ちゃうすだけ・かみこうちだけ・ひじりだけ
 茶臼岳・上河内岳・聖岳(3〜4日目)
    登山日: 2015年5月1日(金) 〜5月4日(月)
     標高:2604m(茶臼岳) 2803m(上河内岳) 3013m(聖岳) 2982m(奥聖岳)


 5月1日(金)    沼平ゲート前 7:40 → ヤレヤレ峠 8:55 → ウソッコ沢小屋 10:10
   横窪沢小屋 12:15 → 茶臼小屋 15:45(〜17:50) → 茶臼岳 18:30
   茶臼小屋 19:00
     
5月2日(土)     茶臼小屋 4:30 → 茶臼岳 5:10 → 茶臼小屋 5:40(〜6:40)
   上河内岳 8:50(〜9:30) → 聖平小屋 11:50
     
5月3日(日)     聖平小屋 4:00 → 聖岳 6:40(〜7:10) → 奥聖岳 7:25(〜50) → 聖岳 8:10
   聖平小屋 9:55 → 上河内岳肩 13:50 → 茶臼小屋 15:35
     
5月4日(月)     茶臼小屋 4:40 → 横窪沢小屋 6:00 → ヤレヤレ峠 8:00 
   沼平ゲート前 9:00

 

 3日目の朝を迎えます。前日は早い時間に到着して充分時間も取れましたので夜明け前から聖岳に登って行きたいところですが、残雪期の樹林帯は、暗い時間に抜ける自信がなかったので、樹林帯に入った頃には少し明るくなりそうな時間に出発しました。

 まずは、分岐まで出た後薊畑分岐を目指します。それなりに日当たりのいい斜面になると思いますが、吹き溜まりになるような場所は結構雪が残っていて、早朝は雪が硬くて歩きづらかったです。なんとか薊畑分岐まで出ると、上河内岳や光岳などが見事な姿を見せていました。そのまままずは小聖岳に向かって歩いて行きます。少し歩いた後はしばらく雪道だったのですが、道がわかりにくい以上に、雪がつるつるで登るのに結構難儀しました。雪が結構途切れているかもしれないと思ってアイゼンはなかなか装着しなかったのですが、結果としては早めに装着しても良かったと思います。

【月明かり】
 
【赤く染まる山際】
 しばらく進んで行くと一旦緩やかに下った後、再び登り返して行きます。ここは、尾根は徐々に右に、つまり東に折れて行くのですが、尾根に忠実に歩くのか、それとも右手斜面をトラバースしていくのか考えて、結局わかりやすい尾根伝いに歩くことにしました。結果としてはとても歩きにくく、踏み抜きも凄まじくて、トラバースして行くのが正解でした。ただ、トラバースにしても、帰路通った所ではかなり複雑で、その場その場でルートを探していかなければならないような感じでした。結局登りでは強引に尾根伝いに抜けた後、一旦夏道の露出した場所に出ることができました。

 振り返るとなんと聖平小屋が見えていました。残雪期は小屋の裏手から登っていた記録もあって、樹林帯をうまく抜けられるのであれば最短距離になるのでしょう。その後、樹林帯の急斜面が待ち受けていましたので、さすがにアイゼンを装着して急登を登って行きました。

【薊畑分岐】

【南岳〜上河内岳】

【夜明け前の富士山】
 急登を登って行って、ようやく樹林帯を抜けるとザレた道に出ます。その先には雪が当分なさそうでしたので、アイゼンを外して緩やかに登って行きました。これを登り切ると小聖岳に到着です。

 随分明るくなって来たこともあって、正面の聖岳や兎岳の眺めは見事でした。ここでしばしの休憩をした後、先に進むことにしました。聖岳への取付きまではやせた尾根を歩いて行きます。実はこのあたりにはまだ雪が残っていて、ナイフリッジを歩く練習になるかなと思っていたのでした。細い道とはいえ、さすがに雪がなければ特に問題なく進んで行けます。改めて見てみると、やはり残雪期はかなり大変そうな道に感じたのでした。

