かいこまがたけ
 甲斐駒ヶ岳(撤退)
登山日: 2015年3月15日(日)   標高:2966m(甲斐駒ヶ岳) 約2670m(八合目)
    標高差:登山口から八合目まで約1900m

地図及びルートについては前回本ルートでの登山時(2014年8月19日)のものを参照

 3月15日(日)    登山口 4:50 → 笹の平分岐 6:20 → 刃渡り 8:00 → 七丈小屋 10:40
   八合目 12:10(〜40) → 七丈小屋 13:00 → 刃渡り 15:10 
   笹の平分岐 16:00 → 登山口 17:00

 

 本日は甲斐駒ケ岳に登ります。直前まで奥美濃の山々と迷った末に登ることにしました。ただ、ぎりぎりまで迷ってしまったので、せっかくの日曜日登山にも関わらずあまり早い時間に現地入りすることができませんでした。雪のない時期ならばともかくこの時期ですので、3時前には出発したいと思っていたのですが、現地で仮眠をしていてとてもその時間には起きられませんでした。結局、断念することも考えましたが、途中まででもこの時期のコースを見ておきたいということもあって、登ることにしたのでした。

 結果的には八合目まで行けましたので、展望はそれなりに得られて良かったと思いますが、このルートの核心部は見ることも叶わなかったことで、同じ撤退するにしても残念な結果となってしまいました。ちなみに、時間切れでもあったのですが、それ以前に体力が限界でしたので、雪が締まって歩きやすい時間が長くなったであろうことを考慮しても、3時前に出発していてもこのあたりで撤退になっていたのかなと思います。正直七丈小屋手前の急斜面でも苦労しましたので、八合目以降の核心部はとても手が出なかったかなと思います。

【夜明け前の駒ヶ岳神社】
 
【夜が明けて】
 出発が遅れたとはいえ、まだ夜が明ける前に出発です。ここは、昨夏に歩いていましたし、途中までは尾白川渓谷を歩いた際に歩いていますので、暗がりでも問題なく進んで行きます。

 駒ヶ岳神社は夜でもライトが付いていたのには驚きました。山行の無事を祈った後、橋を渡って登って行きます。尾白川渓谷との分岐を経た後、本格的な登りになって来ます。このあたりは、時々アイスバーンが出て来る感じで、特に暗い時間は雪道よりもたちが悪いような気がします。早めにチェーンアイゼンを付けても良かったのですが、東側に回り込むとほとんど雪がなかったので、ある程度雪が出てくるまではそのまま登って行きました。

 尾根に取り付いて長い斜面を登って行きます。徐々に雪も繋がって来ましたし、ちょっとしたトラバースが完全にアイスバーンで歩きにくかったのでチェーンアイゼンを装着しました。ただ、さらに雪が増えて来るとほとんど刃が効かないのであまり意味がなかったりしますが。
 
【笹の平分岐】

【樹林帯を登って行く】
 
【木々の合間より富士山】
 徐々に雪も増えて来ますが、暗い時間はまだ雪も締まっていて、比較的歩きやすかったです。しかし、標高の高いところは新雪が積もっていたようで、足が捕られるような場所もありました。土曜日に入った方達にある程度踏まれていましたが、それでも部分的に吹きだまっていた場所はちょっとしたラッセルになって大変でした。

 それでも、笹の平分岐を経てようやく刃渡りに到着です。その手前に展望が開けた場所があったので、少し地蔵岳〜高嶺方面の眺めを楽しんだ後、刃渡りに向かいました。トレースもありますし、きちんと歩けば問題ないのですが、それでも雪が不安定な箇所もあったので、刃渡りの前に12本アイゼンを装着しても良かったかなと思いました。雪のない時期と違って、鎖のある場所くらいまで雪が積もっているので、高度感もそれなりにあります。特に構える必要はないかもしれませんが、ここまでが淡々とした樹林帯の登りですので、ここは少し気を引き締めた方がいいかもしれません。

【地蔵岳〜高嶺の見事な稜線】

【稜線の肩に見えていた富士山】

【富士山を中心とした眺め】

【刃渡りへ】

【雲海に浮かぶ八ヶ岳連峰】

【南八ヶ岳の山々を中心に】

【刃渡りを振り返って】

【雪に埋まった刀利天狗】
 その後もやせた尾根道を登って行きます。やがて急斜面の登りに差し掛かったので、12本アイゼンとピッケルに変更して登って行きます。このあたりは、刃渡りの手前で抜かれた方と前後しながら登って行きました。このあたりで下って来た方がいたので話をしたところ、上部は雪が深くてかなりラッセルが必要で山頂に向かわず下って来たとのことでした。既に時間的に厳しいとは思っていましたが、このあたりではっきりと八合目を目指して登って行くことにしました。展望がなければ七丈小屋まででとも思ったのですが、せっかくの好天でしたので、八合目まで頑張ろうと思ったのでした。

