じょうねんだけ | |
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登山日: 2016年3月4日(金) | 標高:2662m(前常念岳) 2857m(常念岳) |
標高差:ゲート前から約2100m |
3月4日(金) | ゲート前 4:15 → 巡視路入口 5:00 → 樹林帯出口 9:30 → 前常念岳 11:30 | ||||
→ | 常念岳 12:45(〜13:15) → 樹林帯出口 15:00 → ゲート前 18:45 |
本日は常念岳に登ります。快晴が約束されていたこの日は金曜日ですが、ちょうど仕事も中休みということもあって、有休をいただいて登ることにしました。いろいろと候補はありましたが、1日天気の良い予報でしたので、稜線に出る時間が遅くても展望が良さそうということで、このルートを選びました。ただし、かなり長いルートですので、ラッセルを強いられるようですと、登頂はまず難しいかなと思っていました。 長丁場であるうえに、最初は林道歩きですので、出発は早ければ早い方がいいと思っていたのですが、さすがに前日はそこまで早く帰ることができませんので、帰宅してすぐに出発、現地近くのSAで車中泊をしたわけですが、2〜3時間の仮眠で現地入りしても、午前4時過ぎの出発が精一杯でした。ただし、林道歩きの後の巡視路入口からのルートは決してわかりやすくはありませんので、これ以上早い時間ですと、ルート探しが厳しかったかもしれません。 |
![]() 【須砂渡ダムゲート前】 |
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![]() 【三股登山口手前10キロ地点になるようです】 |
最初は安曇野蝶ヶ岳温泉ほりでーゆを過ぎてすぐの場所にあるゲートから歩いて行きます。ここは、三股登山口まで10キロ地点の場所ですので、随分離れた場所からの出発になります。林道は雪のない区間もありましたが、ほぼ雪に覆われていて、やはり麓に比べると雪は多いようです。この林道歩きが随分長く感じましたが、1時間は歩いていませんでした。 林道を九十九折れに登って行った後に、巡視路入口から登って行きます。記録によってはその手前の梯子から登っているものもありました。ただし、この記録は少し藪っぽいところを歩いていましたので、その時よりも雪が減っているであろう今回はそのルートは使いませんでした。しばらくはわかりやすいルートが続きますが、鉄塔からはよくわからなくなります。幸いだったのは、トレースが残っていたことで、GPSで落としたルートと同じルートを歩いているようでしたので、このトレースを辿らせていただくことにしました。草の生い茂った道もありますので、トレースがない場合は、GPSがないとわかりにくいかもしれません。 |
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![]() 【巡視路入口】 |
![]() 【鉄塔と月】 |
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![]() 【赤く染まる空と麓を覆うガスのコントラストが見事でした】 |
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![]() 【夜明け】 |
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![]() 【きれいな御来光を拝むことが出来ました】 |
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![]() 【赤く染まる尾根道】 |
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![]() 【前常念岳は樹林帯の奥ですのでモルゲンロートを見ることはできませんでした】 |
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![]() 【緩やかに登って行きます】 |
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![]() 【この斜面は笹が出て来ており下山時はもっと露出していたように思います これ以上雪が解けるとこのルートはかなり歩きづらいかもしれません】 |
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![]() 【雪が深くなったのでスノーシューに】 |
それでも登りは比較的順調に登って行って尾根に乗ることができました。ある程度の高さまで登って来れば、後は迷うところはなく尾根に忠実に登って行くことになります。途中で、きれいな御来光を眺めることができました。日の出の時間は確認してありましたので、見られたらいいな程度に考えていましたが、何とかそれなりに開けた場所を探して見ることが出来ました。 さらに登って行くと笹が突き出た斜面が出てきます。この時はまだそのまま歩いて行けましたが、さらに露出してくると歩きにくくなることでしょう。この斜面を登り切ったあたりから徐々に雪が深くなって来ますが、それと同時にトレースもなくなってしまいました。さすがにかなり足が嵌ってしまうので、ここでスノーシューを装着しました。担ぐのは重かったですが、この樹林帯を抜けるのにスノーシューは重宝したと思います。部分的に急な斜面もありましたが、概ね快調に歩くことが出来たでしょうか。ただし、結構アップダウンがあったのと、少しラッセルになった場所があって体力は消耗しました。この時はまさかシャリバテになりつつあるとは思いもよりませんでした。 |
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![]() 【展望が開けて】 |
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![]() 【樹林帯を振り返る】 |
やがて樹林帯を抜けます。ここまでで5時間、やはり長丁場のルートです。ただし、真っ白な山々が見えて来てテンションは上がって来ました。とりあえず、岩場に入るまではスノーシューで歩くことにしました。 緩やかに登って下って行った鞍部から見上げると険しい岩場が見えていましたので、ここでアイゼンピッケルに装備を変更しました。スノーシューはまだ使うかもしれないと思って担ぎましたが、結果的に置いて行った方が良かったかなと思います。このあたりから、少し登るだけでしんどくなってすぐに休むという感じでなかなか進みませんでした。この時は疲労の限界だろうと思って、ゆっくりゆっくり歩いて行きました。岩場はやはり険しかったですが、左側の崖側に寄らなければ何とかなるでしょう。ただ、尾根伝いに行くと岩に阻まれますし、トラバースするにはそこそこの斜度の斜面になっていて神経を使う場所もありました。 |
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![]() 【堂々たる前常念岳】 |
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![]() 【気持ちの良い尾根を上がって行く】 |