 聖岳に取り付くと、その後はひたすらにザレザレの道を九十九折れに登って行くことになります。

【一旦下って登り返して行く このあたりが雪も多く一番わかりにくいでしょうか 右に小聖岳 中央奥に聖岳】

【振り返ると聖平小屋 ルーファイができれば谷間を上がって来るのが最短ルートでしょう】
 
【雪の急斜面を登る】

【ザレザレの道を登る 以降聖岳山頂まで登山道に雪はなし】

【下には歩いて来た稜線 中央は光岳】

【小聖岳へ】

【富士山と朝の太陽の神秘的な景色】

【兎岳も迫力があります】

【いよいよ聖岳へ】

【やせた尾根ですが雪がなければ特に問題はありません】

【ひたすら九十九折れにザレた道を登って行きます】

【振り返ると上河内岳から茶臼岳の展望】
 
【聖岳山頂へ ここには雪が残っていました】
 やはり、雪が溶けている間に多少なりとも崩れた所もあるようで、登山道は概ね明瞭でしたが、一部はかなりザレザレになっている箇所もありました。滑落するようなことはないと思いますが、落石を起こしてしまいそうなところもあって、場所によっては慎重に歩いて行きました。

 その後も標高を稼いで行くと聖岳山頂に到着です。この少し手前から雪が残っていました。山頂は日当たりがいいにも関わらず、これだけ雪が残っていたのは意外でした。まだ誰も来ない山頂ですので、景色を楽しんだり、セルフで写真を撮ったりして過ごしました。兎岳〜大沢岳〜赤石岳の縦走路の山々を始めとした南アルプスの山々に加えて、中央アルプスの山々もくっきり見えていました。しばし楽しんだ後、せっかくですので奥聖岳に登ることにしました。小聖岳手前から全く雪がなかったので、多少は雪道でも歩こうかというのもあったでしょうか。聖岳から奥聖岳までは概ね雪道になっています。

【2つの頂上碑】

【頂上碑と大沢岳】

【誰もいませんでしたのでセルフで】

【中盛丸山〜大沢岳の稜線と奥には中央アルプス この眺めは素晴らしかったです】

【大沢岳〜百阨ス 谷間には百闢エ山の家】

【右手前のハイランドしらびそと奥に広がる見事な雲海】

【まだまだ白い中央アルプス】

【大沢岳が格好良かったです】

【百闢エ山の家も見えています】

【塩見岳】

【赤石岳山頂 中央右に赤石岳避難小屋も見えて】

【富士山】

【聖岳山頂の富士山方向の眺め】

【赤石岳と左奥に塩見岳】

【頂上碑と赤石岳】

【赤石岳と奥聖岳への道】

【広々とした雪原を進む このあたりは雪が解けるとお花畑になります】

【奥聖岳頂上碑】
 奥聖岳への道は雪道を交えた岩場の多いルートになります。難しい箇所はありませんが、雪解けが進んでいて、場所によっては踏み抜いた下に岩があることもありましたので、下を確認しながら慎重に進んで行きました。やがてなだらかな広々とした雪原に出ます。このあたりが、雪解け後はお花畑になるあたりです。

 雪原を進んで行くとやがて奥聖岳山頂に到着です。このあたりはべったりと雪が残っていました。聖岳同様赤石岳の眺めは素晴らしかったです。やはり最も興味を魅かれたのが東尾根の眺めで、前日以前のものと思われるトレースもありました。ここも、いつかは歩いてみたいところです。ただ、バリエーションルートですので、容易には登ることはできないでしょう。奥聖岳まで来る人はいませんでしたので、静かにのんびりと過ごすことが出来ました。この日は最終的には茶臼小屋まで戻らなければなりませんので、休憩もそこそこに戻ることにしました。

【聖岳を振り返る】

【上河内岳】

【東尾根 東聖岳が見えて】

【東尾根を登って来た方のトレース】

【東尾根と富士山】

【迫力のある奥聖岳からの赤石岳】

【悪沢岳 こちらもいつかは残雪期に】

【中央アルプス南部の山々】

【大沢岳と中央アルプス】

【赤石岳への縦走路】

【賑わう聖岳山頂】

【素晴らしい展望を正面に見据えながらのザレザレ道の下り】

【抜けて来た樹林帯を振り返る トレースがないと同じ道を歩くのは難しそうです】
 聖岳に戻って行くとさすがに登って来た方達で山頂は賑わっていました。景色は充分楽しみましたし、先は長いので、そのまま下って行きます。ザレた道を着実に下って行きました。

