わるさわだけ・こうもりだけ・しおみだけ
 悪沢岳・蝙蝠岳・塩見岳(3〜6日目)
  登山日: 2016年4月29日(金)〜5月4日(水)  
  標高:3141m(悪沢岳) 2599m(徳右衛門岳) 2865m(蝙蝠岳) 3052m(塩見岳) 


 4月29日(金)    畑薙第一ダム 15:00 ・・・ 二軒小屋 16:30
   
 4月30日(土)  二軒小屋 3:30 → マンノー沢頭 6:30 → 千枚岳 9:00 丸山 10:15
   悪沢岳 10:50(〜11:35) → 千枚岳 12:50 → マンノー沢頭 14:20
 二軒小屋 16:35
   
5月1日(日)  二軒小屋 4:10 → 登山口 4:40 → 中部電力管理棟 6:00
   徳右衛門岳 10:40 → 2721m峰蝙蝠岳間コル 15:35
     
5月2日(月)    2721m峰蝙蝠岳間コル 4:10 → 蝙蝠岳 4:40(〜5:20) → 北俣岳 6:50
   塩見岳 8:40(〜9:10) → 北俣岳 10:00 → 蝙蝠岳 11:40
   2721m峰蝙蝠岳間コル 12:10(〜13:50) → 徳右衛門岳 16:30
   約2400m樹林帯 17:10
     
5月3日(火)    約2400m樹林帯 6:35 → 中部電力管理棟 8:40 → 登山口 9:45 → 二軒小屋 10:30
     
5月4日(水)    二軒小屋 9:15 ・・・ 9:45 椹島 10:30 ・・・ 畑薙第一ダム 11:30

 

 月が替わって5月となり、今回の山行の3日目を迎えます。前泊をしていることや二軒小屋を拠点に違う方向の山を目指したことから、あまり何日目という感覚はありません。むしろ、蝙蝠岳・塩見岳行で考えるのであれば初日でしょうか。

 この日は、翌日に蝙蝠岳が狙える場所までテントを担ぐことが目的でしたので、本当はゆっくり出発するつもりでしたが、それなりの時間に目が覚めたのと、テントを担いで歩くのが半年ぶりで、どれだけ時間がかかるのかがわからなかったこと、何よりも翌日どの山までを狙ってこの日はどこまで行くというはっきりとした計画がなかったことから、前日の悪沢岳に比べれば遅いですが、ほぼ夜が明け始めた頃の出発としました。

 蝙蝠岳までを登頂することが目的であれば徳右衛門岳あたりで充分でしょう。しかし、場合によっては塩見岳までを狙いたかったのと、できれば稜線で夜明けを迎えたかったということから、もう少し先を目指します。

【前日は左でしたがこの日は右へ】
 
【緩やかに下る右の東俣へ】
 前日の悪沢岳とは違って田代ダムの方から歩いて行きます。このダム湖がなかなかの眺めなのですが、さすがに夜明け前ですので、下山時に晴れていたら写真を撮ることにして、そのまま通り過ぎて行きます。トンネルを抜けたあたりから落石がひどくなって来ます。東俣西俣の分岐を経て、蝙蝠岳登山口手前に崩落地があって、完全に林道を塞いでいました。これは、二軒小屋で話を聞いて写真も見せてもらっていたのですが、やはり直に見てみると迫力があります。川沿いの倒木の間を通ってようやく抜けることができました。テントを担いだ身ではなかなか間を通ったり越えたりするのは大変でした。

 登山口に到着したら、少し休憩をしていよいよ登り始めます。とにかく、最初から急登ですので、ゆっくりゆっくりペースを保ちながら登って行きます。やや登山道が見にくい場所もありますので、無駄に歩きまわらないように、登山道を見極めながら登って行きました。

