きただけ
 北岳
登山日: 2016年6月18日(土)   標高:3193m(北岳) 
    標高差:奈良田から約2360m


 6月18日(土)    奈良田 3:50 → あるき沢橋登山口 6:30 → 池山小屋 8:25
   ボーコン沢ノ頭 10:35 → 北岳 12:50 → ボーコン沢ノ頭 15:30
   池山小屋 16:45 → あるき沢橋登山口 18:10 → 奈良田 20:45

 

 本日は北岳に登ります。久しぶりにキタダケソウを見たかったことと、冬季ルートである池山吊尾根を経由するルートを一度歩いてみたかったことから、まだバスが運行される前のこの時期に登ることにしたのでした。結果的には、日帰りではあまりに遠かったので泊まりにするか、夜叉神峠から回るべきだったと思います。奈良田からの林道が片道12キロもあり、北岳往復で距離が約41キロにもなっていました。結果的に出発も下山も暗い時間になって、行動時間が17時間にもなってしまいました。下山時に失速してしまったことを差し引いても少し無謀だったかなと思います。

 自宅を出発して奈良田には夜中に到着です。林道をひたすら歩くことから第二駐車場に駐車したかったのですが、開放されていなかったので、路肩にスペースのある所に駐車しました。少し仮眠を取りましたが、相当な長丁場になることがわかっていましたので、すぐに準備をして出発しました。その前にも既に通り過ぎて行く方もいて、泊りの方でもこれだけ早い時間に出発するのですから、いかに時間がかかるのかがわかります。

【ゲート】
 
【長い林道歩き】
 少し歩くと広河原へ向かうトンネルがありますが、立派なゲートがあります。これが、最初は抜け方がわからずしばらく試行錯誤することになりました。ここを歩いた記録をいくつか思い出しているうちに、ようやく思い当たることがあって無事に開けることができました。一時フェンスを乗り越えようとしてしまいましたが、かなり危なかったのでやらなくて良かったです。

 その後はひたすら林道を歩いて行きます。片道12キロですから気長に歩いて行くしかありません。とはいえ、往きはまだ体力にも足にも余裕がありますから、下りに比べれば全然良かったです。随分歩いたかなと思われる頃にようやくあるき沢橋のバス停に到着です。そして、ここが登山口になっています。ちょうど夜叉神峠側からやって来た方が登山口から登って行きました。距離は夜叉神峠からの方が全然短いのですが、帰りに登りがあることからこの奈良田からのルートにしたわけですが、あまりに林道歩きが長いので、夜叉神峠からの方が良かったかもしれません。

【野呂川発電所】

【あるき沢橋バス停と登山口】

【樹林帯をひたすら登って行きます】
 登山道は最初に急登が待ち受けています。その後一旦緩やかな登りになりますが、基本的にはどんどん標高を稼いで行きますので、急登になっている箇所が多いです。矢印や踏み跡はしっかりしていますが、やはり一般登山道よりはやや薄い所もあるでしょうか。

 むしろ、標高約1500m〜2000m付近の急登で、幅の狭いトラバースがあったり、結構足場が脆くなっている箇所があったのが要注意で、登りではそんなに感じませんでしたが、下りでは結構慎重に下って行きました。普通は泊りで重い装備を背負っていることが多いでしょうから、このあたりはやや注意が必要かもしれません。

 しばらく登って行って2000mを越えて来るとなだらかな道になります。この道を歩いて行くと広々とした芝生の広場のような場所が見えて来て、その奥に池山小屋が見えて来ます。小屋までは比較的順調に登って来たつもりでしたが、かなり眠くて力が出なくなっていたので小屋でしばらく仮眠を取ったのでした。これで何とか歩けるようになったでしょうか。

【池山小屋が見えて】

【しばらく仮眠を取らせてもらった池山小屋】

【やや藪っぽい所もありますが目印がしっかりあります】

【農鳥岳と間ノ岳】

【この時間は素晴らしい青空】
 
【テント泊適地でしょうか】

【シナノキンバイ】

【鳳凰三山】

【ハイマツ帯を登って行く】

【ボーコン沢ノ頭】
 池山小屋からは再び樹林帯の急登を登って行きます。道そのものは歩きやすいものの、部分的にハイマツなどがうるさいところもあります。ただし、それを登って行くと森林限界を越えて展望が広がって来ます。正面に堂々たる北岳が見えて来るとやがてボーコン沢ノ頭に到着です。

 聞いてはいましたが見事な北岳が見えていて迫力満点でした。広河原から登った方が近くに見えるのですが、どうしても見上げる感じになってしまいますし、白峰三山の縦走路からの北岳も素晴らしいのですが、どうしてもスリムな感じがします。それに比して、このボーコン沢ノ頭からの北岳は迫力があって、ここまでだけでも充分に訪れる価値があるのではないでしょうか。

