泉分岐】
 一旦肩に戻ってザックを背負って下山開始です。少し遅すぎたかもしれませんが、ここでザックカバーを装着しました。雨具は装着するタイミングが難しいところですが、稜線は涼しくて問題ないものの、鑓温泉分岐後は暑くなりそうでしたので、もう少し本降りになるまで待つことにしました。

 ザレた道を一気に下って行きます。緩やかに下った後、小高いピークを巻いて下って行くと鑓温泉分岐です。まだ山頂から下り始めてあまり時間がたっていなかったので、休憩をせずそのまま下って行きました。この分岐付近はお花畑が見事でした。ただ、お花畑はこの後も断続的に現れます。雰囲気的にはお花の咲き具合といい、登山道の整備状況といい、雪渓の具合といい昨年の鉱山道と似ているような感じがしました。さすがに歩く時期が昨年より早いので雪渓は昨年の鉱山道よりも多かったですが。

【お花畑と鑓温泉への下山ルート】 

【ザレた道を下って行く】 

【白馬鑓ヶ岳を見上げる】
 
【雪渓を左奥に下って行く】

【下って来た雪渓を振り返る】

【ミヤマキンポウゲ】
 分岐からはザレた道を一気に下って行きます。比較的整備された道ですが、やはり岩交じりのため歩きにくいでしょうか。とはいえ、雨でややスピードを上げて下っていたからというのもあるでしょう。

 しばらく下って行くと上からも見えていた雪渓が現れます。硬くて歩きにくいですが斜度はそこまではないので、他の方と同様にそのまま下って行きます。少し転びそうになりましたが、なんとか夏道の出ているところまで渡ることができました。その後はしばらく歩きやすい登山道が続きます。花もあってなかなか素晴らしい道です。樹林帯に入るまではこのような道が続きます。

【チングルマ】

【歩きやすい登山道】

【アオノツガザクラ】

【ハクサンコザクラ】

【ハクサンコザクラの群落 雨が降っていなければデジイチで撮りたいところでした】

【樹林帯手前にも雪渓】

【雪渓後に注意を促す看板】
 しばらく下って行くとハクサンコザクラを見ることができました。それと同時に雨が強くなって来ました。ハクサンコザクラは好きな花なので見ることができて良かったです。ここで、雨具を装着してデジイチもしまいました。この後、再び歩き始めた時は一旦雨は弱まりましたが、基本的にやむことはなく、基本的には本降りの状態でした。

 下って行くと雪渓があり、この雪渓を下ると鎖場の注意案内があります。鎖場はすぐではなさそうでしたので、もう少し様子を見ながら下って行くことにします。この後は樹林帯の道を九十九折れに下って行きます。しばらく下って行くと鎖場が現れましたが、これは短い鎖場でその後、本格的な鎖場が待っていました。
 
【ノウゴウイチゴ】

【最初の鎖場左下あたりまで】

【本格的な鎖場ですが基本的にはトラバースの道】

【下り終わって振り返る】

【シラネアオイ】
 基本的には岩場をトラバースしながら下って行きます。やや長いですが、鎖を掴んでいる必要のある箇所はそれほどありません。雨で岩の滑り具合が気になったので、基本的に鎖は掴んでいましたが、慣れた方ですとほとんど鎖を触らずに下ってしまえるかもしれません。高度感もそれほどではないので、慎重に歩けば問題ないでしょう。ただし、滑落事故も起きているので油断は禁物だと思います。

 その後しばらく下って行くと長い雪渓を下っている人が見えてきます。この雪渓を下ると白馬鑓温泉小屋になります。アイゼンを装着するか迷いましたが、それほどの斜度ではないので、1回尻餅をつきましたが、そのまま小屋まで下って行きました。

【この雪渓を下る】 

【左奥の小屋へ】

【白馬鑓温泉小屋へ】

【足湯】
 鑓温泉小屋と言えば当然有名なのはその温泉で、浸かっている人もいたので入ろうと思ったのですが、さすがに土砂降りがひどく、すぐにびしょ濡れになるのが目に見えていましたので、今回は断念することにしました。ちなみに、まだ小屋開き前で小屋の方がいろいろと準備をしているようでした。

 小屋には屋根もあったので、いい休憩をとることができました。少し下って行くと長い雪渓が現れます。その時に登って来た方がいて道がわからなくなって引き返したとのことでした。すると、後ろから歩いて来た2人組の方が、この雪渓を下っている人がいたよということで、3人でずっと下って行ってしまいました。ただ、手元には山と高原の地図しかなかったのですが、コンパスで方角を確認すると、ずっと下ってしまうと明らかに方角が違うようでした。後で違う方向から雪渓を登って来た方がいたので、その方を見てずっと下ってしまったのかもしれません。