 小聖岳を過ぎて再び雪の斜面に入って行くところでアイゼンを装着します。かなり緩んで来ているのでなくても大丈夫そうでしたが、斜度はそこそこありますので、念のため装着したのでした。

 自分の後に結構登られた方がいましたので、トレースは明瞭になっていて、登りの時のように苦戦することはありませんでしたが、本当に樹林帯を縫うようにトレースが出来ていて、先に書きましたように、トレースのない状態でこのルートを探すのは結構大変そうではありました。その後も着実に下って薊畑分岐に到着です。後で雪のある場所は出来てきますが、雪があったりなかったりですので、アイゼンはここで外しました。

【薊畑分岐と上河内岳からの稜線の眺め】

【聖平小屋の裏へ】

【沢で水を補給】

【聖平小屋分岐より振り返る】

【聖平小屋分岐からの眺め】

【樹林帯の雪道】
 薊畑分岐からは聖平小屋分岐を目指して歩いて行きます。早朝は暗がりの中登って来ましたが、やはり雪は結構残っています。早朝は雪が硬くて苦労した箇所も、この時間になると少し緩んで歩きやすくなっていました。

 途中、左手に逸れて行く道があって、どうも聖平小屋の裏手に出る道のようでしたので、この道を使って聖平小屋に向かいます。ちょうど裏手あたりに出ることができましたので、そのまま回り込んで沢に出て水を補給しました。それなりの水を持って聖平小屋分岐にデポしたのですが、聖岳を往復する間に結構消費してしまったので補給したのでした。せっかくザックをデポしたにも関わらず小屋まで戻って再びザックをデポした場所に向かいました。

【昨日は左手から来ましたが右へ】

【岩場をトラバースした後右手に下って行く】

【最後はザレザレの石を踏み抜きながら雪渓へ】
 少しゆっくりしたらまずは上河内岳の肩に向かって出発です。ここは苦労することがわかっていますので、ゆっくり歩いて行きます。どちらにしても、雪面の登りが待っていますので、どうしてもペースは上がりませんでした。

 登ったり下ったりしながら、昨日苦戦したルートへ入る場所に出ます。そのまま昨日のルートを取るとやや大回り気味に樹林帯を抜けるのですが、手前から右手に回り込んでみることにしました。岩場に突き当りますので、これをややトラバース気味に回りこんで、ザレザレの道を右手の雪渓に向かって下って行きます。結構な量の小石が堆積していたようで、最後はザレザレの道を踏み抜きながら雪渓まで出てきたような感じになりました。これだけ崩れやすい道ではとてもお勧めできるようなルートではありませんが、その後の雪渓の緩やかな登りは歩きやすく、無事登山道に合流することができました。前日歩いたルートとどっちもどっちかもしれません。

【緩やかな雪渓の登りは歩きやすく】

【夏道に合流】

【近い距離からの堂々たる聖岳も見納め】

【雪渓を登って行く】

【ガスに覆われつつある上河内岳】

【ガスが下りて来る中を登って行く】

【上河内岳肩へ】
 夏道登山道を登って行くと徐々に森林限界を超えていきます。さすがに重いザックを背負っての登りはなかなかしんどかったです。テント泊もある程度続いていると大丈夫なのですが、久しぶりとなった今回の山行では結局最後まで登りでは苦労しました。

 なんとか一歩一歩登って雪渓を登り切ると上河内岳の肩に到着です。反対側から来たグループの方達がザックをデポして上河内岳へ向かって登って行きます。私は前日にも登っていますし、随分雲に覆われて来ていたので、今回は休憩をするだけとしました。ただ、このグループの方達と後で茶臼小屋で会ったのですが、何とかギリギリで山頂からの展望を得ることが出来たとのことでした。