 しばし景色を楽しんだら先に進みます。とにかく長丁場ですので、これほどの景色を目の前にしながらのんびりできないのは残念でした。

【迫力のある北岳 写真でも充分なくらいの迫力です】

【脇には農鳥岳と間ノ岳 この後徐々に雲に覆われて行きました】

【縦走路は続く】

【左奥のピークから八本場のコルへ下って行きます】

【ナナカマド】

【ハクサンシャクナゲ】

【このあたりから下って行きます】

【ウメハタザオ】

【支点と急斜面の岩場】

【北岳山頂まではまだまだ遠いです】

【随所に広がるお花畑】

【ハクサンイチゲ】

【ミヤマコウゾリナ】

【ミヤマキンポウゲ】

【イワベンケイ】

【トラバース道分岐 トラバース道は帰路に通ります】

【久しぶりに御対面のキタダケソウ】

【ミヤマオダマキ】

【オヤマノエンドウ】

【吊尾根分岐 北岳まではピストンです】
 ボーコン沢ノ頭からしばらく稜線を歩いて行くと、岩場のピークがあります。ここからは岩場の急斜面を下って行きますが、冬場はこのあたりが難所の1つとなるようで、支点にロープをかけて下ることもあるようです。実際、岩場は慎重に歩けば大丈夫ですが、結構険しかったです。

 八本場ノコルまで下った後は再び登り返して行きます。結構登って来たように見えて、ここから北岳山頂までは結構あります。しばらく登って行くとトラバース道分岐があります。こちらにキタダケソウの群落がありますが、帰路に回って来ることにしてまずは北岳山頂を目指しました。登って行く途中に、記録で見たように吊尾根分岐手前で無事にキタダケソウを見ることが出来ました。久しぶりでしたので、じっくり観察した後、そのまま北岳に向かいました。思った以上のお花畑が続いていて、改めて高山植物の豊かな山であることを感じさせられたのでした。

【オヤマノエンドウの紫色の絨毯】

【ウスユキソウ】

【山頂が雲に覆われた間ノ岳】

【彩り豊かなお花畑】

【誰もいない北岳山頂へ】
 結局9時間もかかってようやく北岳山頂に到着です。時間も既に午後1時前で、広河原に下山するのならともかく、登って来た道を下って行くことを考えると、下山がほぼ真っ暗な時間になることが明らかな時間でした。とはいえ、今更焦っても仕方がありませんので、山頂の景色はしっかり堪能してから下山に取り掛かります。

 泊りの方々は宿泊場所までが精一杯という感じだったのか、山頂は静かで、その後吊尾根分岐まで誰ともすれ違うことはありませんでした。そのまま北岳山荘方面に下って行き、トラバース道に入ると北岳山荘に向かう方とちらほらすれ違うようになりました。同時に、キタダケソウの群落が見られるはずですので、それを楽しみに歩いて行きます。しばらく歩いて行くと見事な群落を見つけることが出来ました。前回はそこまで大きな群落は見られなかったのですが、今回は見事に大きな群落を見ることが出来ました。見たい景色は見られましたので、満足感に浸りつつ長い下りに入って行きます。まずは八本場ノコルへ下って行きました。

【仙丈ヶ岳と頂上碑】

【甲斐駒ヶ岳】

【鳳凰山】

【お花畑は続いて】

【北岳山荘へ下る道からトラバース道へ 間ノ岳は姿を現さず】

【ハクサンイチゲの群落と北岳山荘】

【このキタダケソウの群落には驚かされました】

【チョウノスケソウ】

【クロユリ】

【イワウメ】
 八本場ノコル付近にはお花畑がありますが、何と登りでは気付かなかったクロユリが咲いていました。実際は普通に咲いているようですが、この時は知りませんでしたので、うれしくなって何枚も写真を撮ってしまいました。咲いている山は限られているように見えて、意外といろいろな山で見られる花です。

 その後は、急な岩場を登り返して、緩やかなアップダウンを経てボーコン沢ノ頭を目指します。鳳凰山こそ見えていましたが、他の白峰三山などは既にガスに覆われつつありました。その後は樹林帯に入って行きますが、熊の気配を感じたのと、実際に登りでは見なかった熊の足跡がありましたので、鈴を装着して鳴らしながら下って行きました。足跡は登山道上にずっと残っていましたし、熊がいそうな気配もありましたので、テキパキと下って行きました。

【ボーコン沢ノ頭へ】

【イワカガミの群落】

【すっかり暗くなった頃に車へ】
 結局、林道には何とか明るい時間に下って来られました。ただし、問題はこの後の12キロの林道歩きで、登りの時とは違って、疲れ切った足での舗装道路の林道歩きは厳しかったです。ペースを落としても足が痛くて辛かったので、緩やかな下りであることを生かして、途中からはむしろペースを上げて行ったくらいでした。

 いつ着くだろうかと思いながら歩いていましたが、ようやく夜9時前、今までで一番遅い時間まで歩いてようやく戻って来ることができました。この時はまめはできていましたし、本当に疲れ切ったという言葉が一番適していたでしょう。それでも、歩き切ることが出来ましたし、迫力のある北岳の他、キタダケソウ、クロユリなどのお花畑も見られて充実感一杯の山行になったと思います。ただし、バスの走っていない時期に登る際には、さすがに次回は泊りにしたいですね。
 


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