【崩壊地 右の川沿いを抜けて行きました】
 
【お馴染みの登山口】

【最初の方の岩尾根を進む】

【夜明け】

【中部電力管理棟】

【標高の高い稜線は荒れているようです】
 
【なだらかな樹林帯では慎重に目印を探して】
 急登を登り切るとなだらかな尾根道となります。その後は岩尾根と呼ばれる岩場が出てきますので、テントザックを担いだ身で体を振られないように慎重に進んで行きました。このあたりで、山際から夜明けの太陽が現れました。日の出の時間は過ぎていましたが、山間にいますので、太陽が出てくるまでに時間がかかったのでしょう。

 見晴らしのいい場所では真っ白な稜線が見えて来ますが、この日北アルプスでは大荒れだったように、南アルプスでも標高の高い稜線では雲に覆われ爆風が吹き荒れていたようでした。実際、この日は樹林帯でも少しでも風の通り抜けそうな場所ではかなり強い風が吹いていて、登り続けているにも関わらずかなり寒い1日でした。ただし、思ったよりも歩けたのは、この風のおかげで暑さに体力を奪われることがなかったことが大きいでしょう。うまくこの日の天気を生かせたと思うのですが、一方で風が強いがために幕営地に悩むなど、なかなか難しい面もありました。

【標高2300mを越えたあたりから雪が現れて】

【踏み抜く場所も多くとはいえまだまだ序の口でした】

【倒木により塞がれた場所 ザックと体を別々に通すことで通過することができました】

【水場分岐】
 しばらく進んで行って登って行くと中部電力管理棟に到着です。初めてこのルートを歩いた時には、山の奥深くに立派な建物があって驚いたものです。ここには長い階段がありますので、ゆっくり登って行きました。

 その後は、徐々に標高を稼いで行きます。しばらくやや急な道を登って行くとなだらかな道になります。落ち葉も多くややわかりにくい道ですが、尾根に沿って歩いて行けばいいので、迷うということはないでしょう。時々ある目印を拾いながら進んで行きました。シラビソ林に苔の密生している様は南アルプスらしくて素晴らしいです。

 やがて、標高を稼いで行くと徐々に雪が現れて来ます。やはり雪の現れ方は前日の悪沢岳と同じような感じでしょうか。徐々に雪は増えて行くものの、日当たりのいいところでは全く雪がありません。急登に残った雪はアイスバーン化して歩きにくかったのですが、雪のない区間も結構ありますので、アイゼンは装着せずに登って行きました。 

【水場は右奥ですが雪で難しそうでしたので近くまでは行かず】

【徳右衛門岳山頂 ここの雪に限れば昨年よりも少ないです】

【徳右衛門岳以降はほぼ雪道が繋がって】
 徳右衛門岳山頂が近づくと水場分岐があります。過去この水場にお世話になっていますが、分岐こそ雪が少ないものの、水場に下って行くあたりに随分雪が残っていましたので、近くまで行くことなく諦めることにしました。元々水場近くに幕営をするのでなければ、雪を解かせばいいかなと思っていたのもあります。

 水場分岐からは少し登って行くと徳右衛門岳山頂に到着です。CTよりも時間はかかっていますが、早朝に出発したこともあって、いい時間に着くことが出来たと思います。携帯の電波も入りましたので、少し休憩をしてから出発しようとしたところ、ちょうど日帰りで登って来た同じ二軒小屋にテント泊をしていた方が登って来られましたので、しばらく話をしていました。結局1時間近くいろいろな話をしていたでしょうか。時間に余裕があったとはいえ、さすがにもう少し先に進むつもりでいましたので、12時前に別れを告げて先に進むことにしました。

【木々の合間よりどんよりとした空の下の蝙蝠岳が見えて】

【日当たりの良い尾根道には雪のない所もまだありました】
 徳右衛門岳から先はほぼ雪道が続きます。例外的に、日当たりの良い尾根道は雪がない場所もありましたのが、概ね繋がっている状態です。それでも、2581m峰までは雪がそこまで多くなかったのと、比較的尾根が細いこともあって問題なく進んで行きました。大変だったのはこの先で、山の記録で拾ったルートをGPSに落していたのですが、どこを行っても藪漕ぎになる状態で、しかも随所でひどい踏み抜きがあって全然進むことができませんでした。後でみると本当に僅かな区間なのですが、ここを強引に突破するまでに随分時間がかかってしまったのでした。木々がまばらであれば、方向さえ間違えなければいいのですが、これだけ木が密集した場所ですと、できるだけ夏道を追わないと厳しかったです。ただし、この反省は帰路には生かされたと思います。

