ちょうがたけ
 蝶ヶ岳
  登山日: 2016年12月3日(土)〜4日(日)  
  標高:2677m(蝶ヶ岳)


 12月3日(土)    須砂渡ダムゲート前 6:35 → 三股登山口 9:25 → まめうち平 11:00
   蝶ヶ岳ヒュッテ 19:00
     
12月4日(日)    蝶ヶ岳ヒュッテ 7:50 → 蝶ヶ岳 8:00 → まめうち平 9:55 → 三股登山口 11:00
   須砂渡ダムゲート前 12:55

 

 本日から1泊2日で蝶ヶ岳に登ります。この週末は土曜日に天気が良いことからいろいろ考えたのですが、ゲートが閉まって長い林道歩きがあるとはいえ、前週に普通に日帰りで登られていたことからこの蝶ヶ岳に登ることにしました。その間まとまった雪が降ったのは知っていましたが、登るまではそこまでは増えていないだろうと高を括っていたのでした。

 現地に着くと既に明け方という状況でしたが、少しでも寝ておこうと仮眠を取っていると3台程の車が入って来て準備を始めました。蝶ヶ岳と常念岳とどちらに向かうかはわかりませんでしたが、恐らく蝶ヶ岳に向かうのではないかと勝手に予想を立てて、これならラッセルも必要ないかと余計に楽観的に考えていました。結局、このグループが出発してからようやく準備に取り掛かりました。それでも数時間しか寝ていなかったので、本当に眠かったです。さすがに長い林道歩きを考えると、これ以上は遅れられないということで6時半過ぎに出発しました。

【須砂渡ダムゲート】

【モルゲンロートに染まる前常念岳でしょうか】

【林道歩きは続く】
 
【三股登山口駐車場】
 ここの林道歩きは、前年3月の常念岳東尾根を登った際に途中までは歩いています。その時はゲート前からしっかり雪があったのですが、今回は11月下旬にゲート閉鎖の要因ともなったまとまった雪が降ってはいたものの、その後は降らずに溶けてしまったようで、普通の舗装道路歩きとなりました。さすがに冬靴で歩くには、特に帰路が思いやられるような状況でした。

 ゲートから三股登山口までは10キロと決して短い距離ではなく、特に標高を稼いで行くために上って行くことになるのですが、それでも往きは歩き始めであるために、そこまでは苦労しませんでした。ただし、時間は充分かかって結局3時間弱もかかったことになります。道中は雪がありませんでしたが、三股登山口は日当たりが悪いせいか雪がちらほら残っていました。ここで少し休憩をしたら再び蝶ヶ岳を目指して出発です。歩いて間もなく常念岳分岐があるのですが、残念ながらグループの方達は常念岳に向かったようでした。ただし、出発時の様子を見るとザックがあまり大きくなかったので、もしかしたら途中までの日帰りだったのかもしれません。

【まばらに雪が残る三股登山口】
 
【常念岳分岐】

【力水 まだ使えるようです】
 
【ゴジラの木だそうです】
 その後力水の脇を通り過ぎて徐々に標高を稼いで行きます。雪は少なく登山道の土がまだ見えているような状況でした。それでも、標高が上がって来るとしっかりとした雪道も出てきますが、うっすらと積もっている程度で歩くには特に問題ありませんでした。これならば多少は増えても問題ないだろうと思いつつ登って行くと、まめうち平に到着です。ここには座れる丸太がありましたので、しばしの休憩としました。

 まめうち平に着いた頃は、重いザックを背負っている割には順調に登れていましたので、充分夕陽を眺めることができるくらいの時間には着くであろうと思っていました。しかし、まめうち平からは少しずつ雪が増えて来て、特に標高2000mを越えて来ると、時折足首が埋まるような所も出てきました。それからあまり標高を稼がないうちに、トラバースなどではしっかり膝下まで埋まる所も出て来るような状況でした。

【常念岳から前常念岳への稜線でしょうか】

【徐々に雪道へ】

【まめうち平へ】

【徐々に雪のやや深そうな場所も】

【標高2000m地点 距離的にもちょうど蝶ヶ岳ヒュッテとの中間点付近です】

【一気に雪が深くなって】
 最初は時々雪深い場所が出て来る程度でしたが、さすがに雪深い場所が続くようになって来たのでワカンに装備を変更しました。まだ標高は2100mにも届かない状況で、一気に蝶ヶ岳ヒュッテまで行けるかどうかが怪しくなって来ましたが、進めるだけ進んで行きます。

 夏道を歩いていた時にはあっという間に登ってしまってあまり印象の残っていない登山道ですが、思ったよりもトラバースする道が多かったようで、雪の斜面を横切る箇所が多かったです。ここまで積もると所々わかりにくい箇所もありますが、テープがこまめに付いていますので、迷うことはなさそうでした。焦っても仕方がないので、マイペースで登って行きます。標高を100m稼ぐのに1時間程度かかっており、途中でツェルトでビバークするか、暗くなってでも蝶ヶ岳ヒュッテの冬期小屋まで頑張って登るか悩ましいところでした。