 急斜面を登って刀利天狗を経ると、険しい箇所は一旦抜けて、比較的緩やかな登りになります。これを登り切ると、今度は五合目へ向かって下って行くことになります。ただでさえ高低差のある黒戸尾根ですが、帰路にこの登り返しがあるので余計に大変だったりします。

【鋭い岩峰が見えて来て 正面は八合目あたりでしょうか】

【高度感のあるピークが並んでいます】

【五合目小屋跡のテント泊跡地】
 この五合目への登り下りで大変だったのは、斜面に新雪が積もったせいか、トレースの谷側に足を置くと踏み抜いてしまうことで、トレースはあっても意識して山側に足を置かなければならないところでした。見た目は普通の雪道歩きなのですが、意外と苦労をさせられることになりました。

 五合目小屋跡に下るとテント泊の跡地になっていて、確かにここはテントを張るにはいい場所のようでした。この時期の七丈小屋付近は小屋前の僅かなスペース以外は更地が見当たらなかったので、このあたりでテントを張る方もいるのでしょう。七丈小屋と比較すると山頂までが遠いですが、ここであれば、険しいのは刃渡りから刀利天狗までの僅かな区間だけで済むというメリットはあると思います。この先は、小屋泊装備なら何とかという感じですが、テント泊装備だとなかなか大変なのではないでしょうか。そもそも、この時期の黒戸尾根はベテランの方しか登らないので、問題ないのかもしれませんが。

【五合目の祠と右奥の急登の先に見える登山者】

【この長い階段が埋まると確かに大変そうです】

【慎重にトラバース】

【吊橋は問題ありませんでしたがこの後の階段が埋まっていました】

【真っ白な稜線はまだ遠く】

【この後の梯子の先が小屋までの核心部でしょうか】

【階段の埋まった急斜面】
 五合目小屋跡からは、一旦下って行くと祠があって、その脇から長い階段を登って行きます。雪のない時期でもなかなかの高度感ですが、階段の一部が雪に埋まってなかなか歩きにくかったです。何度も積雪期にここを往復している方が、ここが埋まると大変と書いてあったのもわかるような気がしました。

 その後も、断続的に険しい箇所が出てきます。やはり、梯子はさすがに埋まっていないにしても、階段は結構埋まっている箇所もあって、脇にロープや鎖が付いているので何とかなるものの、これがないと下りは結構大変そうな道が続きました。黒戸尾根を登った方の記録では、あまりこのあたりの道の記述は出てこず、基本的には八合目から先の核心部と呼ばれる箇所のことしか記されていないことが多いです。つまり、このくらいの道は普通に歩けなければいけないということでもあるのでしょう。特に積雪期には険しい山には登らない自分にとっては、このあたりの道だけでも充分険しく、結果としてはいい練習になったのではないでしょうか。

【なだらかな樹林帯の道と言いたいところですが小屋前の結構な急斜面です】

【小屋手前のトラバースは特に慎重に歩きました】

【ようやく到着した七丈小屋と奥の稜線】

【小屋前はきれいに除雪されていますがアイスバーンです】
 小屋も近づいて、ほっとしたのも束の間で、最後の樹林帯の急斜面はともかくとして、小屋手前のトラバースはなかなか大変でした。基本的にトレースがあるので、しっかりたどればいいわけですが、部分的に道が途切れて跨ぐ場所もあって、慎重に進んで行きました。これを過ぎればようやく七丈小屋に到着です。小屋の前は記録で見たようにきれいに除雪されていましたし、日当たりがいいせいか、このあたりは結構雪が溶けていました。

 小屋前で少し休憩をしたら先に進みます。正直体力的には限界だったのですが、さすがにこの好天でしたので、ある程度の展望が得られるところまではと思って登ることにしました。小屋の裏手から登って行きますが、確かに雪が多くてテントを張れるような場所などありませんでした。この後の登りは、聞いていたように雪が随分積もったようで、新雪に足を捕られながら進みます。恐らく、小屋泊の方達が登った時にはきれいに段差が付いていたのでしょうが、この時間になると途中まで登った方達が下って、それらが全て崩れてしまっていましたので、結構蹴りこみながら登らないといけない場所や雪が緩んだのか思いっきり踏み抜いてしまう場面もあって、疲労の限界であった身には過酷な登りとなりました。ただ、やや急な斜面であることを除けば、八合目まで険しい箇所がないのが救いだったでしょうか。それと、徐々に広がる展望に励まされながらの登りとなりました。