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![]() 【横通岳】 |
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![]() 【美しいシュカブラ】 |
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![]() 【岩場の急斜面が見えて来て】 |
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![]() 【取り付きが急な斜面になっています】 |
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![]() 【前常念岳へ向かって登って行きます】 |
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![]() 【神々しき穂高連峰の山々】 |
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![]() 【蝶ヶ岳と奥には乗鞍岳】 |
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![]() 【穂高連峰を眺めながらの登り】 |
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![]() 【山頂が近づいて来ましたがまだまだ遠いです】 |
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![]() 【厳しいながらも素晴らしい景色に癒されて】 |
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![]() 【迫力のある常念岳東壁】 |
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![]() 【稜線に出ると槍ヶ岳からの素晴らしい景色が広がって】 |
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![]() 【美しいシュカブラを眺めながら山頂を目指して】 |
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![]() 【8時間半かかってようやく山頂へ】 |
岩場を抜けると比較的歩きやすい稜線となりますが、なかなか力が出なくて、少し歩いては休憩を繰り返していました。この時は疲労が限界に達したのだと思っていて、これでは登っても帰りが厳し過ぎるかなと思っていたのですが、足の調子自体は悪くなかったので、結局そのまま山頂を目指しました。とりあえず、午後1時までは頑張ってみようという感じでした。 その後は前常念岳の上部も岩場になっていましたので、トラバースして脇から登って行くつもりでしたが、徐々に傾斜が急になってさすがにこれ以上進むと危なさそうでしたので、結局稜線に登り返して行きました。最初から尾根筋に沿って登ればと思ったのですが、帰路に見てみると岩壁になっていましたので、ある程度はトラバースしてから登って来ないと無理そうな感じでした。ここは、結果的には随分な時間のロスと体力の消耗に繋がったと思いますが、さすがに簡単には登らせてはくれないということでしょう。ただし、分かれば難しいルートではないでしょう。 |
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![]() 【頂上碑と素晴らしい景色】 |
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![]() 【うまく撮れていませんが記念撮影】 |
その後は徐々に迫りくる常念岳と脇から見える穂高連峰に励まされながら登って行きます。稜線はさぞかし雪が締まって歩きやすいだろうと思っていたのですが、結構雪深い場所もあって、歩きにくかったです。ごろごろした岩の多いルートでしたので、結構飛ばされることなく雪が吹きだまっている箇所も多かったのかもしれません。 ようやく稜線に出ますが、そこから山頂も結構遠く感じました。稜線から山頂は結構なアイスバーンになっていましたが、アイゼンの刃はしっかり刺さる程度でしたので、その点は問題ありませんでした。結局8時間半かかってようやく山頂に到着することができました。もちろん距離もありますが、ルートミスや途中からの失速が大きかったでしょう。 登っている途中も暑かったのですが、山頂も最初は風がなくて暑かったので素手で写真を撮っている状況でした。昼間はそれだけ本当に暖かかったです。時間に余裕がなくて、じっくりと過ごせなかったのは残念ですが、それでも十分に山頂での景色を楽しむ時間は取れたと思います。 |
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![]() 【蝶ヶ岳へ続く稜線】 |
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![]() 【穂高連峰】 |
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![]() 【槍穂の稜線】 |
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![]() 【北アルプス北部の山々の絶景】 |
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![]() 【蝶ヶ岳と蝶槍】 |
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![]() 【前穂高岳】 |
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![]() 【奥穂高岳】 |
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![]() 【北穂高岳と大キレット 右奥には白山】 |
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![]() 【槍ヶ岳】 |
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![]() 【鷲羽岳〜水晶岳】 |
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![]() 【水晶岳】 |
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![]() 【大天井岳】 |
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![]() 【立山連峰もくっきりと】 |
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![]() 【針ノ木岳〜蓮華岳】 |