【あまり使う予定でなかったワカンを今シーズン初投入】

【雪が多いとただの斜面にしか見えない場所も】

【このくらいのラッセルになるとなかなかしんどいです】

【夕暮れの常念岳】

【暗くなってもラッセルは続く】
 結局、結構登って来たことと、上部にはあまりいいビバークポイントがなかったことから小屋まで登ることにしました。登山道は概ね分かるのですが、途中右手に折れて稜線に出るところで曲がり損ねて時間をロスしてしまいました。そこは急斜面になっていたのでわかりにくかったようです。ハイマツ帯の間を登って行くとようやく稜線に出ることができました。それと同時にそれまでほとんどなかった風が強まって来ますが、雪で風が飛ばされるのか雪があまりなくて一気に歩きやすくなりました。その後小屋まではもう少し歩きますが、順調に歩いて午後7時頃にようやく小屋に到着することができました。

 小屋は誰もいないかと思ったのですが、徳沢から登って来た方が1人泊まっていてこれから就寝という時でしたので迷惑をかけてしまいました。しばし泊まっていた方と話をした後、急いで食事を取った後、せっかくなので夜景と星空を撮るために外に出たのでした。この日は結局昼間はラッセル三昧で好天を生かせませんでしたが、素晴らしい夜景と星空を最後に見ることが出来て良かったです。翌日はあまり期待できない天気でしたが、何とか御来光だけでもと思いつつ床に就いたのでした。 

【蝶ヶ岳ヒュッテ冬期小屋入口】

【きれいな夜景】

【夜景と星空】

【満点の星空】
 

【明け方穂高連峰の上空に広がる星空】

【こちらは槍穂の山並みと星空】

【早朝の水墨画のような景色】

【夜明け前の南アルプスと富士山】

【少し赤みを帯びた穂高連峰】

【蝶ヶ岳山頂で御来光を待つ登山者と厚い雲】

【雲が多めでしたが御来光を眺めることができました】

【モルゲンロートに染まる乗鞍岳】

【槍ヶ岳】

【迫力のある前穂高岳と奥穂高岳の眺め】

【絶景は稜線の彼方まで広がって】
 2日目を迎えます。前日の夜は夜景や東側の星空は見事だったものの、穂高連峰や槍ヶ岳方面にはあまり星が出ていなかったので、夜明け前に外に出てみると見事な星空が穂高連峰や槍ヶ岳の上空に広がっていましたので、寒さに耐えながら写真を撮りました。その後、夜明け前から出発するというもう1人の方を見送った後、もう一度寝てから外で御来光を待ちました。雲が多くて厳しいかなと思ったのですが、太陽が昇る方向は雲があまりなくて見事な御来光を眺めることができました。雲が多いからこその景色も見られて良かったと思います。御来光を見るために慌てて出てきましたので、再び片付けに戻りました。

 片付けが終わって再び出て来たのが午前8時前で既にいい時間になっていましたが、雪が多いとはいえこの日はほとんど登り返す場所はありませんので、ゆっくり下山開始です。

【一晩お世話になった冬期小屋】

【蝶ヶ岳山頂へ】
 下る前に蝶ヶ岳山頂に寄って、絶景を楽しんでから下山を開始しました。さすがに明るい時間で、しかもトレースが残っているとなれば迷うことはありません。前日迷ったトレースを横目に自分のトレースを辿りつつ下って行きました。ワカンで作ったトレースはそこまで沈まなかったので、下山ではワカンは付けずにツボ足で下って行きました。

 結局前日登るのに10時間弱もかかった三股登山口からの登山道を3時間程で下って行きました。トラバースした箇所が結構ありましたので、それらの場所だけは斜面から滑り落ちないように丁寧にトレースを辿って下ったのでした。三股登山口からは、長い長い林道歩きが待っています。

【蝶ヶ岳頂上碑と御嶽山〜乗鞍岳】

【蝶ヶ岳ヒュッテと大天井岳から常念岳の稜線 結構雪が飛ばされているのがわかります】

【奥穂高岳から北穂高岳の眺め】

【右側の前日誤ったトレースを横目に急斜面を下ります】

【ここからは忠実にトレースを辿って帰ります】

【前日苦労したトラバースのラッセル】

【三股登山口まで戻って来ました】

【誰にも会うことなく静かな林道歩きとなりました】

【ゲート前へ】
 体力的には充分でしたが、やはり冬靴での長い舗装道路歩きは厳しく、途中で1回靴下まで脱いで足を乾かしたのですが、それでも最後は蒸れて足にマメができそうでした。ただし、順調には歩けたようで、本当に長かったですが午後1時前には戻って来ることができました。

 前年と同じゲートから日帰りで長時間歩いた前年とは違った苦労をしましたが、今回もまた素晴らしい景色と苦労しながらも登頂して充実した山行をすることができました。結局、小屋で1人、早朝に徳沢側から蝶ヶ岳に登って来た方1人を見かけただけで、道中誰にも会うことはありませんでした。当分はこの長い林道は歩きたくないと思うのでしょうが、また機会があれば歩きにくることでしょう。
 


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