【七丈第二小屋 この脇から登って行く】

【飛行機雲を眺めながら】

【ひたすら登って行く】

【苦労した柔らかい新雪の急登】

【時々八ヶ岳を振り返りながらの休憩】

【素晴らしいロケーション】

【美しいシュカブラ】

【ようやく八合目へ】
 八合目まではそこまでの距離はないのですが、先に書いたように新雪の登りが大変だったのと、疲労の限界を超えていたことで、遅々として進みませんでした。少し歩いては休憩しての繰り返しで、結局CTの2倍くらいの時間をかけて八合目に到着です。

 時間が時間でしたし気温も上がっていたのですが、見事な展望が広がっていました。もちろん山頂と比べると展望は限られてしまうのですが、そのような中でも南アルプス北部の山々を始め、北アルプスや八ヶ岳連峰の山々が見えていました。しばし、休憩も兼ねて写真を撮っていたのでした。八合目にはザックがデポされていて、この日数少ない登頂者の1人のザックだったようです。結局、八合目には30分程いましたが、あまり体力は回復しませんでした。とはいえ、五合目小屋跡付近の登り返し以外は下りですので、頑張って下ることにします。名残惜しくも下山開始です。

【この先は険しい道が続く】

【地蔵岳〜観音岳〜高嶺 地蔵岳がやや稜線から外れていることがわかります】

【ずらっと居並ぶ北アルプスの山々 この時間でもよく見えていました】

【蓼科山から編笠山までの八ヶ岳連峰の山々】

【地蔵岳〜観音岳〜高嶺を拡大して】

【北岳】

【塩見岳】

【地蔵岳の肩に霞みつつある富士山】

【南八ヶ岳の山々】

【阿弥陀岳と赤岳の存在感は抜群です 間には横岳も見えています】

【槍穂の山並み】

【後立山連峰】

【鋸岳越しに乗鞍岳】

【北岳〜間ノ岳と右奥に塩見岳】

【北アルプスと八ヶ岳連峰の並ぶ景色】

【いつかはこの先も歩く日を思い描いて】

【名残惜しくも下山開始です】

【この岩場の下りは慎重に】

【刃渡りでもまだ八ヶ岳はよく見えていました】
 下りですら足が重かったのですが、雪道の下りですので、それなりのペースで下って行きます。この時間でも登って来られる方がいて、話を聞くと自分よりもずっと後から登り始めた方でした。山頂まで行こうかなと言っていましたが、結局すぐに下り始めたようで、その後下っている途中で抜かれることになります。途中で休憩をしている際に少し話したのですが、厳冬期でもアルプスを歩いているような方で、年末年始の南アルプスの話を聞くことができました。

 七丈小屋までは特に問題ありませんが、ここからが自分にとっては厳しい下りが待ち受けています。登りで思った程は厳しくないことが多いのですが、やはり鎖に頼らざるを得ない岩場から梯子までの一連の急斜面は大変でした。怖いと思ったのは久しぶりだったと思いますが、鎖やロープが出ているので、見た目ほどは難しくないと思います。次回訪れた時にはしっかり歩けるようになっていたいものです。何とか五合目小屋跡まで下って一息付くことができたでしょうか。ただ、ここからは登り返しが待っています。 
 登り返しはしんどかったですが、ここまでが基本的に下りで、しかも時間をかけていたので、ゆっくりであれば問題なく登って行けました。そもそもが、八合目への登りと違ってしっかり踏み固められた道だったのもあるでしょう。それと、標高を下るに連れて比較的快調になっていましたので、もしかしたら少し高山病のような状態だったのかもしれません。

 登り返した後は下って行くばかりですが、刀利天狗手前と刃渡り付近は慎重に下って行きます。その後は、チェーンアイゼンでは効かないのですが、危険なところは少ないのでチェーンアイゼンに替えて少し足を滑らせながら下って行きました。飛ばせる所は飛ばしたと思いますが、やはり長い長い下りでした。ある程度下って行くと雪がなくなりますが、北側に回り込むところにアイスバーンがありますので、そのまま装着したまま下って行きました。少なくとも刃渡りまでは明るいうちに下りたいと思っていましたが、何とか暗くなる前に登山口まで戻って来ることができました。

【明るいうちに駐車場へ】
 今回は充分歩きましたし、山頂まで行けずとも素晴らしい景色を見ることが出来た反面、やっぱり途中で断念せざるを得なかったのは残念でした。ある意味技術的にも体力的にもまだまだだと知ることが出来たのは良かったと思います。この黒戸尾根の登山口は、自宅から比較的近い方なので、雪の有無に関係なく機会があれば何度も登りに来たいと思っています。


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