 苦労してようやく本道に合流したと思って進みましたが、稜線に上がってみると本来稜線に出る2721m峰を随分過ぎたところに出て来てしまいました。稜線の東側にはべったり雪が残っていましたので、随分先まで行ってしまったところで稜線に上がったようです。
 ハイマツ帯を挟んで夏道があったので、どこかで夏道に出たかったのですが、ハイマツ帯が結構幅があるのと、雪道との間に亀裂があったので、どこから渡るのかが悩ましかったです。結局、亀裂があまり入っておらず、なおかつハイマツ帯が狭い場所を探して突破しました。

 夏道に出た後は、少し進んで鞍部でテントを張るのに適した場所を探します。鞍部に下って行くと、ちょうどハイマツ帯の間に道があり、その東側がちょうど良さそうでしたのでそこにテントを張ることにしました。もう少し進んでみても良かったのですが、そこで見つからないと戻って来なければならないのと、藪漕ぎや踏み抜きで随分疲れていましたので、そこに決めてしまいました。とはいえ、雪解けが進んで近くまでハイマツが出て来ていますので、ハイマツに当たらないようにしながら深く掘るのは難しくて、結局テントの形が少しいびつになってしまいましたが、それなりに雪壁まで作れましたので充分でしょう。

【ハイマツ帯を突破して夏道へ】

【マイテントと悪沢岳】

【風を避けるには悪くない場所でしたが】

【蝙蝠岳は見えず】
 この日もそれなりの景色を期待しましたが、やはりこの日はずっとどんよりとした雲に覆われていて、とても夕陽などが出そうな気配はありませんでした。そもそもが、水を作るなどすることが多くてのんびり景色を楽しむ時間がなかったのもあるでしょう。

 思ったよりも到着が遅くなり、実際に床に就いたのも遅くなりましたが、それでも翌日の行動時間に大きな影響が出る程ではありませんでした。しかし、問題だったのは夜で、唸るような風が一晩中吹いていてあまり寝ることができませんでした。ハイマツ帯と雪壁のおかげでテント自体が持って行かれそうな感じはなかったのですが、とにかく風の音が大きくて不気味だったのと、常時風がテントには当たって音がしていましたので、なかなか寝られなかったのでした。それと、前日よりは暖かくなっていたものの、さすがにこの標高の雪上テント泊ですので、結構寒かったのもあるでしょう。もちろん寝不足だけが原因ではないですが、寝不足も加わったからでしょうか、翌日は、悪沢岳に登った時と同様に苦しい歩きとなりました。
 
 4日目、蝙蝠岳・塩見岳行では2日目の朝を迎えます。当初、日の出の時間に余裕を持って蝙蝠岳に向かう予定でしたが、思ったよりも雲が多かったことと、前日あまり眠れなかったことから、日の出の時間に間に合うかどうかという時間に出発することにしました。

 まずは、ハイマツ帯を抜けて少し登り返した後、緩やかに下って行きます。雪があるうえに、ややわかりにくい場所でしたが、既に明るくなりかけており、大よそのルートが見えたので、比較的順調に進むことができました。その後は蝙蝠岳に向かってひたすら登って行きます。やや東寄りにある夏道をうまく拾って登って行ければ問題ないでしょうか。山頂手前にべったり雪が残っていたのが予想外で、アイゼンを装着するのか考えましたが、そこまで滑るわけではなかったので、結局アイゼンを付けずにそのまま登って行きました。日の出の前に無事蝙蝠岳山頂に到着です。