【グループの方達が上河内岳へ向かって登って行きます】

【まだ時折青空も】

【ガスが晴れたり覆ったりの稜線】

【つがいのライチョウ】

【ガスガスの稜線】

【再び茶臼小屋へ】
 その後は、緩やかに下りながら茶臼小屋を目指します。再び稜線まで登り返して来た時には、稜線はガスに覆われていました。この日は雲が増えて来るという予報でしたが、見事にそのような予報になったのでした。ペースが快調であれば、一気に下山などということも考えてはいたのですが、茶臼小屋で既に3時半過ぎといい時間になっていました。

 小屋はさすがにGWに入りましたので、それなりに泊まる方もいましたが、特に夜になって団体の方達が入って来て、ほぼ小屋はいっぱいとなりました。翌日は下るだけですので、のんびりとしながら一晩を明かしたのでした。

【神秘的な景色を見せていた日暮れの風景】
 

【2晩お世話になった茶臼小屋】
 最終日の朝を迎えます。この日は下り坂の天気予報となっていましたが、午前中はもちそうでしたので、早い時間に下ることにします。普通の登山道であればそこまで意識することはないのですが、どうしても下部の一部崩壊したトラバース道が頭の片隅にあったので、雨にぬれる前に通過したいということがありました。

 幸い小屋に泊まっていた方々はみなさん夜明け前から準備をされていましたので、合わせて準備を始めます。自分の場合、朝食は食べないので片付けを済ませたらすぐに出発の準備をします。雪渓はそこまで硬くはなさそうでしたが、念のためアイゼンは装着して下ることにしました。外に出てみると、見事なまでにどんよりとした空模様でしたが、これが意外と崩れなかったりします。もちろん、主稜線から離れて麓に下って行ったからというのはあるでしょう。
 樹林帯をトラバースして、尾根道に出るところがわかりにくそうでしたが、やはりトレースが結構残っていましたので、時々拾いながら歩きやすそうなところをうまく歩いて行くことができました。雪は比較的締まってはいるものの、踏み抜くところはきちんと踏み抜いて、結構歩きにくかったりします。それでも一気に横窪沢小屋まで下って行きました。

 横窪沢小屋はなんと開いていて、中には泊まっている方もいました。このあたりはGWは営業していなかったと思いますが、何かのイベントでもあったのでしょうか。そのまま通過してしまったのですが、せっかくですので、小屋にいた方に話でも聞いておけば良かったです。

 その後も、時々休憩を交えながら下って行きます。ペースは良かったですが、やはり重い荷物を担いでいますので、どうしても膝のことが心配になってしまいます。ウソッコ沢小屋を経て、いよいよ一部崩壊した登山道が出てきます。慎重に足を置いて、まずはウソッコ沢小屋手前のザレた道を抜けることができました。

【どんよりとした空模様】

【雪は比較的に締まっているが踏み抜きも】

【GWは営業中?】

【落ち葉の敷き詰められた道を下って】

【新緑は美しく】

【崩壊地核心部の1つ うまく足を乗せないと右に滑り落ちてしまいます】

【新緑と吊橋 ここだけはデジイチを出そうか迷いました】

【ヤレヤレ峠 本来であればもう一息ですが】

【登りで見て来た分まだ良いですがやはり慎重に進まざるを得ないトラバース】

【新緑と畑薙大吊橋】

【沼平ゲート前へ】
 その後は気持ちの良い新緑を眺めながら下って行きます。主稜線から離れるに連れて天気も幾分かよくなっているような感じでした。さすがにピーカンだった登りの時のような鮮やかさはないですが、十分に素晴らしい眺めでした。

 下りで余分だったのが、吊橋を渡った後の沢の脇の道で足を滑らせて思いっきり転んだことでしょうか。ここはよく滑る場所でいつも注意しているはずですが気が緩んだのでしょうか。

 ヤレヤレ峠に着いても、まだザレザレのトラバースが待っていますので気が抜けません。畑薙大吊橋を渡って林道歩きになって、ようやくほっと一息つくことができたでしょうか。結局沼平ゲート前に着いたのは9時頃と、思ったよりも早く戻って来ることができました。下山届を登山指導センターから出てこられた山岳救助隊の方にお渡しして帰路につきました。いつものように白樺荘の温泉に浸かって、久しぶりの長期山行の疲れを癒したのでした。
 


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