【雪渓を下りますが下り過ぎると本道を逸れて行きます】

【雪渓を登り返して本道へ】 
 ただし、自分も初めて歩くルートで自信がなかったのではるか後ろから追いかけることにします。途中左手に夏道が見えている箇所があったのですが、それが気になりつつも下って行きますが、これがやはり本道だったようです。しばらく下ってみますが、やはり本道はトラバース気味に道が続いているはずなので、それを考えるとおかしいということで、少し引き返して雪渓の急登を斜面に登り返して行きます。どこかをトラバースしているはずなので、そういう意味では本来のルートにどこかでぶつかるはずです。

 いつの間にか本道を突き抜けて登り返し過ぎていましたが、ようやく夏道を見つけることができました。この後やはり雪渓のところでわかりにくいところがありましたが、それ以降はわかりにくいところはなかったと思います。ただ、登山道が随所で崩壊していて、慎重に歩かざるを得ませんでした。

【再度雪渓を渡って見つけた登山道】 

【崩壊した登山道と残雪の混じった道】

【長い雪渓を経て中央右の登山道へ 右手から登り返している登山者もいました】

【テガタチドリ】
 いくつかの雪渓を渡りながら進んで行くと広々とした雪渓が出てきます。ここを渡って登って行くと、長い雪渓は終わりです。なお、渡ってトラバース気味に登って行く登山道を歩いていると、この雪渓を登っている登山者の方がいました。恐らく、先の雪渓を下り切った後に左手に登って行くとこの雪渓に当たるのだと思います。登り返しは大変ですが、わかっているのであれば、悪路を通らずにここまで来られるのかもしれません。

 その後も、雪渓手前程崩壊している登山道はありませんでしたが、土砂降りの雨が降っていることもあって、所々で歩きにくいところもありました。ただ、花は随所に咲いていて、少し離れた場所に咲いていたクルマユリを撮れなかったのは残念でした。

【タテヤマウツボグサ】

【ミヤマキンポウゲのお花畑】

【雪渓の多く残る山肌はガスに隠れて】

【ミズバショウ】
 しばらくトラバース気味の登山道を歩き、その後緩やかなアップダウンの道が続きます。比較的歩きやすいとはいえなかなか長い道のりです。やがて、緩やかな登りとなって、これを登り切るとようやく小日向のコルに到着です。このコルでようやく鑓温泉と猿倉の中間地点になります。途中でルートミスをしたこともあって、本当にここまでが長く感じました。

 小日向のコルを少し過ぎてからちょうど座りやすい岩があったので休憩をしました。土砂降りの中の長丁場はなかなかしんどいです。ただし、このあたりを歩いている時は時々弱まる時間もありました。

【このあたりの池塘には本当にミズバショウが多かったです】 

【小日向のコル】

【割れて置かれていた案内看板】

【ニッコウキスゲ】

【ヨツバシオガマ】

【麓はまだ遠く】 

【リュウキンカ】
 コースタイムでは小日向のコルからも2時間弱かかりますが、コルまでの登山道と比べると全般的に歩きやすいため、比較的快調に下って行くことができました。途中登山道の状況を調べながら下っている方達がいたので、もしかして状態の良くないところはこれから補修していくのかもしれません。

 順調には下っていましたが、無理はしないように1時間程下った後に休憩を挟んで下って行きます。鑓温泉分岐を経て、午後1時半前には猿倉まで戻って来ることができました。途中でルートミスをしたことを考えると、自分にとってはいいペースだったと思います。

【鑓温泉分岐へ】

【猿倉の登山口へ】

【雨の降り続く駐車場へ】
 結局駐車場に到着するまで雨は降り続いており、車に入った途端さらに強くなる状態でした。降ってもそこまでは強くならないだろうというのは、甘い考えだったのでした。

 今回は正直足慣らしで、初夏の高山植物が見られればいいなというくらいの気持ちで臨んだのですが、本当に充実した2日間になったと思います。ただ、次は雨にはあまり降られないで歩きたいものですね。テント装備を担いでの歩きという意味ではいい訓練になったのではないかと思います。

 ちなみに鑓温泉ルートは小屋が開く前でしたので、開く時にはもう少しルートがわかりやすいようにしてあるかもしれません。


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