【蝙蝠岳山頂手前は雪が多く】

【蝙蝠岳山頂】
 しかし、唯一御来光を狙う予定でしたし、実際に蝙蝠岳山頂に日の出の時間を間に合わせたこの日でしたが、空はどんよりとしており、御来光どころか空が赤みを帯びてさえいませんでした。ただでさえ寝不足気味で、お腹は減っていても食欲が出ないなど体調が優れない状況で、本当にテンションは下がる一方でした。それでも、周囲の景色が見えただけでもまだ良かったでしょうか。まだ前日までの風が残っていて寒かったので、少し風が避けられる場所で簡単な朝食を食べて、この後どうするかを考えることにしました。

 すぐに引き返して撤収して下山することも考えましたが、予報では晴れとなっていましたので、徐々に回復して素晴らしい展望が得られるかもしれないこと、逆に高曇りのままだったとしても、返って雪が締まったままで歩きやすいかもしれないことから、とりあえず塩見岳まで目指すことにしたのでした。

【夜明け前の荒川三山】

【蝙蝠岳山頂と塩見岳】

【残念ながらどんよりとした空と富士山】

【富士山】

【塩見岳への稜線 断続的に雪道歩きになりますがやはりやせ尾根が続く北俣岳から先の状況が気になるところです】

【塩見岳へ続く道は雪がべったりと残っています】

【ようやく僅かに現れた太陽】
 行けるところまで行くと決めたからにはさっそく出発です。この日の夜から風がかなり強くなる予報でしたので、テントまでに戻った後、撤収してある程度のところまで下っておきたいということがありました。できればある程度道が明瞭である2581m峰付近までは戻っておきたいということで、逆算すると撤収にかかる時間も考慮して、午前中にはテントに戻って来られないと厳しいです。したがって、塩見岳までの結構な長丁場をテキパキと進んで行ったのでした。ただし、先に書いたように調子が優れずペースが上がらなかったので、正直塩見岳までは厳しいと思いましたが、そもそも塩見岳までの稜線に付いている雪が多くて、途中で引き返すことになるような気がしていたので、適当な所で引き返せばちょうどいい時間になると思って進みました。

 蝙蝠岳からの下りは、雪の付いている場所と付いていない場所が交互に出てくる感じで、うまく夏道を拾いながら進んで行きました。ある程度下った後の北俣岳への緩やかな登りは、あまり雪がありませんでしたが、やはり距離があって遠く、しんどい登りとなりましたが、それでも8時半頃には到着することが出来ました。

【稜線の彼方に富士山】

【やせ尾根は予想外に雪が多くて最初からアイゼンを装着して】

【この硬い雪面のトラバースは無理だと一旦は撤退を決意して】
 北俣岳からのやせ尾根は、思っていたよりも雪が残っていて、最初の緩やかな場所はともかくとして、なかなかに厳しい尾根歩きが続きそうでしたので、アイゼンを装着することにしました。前年の記録では仙塩尾根分岐までアイゼンが不要だったとのことでしたので、今年は森林限界上の残雪が昨年よりも多かったようです。

 元々が岩場の続く尾根道ですので、尾根上を通る箇所は問題ないのですが、トラバース気味に道が付いているところはだいたいが雪で埋もれているため、結構な急斜面をトラバースするところもありました。幸いだったのが所々で1人分のトレースがあったことで、後日山の記録を見たところでは、三伏峠から登って来た方が塩見岳に登った後に蝙蝠岳を往復したようです。とはいえ、途中のトラバースで雪面が硬くて急斜面だったため、悩みに悩みましたが撤退することにしました。見納めということで周囲の景色を撮った後、慎重に戻って行きます。

 しばらく戻った後に振り返ってみると、撤退したルートの手前でハイマツを漕げば尾根筋に出られる場所があったので、再び進むことにしました。実は撤退したトラバースにもトレースらしきものがあったのですが、こちらのハイマツの間にもトレースがあって、往復した方も往路復路でルートを変えるなど試行錯誤をしていたのかもしれません。