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![]() 【鹿島槍ヶ岳 手前には翌日狙う予定だった爺ヶ岳】 |
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![]() 【乗鞍岳と梓川の眺め 左奥には御嶽山】 |
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![]() 【素晴らしい景色も見納めです】 |
山頂ではお腹が減りすぎて気持ち悪くなって来ましたので、少し行動食を口に入れました。すると、それまで疲労だと思っていたのが、どうもシャリバテだったようで、体力が回復して来たようでした。自分の場合には疲れ切っている時にはあまり食べない方がいいのですが、むしろ反対だったようです。 帰路も長いですので、山頂での景色を名残惜しみつつ下山を開始します。明るいうちにゲート前まで戻るのは難しいですが、樹林帯を抜けて藪っぽい斜面を抜けた尾根道まで出られれば充分でしょう。とりあえず、前常念岳のトラバースと、その下の岩場の下りに気を付けつつ下って行きます。この日は本当に展望が素晴らしく、下っている間も、振り返ると絶景が広がっていました。前常念岳で少し休憩をした他は着実に下って行って樹林帯の入口まで戻って来ました。 |
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![]() 【大天井岳への縦走路】 |
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![]() 【鷲羽岳〜大天井岳の眺め】 |
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![]() 【長い下りに取り掛かります】 |
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![]() 【自分のトレースを辿って行きます】 |
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![]() 【振り返ると相変わらず素晴らしい常念岳の眺め】 |
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![]() 【前常念岳付近のケルン】 |
![]() 【八合目 前常念岩室】 |
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![]() 【樹林帯が見えて来て】 |
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![]() 【樹林帯入口より振り返って】 |
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![]() 【樹林帯をスノーシューで進む】 |
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![]() 【登って来た時よりも雪が解けて藪が多くなったような気がします】 |
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![]() 【登って来た人がいたと思ったら熊の足跡でした】 |
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![]() 【正解は左の笹の中の目印でした これは意識しないと間違えそうです】 |
アイゼンでそのまま下れるならと思ったのですが、樹林帯入口付近で雪深くてとても歩けるような状態ではなかったので、スノーシューを装着しました。深くなってからでしたので結構手こずってしまいました。 スノーシューでは急斜面は下りにくいですが、樹林帯には急斜面はそれほどないので、思ったよりは順調に戻って行くことが出来ました。やはり登って来た時の自分のトレースがあるのは本当に助かります。 スノーシューを装着した地点まで戻ったら、スノーシューを外してツボ足で下って行きます。登りでは締まっていたので問題なかったのですが、やはり雪が緩んでいてかなり踏み抜きます、2〜3歩に1回は踏み抜いていましたが、下りでしたので、頑張って下って行きました。藪の多い斜面は雪解けが進んでさらに歩きにくくなっていましたが、藪漕ぎをするという程ではありませんでした。 |
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その後は尾根をひたすら下って行きます。踏み抜きながらも比較的快調に下って行ったと思うのですが、さすがに距離や標高を随分稼いできましたので、なかなか長かったです。途中踏み跡が多く見られた場所があったので、後から登って来た人がいたのかなと思ったら、なんと熊の足跡でした。結局、この日は入山した人がいなかったようでした。 暗くなりつつある中、尾根道を下って行くと巡視路に入って行きます。登って来る時は順調でしたので、道なりに下って行くと、どうも見覚えのない場所に出てきました。GPSで確認すると途中で分岐を間違えたようでした。そのまま下って行けば林道の別の場所に出そうでしたが、暗くなりつつある中で行き詰ってしまうと、どうしようもなくなりますので、ここは結構下って来ていたのでしんどかったですが、分岐まで登り返して行きました。ただし、この分岐がなかなかわからなくて、どう見ても分岐に見えないところが分岐でした。登りで少し藪っぽいところを歩いていたのは覚えていたのですが、途中でしっかりとした登山道と合流していたために、下りでは間違ってしまったようです。これは、雪がしっかり残っていてトレースでも付いていないとまず間違えそうな気がします。 |
![]() 【今回見送った梯子からのルート】 |
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![]() 【真っ暗になった頃ようやくゲート前へ】 |
その後は雪が残っている箇所が結構あって、トレースを辿って問題なかったのですが、よくよく見ると決してわかりやすい道ではなかったです。登って来た時は一直線だと思っていたのですが、途中まででもトレースがあって本当に助かったと思います。 林道に出るとほっと一息と言いたいところですが、ここからが結構長いです。微妙に雪に足が嵌るので締まってそうな場所を探しながら下って行きました。いつゲート前に到着するのかと思いましたが、19時前にようやく戻って来ることが出来ました。ここはすぐ近くに日帰り温泉があるのがうれしいところです。 随所でルートミスをしたり、シャリバテになったことに加えて、そもそもルートが長いこともあって苦労しましたが、それだけに歩き切った時の充実感もありました。展望も遅い時間に到着したにも関わらず、予報通りの天気で素晴らしく、思い出に残る1日になったのではないかと思います。いつかテント泊で訪れて、夜明けのモルゲンロートに染まる稜線も見てみたいものです。 |
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