【見納めと思って眺めた仙塩尾根 左奥に仙丈ヶ岳 右は三峰岳〜間ノ岳の稜線】

【ここまでの稜線も歩き辛い場所が多く】

【少し安心して歩ける所も ただし登りは少し苦しかったです】
 少し抜けると夏はやや広い尾根になっている恐らく仙塩尾根の分岐あたりに出ます。ここは、ペースが上がらない中で登り返しがやや苦しかったですが、危険な箇所もなくほっと一息ついて歩くことができました。

 ここを登るといよいよ塩見岳が迫って来ます。この後は夏道でも結構なやせ尾根になっていますので、当然ナイフリッジとなります。やはり両側が切れていると厳しいものがありますが、トレースがあるのと、静岡県側はまだ斜度が多少は緩かったので、やや静岡県側にルートを取れたのは良かったです。慎重に急斜面を登って行きます。しばらく登って行くと、なだらかになると同時に尾根も広くなって歩きやすくなります。実は、山頂直下も結構嫌だなと思っていたのですが、こちらは比較的歩きやすかったです。ただ、山頂直下だけは急斜面に雪が付いていましたので、ここだけ慎重に登るとようやく塩見岳山頂に到着です。

【迫力のある塩見岳が見えて来て】

【この角度ではそこまで険しい稜線に見えませんが】

【蝙蝠岳と富士山】

【ナイフリッジの続く稜線】

【右側は崖になっていて左側は急斜面です】

【夏道でもやせ尾根の続くところです】

【ある程度登って行くとなだらかな雪面が続いて徐々に迫る塩見岳】

【正面の迫力ある岩壁】

【山頂に人が見えています】

【山頂手前で間ノ岳〜農鳥岳の稜線と仙塩尾根を振り返って】

【山頂にて】
 山頂からは素晴らしい景色が広がっています。特に前々日に登った荒川三山の眺めや歩いて来た蝙蝠岳からの稜線は素晴らしかったです。しばらくのんびりしていると三伏峠側から数人の方が登って来ました。とても静かな二軒小屋でしたが、三伏峠はそこそこ泊まっていた方がいたとのことでした。北アルプスが大荒れの予報でしたので、なおさら転進した方が多かったのでしょう。

 三伏峠から登って来た方の話では、森林限界より上はほとんどアイゼンが必要な程は雪がなかったとのことでした。実際、登って来た方はみなさんノーアイゼンでした。やはり場所によって雪の付き方が違うのでしょう。少し話をして写真を撮ったら、一応西峰にも足を伸ばして休憩としました。全然調子が上がらなかったのですが、少し行動食を食べて多少はましになったでしょうか。

【荒川三山】

【塩見岳東峰頂上碑と素晴らしい景色】

【富士山はこの時間は逆光気味】

【ぐるっと回り込んで行くような稜線を振り返って】

【塩見岳西峰】

【塩見岳西峰頂上碑】
 景色も素晴らしく、この日は予報通りの好条件でぽかぽか陽気だったのですが、翌日の大荒れの天気に備えてある程度はテントを下った場所に張っておきたいということがありましたので、名残惜しくも下山開始です。

 やはり雪は緩んで来ていて、ナイフリッジは少し嫌な感じでしたが、雪が崩れる程ではなかったので、慎重に通過して行くことが出来ました。岩場の尾根道も慎重に戻って北ノ俣岳に到着、ほっとしつつアイゼンを外したのでした。

 この後は危険箇所はないものの、とにかく力が出なくて、蝙蝠岳への登り返しは本当に難儀しました。本当に一歩一歩登るという言葉が相応しい登りとなりました。どんなに遅くてもいつかはたどり着くものです。お昼前にようやく蝙蝠岳に到着しました。ここで休憩をしたいところでしたが、テントの撤収に時間がかかるのは明らかでしたので、そのまま頑張ってテントまで戻ったのでした。

【荒川三山】

【悪沢岳】

【中岳と前岳 奥には赤石岳でしょうか】

【兎岳〜中盛丸山〜大沢岳】

【中央アルプス】

【仙丈ヶ岳】

【甲斐駒ヶ岳】

【左奥の北岳と右の間ノ岳】

【富士山】

【荒川三山から小河内岳の眺め】

【塩見岳西峰と中央アルプス】

【白峰三山(北岳は僅かですが)と仙塩尾根】

【富士山と蝙蝠岳】

【稜線を戻って行きます】

【ナイフリッジは慎重に】

【塩見岳を何度も振り返って】

【北の俣岳へ ここでアイゼンを外す】

【左の蝙蝠岳と右の荒川三山】

【荒川三山】

【しんどかった蝙蝠岳への登り返し】

【蝙蝠岳山頂と富士山】

【一気に鞍部のテントまで戻ります】

【お昼前にようやく戻りました】
 テントにはお昼前に戻りたかったところですが、到着したのはお昼過ぎでした。それでも、お昼を少し回った程度の時間で済んだのは良かったです。余程の道迷いをしなければ、ルートが明瞭になる徳右衛門岳までは何とか戻れそうでした。1時間くらいで撤収をするつもりだったのですが、随分疲れていたこともあって、少しのんびりお昼を取った後に片づけをしていたら随分時間がかかってしまいました。

 ようやく撤収して雪をならしたら下山開始です。登りでは途中から稜線に出ましたが、下山は登りで苦労した経験をふまえてとにかく夏道を拾う方針で戻ることにしました。したがって、2721M峰までは夏道に忠実に戻って行きます。2721M峰では見事な蝙蝠岳を見納めた後に樹林帯に下って行きました。

【マイテントとこの日はしっかり見えている荒川三山】

【蝙蝠岳を振り返って】

【2721M峰より左奥の塩見岳と右の蝙蝠岳】

【左の富士山と右の徳右衛門岳を眺めながら樹林帯へ】

【思いっきり滑った泥道】
 下り始めこそ雪が溶けていましたが、少し下った後は雪道になります。ある程度の間隔でテープがありますので、それをできるだけ拾って行きます。とはいえ、急斜面の樹林帯ではなかなか見つけることができず、一旦登山道かどうかわからない所を下って行きました。樹木がかなり密集した地帯を逸れている登山道を見つけた後は何とか辿って行くことが出来ました。

 ただし、登山道を拾うことはできたものの踏み抜きがひどくて、2回に1回は踏み抜くような状態でした。それでも何とか進んで行くと、登りで歩いた覚えがあるルートに出てきました。確かに反対側から歩いて来ると、地形的には登りで苦労したルートに入ってしまいます。実際、GPSで拾ったルートはそちらを歩いていました。ただし、歩いた感じではできるだけ夏道を拾った方がいいでしょう。木々がまばらな他の山域とは歩き方が違うのかもしれません。こうして2581M峰を過ぎると、徐々に地肌の現れた場所も出てきます。こうして、ようやく夕方4時半頃に徳右衛門岳に到着することができました。2581M峰付近でもいいと思っていたので、徳右衛門岳まで行ければ御の字でしょう。

【目印を探しながら】

【所々にあるテープ しばらくない場所も】

【密林地帯も登山道を辿ればスムーズに】
 テント場として考えていたのが水場の分岐を少し下ったところで、ついでに水場の水も確保しようと思っていたのですが、思ったよりも雪が残っていて、テントを張るのも大変そうですし、水場まで下るのは難しそうでしたので断念しました。

 その後は下りながらテントを張る場所を探します。翌日のことを考えると雪のある急斜面はできるだけ下りつつも、水を確保するために雪のある場所が理想でした。登る時に沢状の地形になっているところが雪が出始めたところで、しかも雪が多かったことから、その付近でテントを張る場所を探しました。結果的に、この日の夜から風が強くなる予報が出ていたので、風除けにもなります。テントを張るにはやや狭そうでしたが、それなりのスペースを見つけることが出来ましたので、そこにテントを張ることにしました。遅い時間になってしまいましたが、翌日が二軒小屋までですので、朝早くに出発する必要はありません。それに加えて、塩見岳まで無事に歩き切った安堵感もあって、充実感に満たされた夜となりました。

【道なりに歩くと左奥に引き込まれますが本道は右に逸れて行きます 意識していないと左奥に行ってしまいます】

【徳右衛門岳に戻って来ました】

【水場手前にはべったりと残雪が】
 

【雪渓沿いに張ったテント】
 5日目のこの日は二軒小屋まで下るだけです。二軒小屋ロッジに泊まる予定のため、急ぐ必要もなくゆっくり下ることにします。予報通りこの日は風が強くなっていて、風は結構吹いていましたが、樹林帯の中でも、特に風のあまり当たらない場所でしたので、ほとんどテントに風が当たることはありませんでした。

 それなりの時間に目が覚めて準備もできましたので、6時半過ぎには出発です。うなるような風の音を聞きながら下って行きます。よく晴れてはいますが、相当強い風が吹いていたと思います。樹林帯をゆっくり下って行って、途中中部電力管理棟でしばしの休憩を取った後、再び下って行きます。その後は岩場が少しありますので、慎重に下って行けば後は一気に登山口まで下って行きました。登山口で少し休憩した後は崩壊地を抜けて、新緑の中を歩いて行きます。登りでは暗がりで通ったダム湖の真っ青な湖面を眺めつつ二軒小屋に到着です。

【苔むすシラビソの森】

【樹木の間より悪沢岳方面】

【管理棟前で休憩】

【登山口へ】

【土砂崩れを抜ければ後は林道歩きです】

【新緑鮮やかに】

【ダム湖と新緑】

【真っ青な水面】

【二軒小屋ロッジに戻って来ました】

【チェックインの時間まで待機】
 二軒小屋に着いたらチェックインと言いたいところでしたが、まだチェックインの時間ではないということで、ビールを飲んでしばしのんびりしていました。後は1泊して帰るだけですので、本当にのんびりとした時間を過ごします。

 チェックインをした後は、ロッジ内を少し歩きまわったり、置いてあった雑誌を読んで過ごしました。ちなみに、この日は宿泊者が5人しかいなかったので、4人部屋を貸し切りでした。ここはお風呂がありますので、入れる時間になったら真っ先に入ったのでした。

 夜は噂通りの素晴らしい食事で、釣りで二軒小屋に訪れていたおじさんとしばし話が盛り上がったのでした。そして隣の3人の方は家族で、なんと娘さんは二軒小屋ではないのですが、この夏からこちらの方の小屋に勤務する予定とのことでした。こうして、最後の夜も更けていったのでした。

【受付】

【4人部屋を1人で】

【食堂】

【噂通りの素晴らしい食事でした】
 

【朝食をゆっくりいただいて】
 最終日の朝を迎えます。この日は送迎バスに乗って帰るだけですので、当然ゆっくり朝食を取ることになります。その後はすぐにバスに乗ってと言いたいところでしたが、二軒小屋から帰る最初の便が少し遅い時間でしたので、しばし周囲を散策しました。

 その後はバスに乗って戻りますが、椹島で一旦降りて乗り継ぎがあるのが面倒でしたが、レストランでソフトクリームをいただいたり、初日に二軒小屋ロッジにいた従業員の方がこちらに移っていましたので、いろいろとルートのことを聞いたり、状況をお伝えできたりできたのは有意義な時間だったと思います。

 こうして、北アルプスから転進して訪れた南アルプス行でしたが、本当に充実した時間を過ごすことが出来たと思います。奇しくも稜線に雪があまりなくて残念に思った昨年のGWでしたが、今年は雪も含めてしっかりと楽しむことが出来たのでした。

【新緑と二軒小屋ロッジ】

【ロッジ前の滝と虹】

【椹島のレストラン】

【ソフトクリームをいただいて】
 
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